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わたしの著書

  • 憲法Ⅰ 総論・統治機構論
  • 憲法Ⅱ 基本権論
  • 著作権と憲法理論
  • ロールズの憲法哲学

2017年5月22日 (月)

憲法Ⅱ(第11回)。

 半期4単位の憲法Ⅱは週に2回あるため、もう11回。でも、3回分くらい、遅れているか。とくに、きょう、一生懸命しゃべったわりには、進まなかった。もうしわけありません。

 と同時に、いつもにくわえて、抽象的議論のオンパレードだったと思います。判例や法令の解釈の基盤、背景にある法理論こそ重要なのですが、まぁ、そこは難解なものだとわりきって、判例・法令の解釈に直接関係あるところだけを抽出して理解につとめてください。

 (0) SBSでは、日本国憲法における直接民主制の評価、イギリスの議会任期固定法(2011年制定)、公選部門が非公選部門を統制すべきであるという「民主的コントロール」論、といったお堅いところから、眞子さま報道についてまで、はばひろい質問をもらいました。プリントを参照し、もしわからなかったら、また質問ください(口頭でもOKです)。

 (1) で、本論ですが、衆議院議員定数不均衡訴訟に関する昭和51年の大法廷判決は、実に、重要な判例です。ここでくり出されたさまざまな「法理論」のすべてをその背景まで理解できたなら、統治機構論の相当部分を理解できたといっても過言ではないと思います(少なくとも、半分以上は理解できたはずです)。だからこそ、この判決内容をモデルにした定期試験問題を平成27年度の憲法Ⅱでは55点で出題しています。ぜひ、Moodleにアクセスし、過去問集のところからダウンロード等するなどして、十分に検討してください。

 (2) ようやく「総論」がおわり、統治機構論の本体部分にはいりました。わたしの青本は、統治機構論をまず「政治原理部門」(国会、内閣、地方政府)と「法原理部門」(裁判所)にわけて論じています。さらに、そのうちの「政治原理部門」は、法律制定(国会)、執政(内閣)、財政(内閣、国会)、地方統治(地方議会、地方政府)という作用を、「法原理部門」は司法、違憲審査(いずれも裁判所)という作用を担っていることを意識して記述しています。目次を眺めるだけでも、日本国憲法の統治機構論の全体像がわかるので、時宜に応じて目次を参照してください。

 (3) そして、まず「国民代表機関としての国会」というテーマの下、「代表」概念についてお話ししました。日本国憲法は代表民主制(間接民主制)を採用しているのですが、そこにいう「代表」概念については、おおきくわけて「命令的委任代表」(選出母体の意思に法的に拘束)と「自由委任代表」(代表者に選出母体による法的拘束なし)にわかれることを説明しました。

 さらに、日本国憲法における「代表」は自由委任代表であると思われるけれども、その純粋形態は「統治者/国民」となる法理論であるので、両者の間に事実上の一致を求める「社会学的代表」が通説的見解であるということも述べています。うえに日本国憲法の代表観はおおきくわけて2つであると述べたのは、この社会学的代表は、純粋代表の変種であると、わたしは理解しているからです(ということで、3つあるとする論者もいるはずです)。

 うえの「代表」概念を語るのは、憲法条文で言えば、43条1項と51条の法的意味が何であるかを検討するときに必要になるからです。この両条文の意義は、つぎのように説明することができると思います。

 ① 43条1項-国民の代表。どの選挙区から選出されても、その選挙区の利益を代表し絵居るのではなく、全国民を代表しているということ。実体としてこういうことはあり得ないので(利害を共通にする「国民」という統一体は存在していない)、この条文の法的効果は、選挙区の利益に反する行動をした議員に対する解職請求制(リコール制)を否定することにある

 ② 51条-免責特権。議員としての活動に法的責任を負わせないことを制度として保障している。

 (4) そこで、最後に【Q】として、地方自治法80条1項のような制度を国会議員に導入することはできるか、という問題を付しておきました。上を参照して、理由をふして、答えてみてください。

 (5) ということで、日本国憲法がとっている「代表」観は、自由委任代表(純粋代表)又はせいぜいその変種であると思われるのですが、そう考えるとすると、いくつかの問題が生じます。それがプリントP26に書いてあることです。次回は、そこから講義を再開します。

週末遠征。

 suncloud

 先週末の金曜日から、bullettrain広島 → rvcar広島 → bullettrain帰熊 → airplane東京と遠征しました。

Img_1895 まず、金曜日の19日に広島にいったのは、わたしの先生と遊ぶためです。先生は「引退2年目」。隠遁生活にも慣れたようで、椎茸やら、ほうれん草やら、春菊やらを栽培して、お暮らしでした。

 とはいうものの、まぁ、ひまになって「寂しくなった」ので遊び相手がほしかったのでしょう。金曜日午後と土曜日朝にテニスしました。

Img_1924 先生の「山の家」を出て、土曜日の20日には、「先生の先生」の米寿をお祝いする会に出席しました。「先生の先生」は、人格者で学界でも顔の広い人。某有名大学(志願者数日本一)の学長もされた人です。あちこちでの挨拶や書き物をあつめた記録集をいただきました。

 この二人の先生は、ともに「豊かさ」を感じる生活をされています。リタイヤされたからなのか、もともと「豊か」だったのか。憧れの生活です。現役時代の精進の賜物でしょう。

Img_1921 で、土曜にいったん帰熊して、日曜日の21日には、東京のKO大学に行きました。逆光の福澤先生です。

 用務は、10月に行われる学会の報告者うちあわせ会に出席してきました。実はこの学会、憲法・行政法学者の集まりではもっとも大きい学会なのですが、報告者、内容は、原則、運営委員会からオーダーがはいります。多くの学会は報告者が自薦するそうなので、そこが大きな違いです。(そういえば、昨年の別の学会も、少し前の別学会も、わたしが報告させてもらった全国規模の学会は、すべて、報告者指名制度の学会でした)。

 ということで、指名されるのは大変名誉なことなので、お引き受けしたのはいいのですが・・・これから10月までちゃんと勉強しないといけない! と思った週末でした。





2017年5月18日 (木)

憲法Ⅱ(第10回)。

 きょうも sun。憲法Ⅱ日和 good

 ということで第10回講義のレビューです。ただ、なんかきょうは(も?)講義があんまちり進まなくてごめんなさい。

 m(. ̄  ̄.)mス・スイマセーン

 講義が進んでいかない原因は何でしょうね。「法セミ」のPRに時間をとったか、それとも、昨夜の「意見交換会」の話が長かったからか、、、

 (0) いま講義で扱っているところが統治と政治が混在(それが「統治機構論」の特徴でもあります)しているところなので、SBSも統治と政治が混在している質問が多かったですね。わたしが「これは政治の問題ですが」といいつつお話ししたところは、わたし専門家ではないので、是非、いろいろな先生の意見を聞いてみてくださいね。

 ここで内閣による解散のタイミングの話をしたのが、講義が進まなかった原因かもしれませんね。

 (1) 衆議院の解散については、内閣は、どのような憲法上の根拠、論拠に基づいて衆議院を解散できるのか、についてお話ししました。

 ① それには、まず69条限定説があります。非選出機関である内閣を選出機関である国会(衆議院)の下に置こうとするこの説は、内閣が憲法上衆議院を解散できる根拠と条件を明確に示しているだけに法的には説得的ですが、実務的にはありません(過去23回の解散のうち5回しか69条解散はありません)。

 ② で、69条非限定説ですが、それは、以下3つに分かれます。

 ⅰ) 7条説。ただ、7条に列挙されている天皇の国事行為は、すでに7条以外の憲法上の根拠、論拠により形式的行為になっているはずなので、7条を根拠に内閣は衆議院を解散できるとは言えないと思います。また、かりにそうだとすると、この根拠に基づく解散を統制する(非選出機関を選出機関の下におく)法理論はないことになります。ただ、実務的にはこの説にたっていると思います(したがって、解散は無条件に行い得る)。

 ⅱ) 65条説。立法作用でも司法作用でもない解散は行政作用であるとするこの説は、安直な感じがしますね。また、65条権限を天皇大権に由来する執政権であると考えて衆議院解散も内閣の執政権行使であると考えることはできると思いますが、そうすると、やはり選出部門の統制は及ばない権限になってしまうと思います。

 ⅲ) 制度説。そうすると、日本国憲法は議院内閣制をとっているのだから内閣には解散権があり、69条の規定みると解散を当該法上の場合に限定するようには読めないから、憲法が議院内閣制をとる以上、内閣は衆議院を解散しうるとする制度説が残ります。これ、説得的のようなそうでないような、、、ですが、内閣の解散権に限界を画そうとする下の法理論は、議院内閣制に関する責任本質説と解散権に関する制度説に基づいて説かれてきていると思います。

 ③ 内閣の解散権行使は議院内閣制の下、「統治方針一致の原則」が崩れたとき限定されるべきである、と考えられています。具体的場合については、青本P127~P128を参照してください。

 (2) つぎに「選挙と選挙制度」の項目(プリントP22中ごろ)にはいって、選挙権の法的性質について「権利一元説」と「(義務と権利)二元説」があること、後者が通説的地位にあることをお話ししました。この説によれば、権利能力以外に、国家機関につく資格として一定の条件を求めても憲法に反しないことになります(参照、公選11条、同252条)。

 (3) つづいて、日本国憲法における選挙の原則について、お話ししました。

 ① 普通選挙の原則(15条3項)- これは制限選挙制を否定するものです。制限選挙は、誰が国家代表にふさわしい人物かを適切に判断するためには、一定の経済的余裕、教育、見識が必要だという理由で正当化されていたことがあります。ただ、その真意は、為政者が、当該社会で長期にわたって差別や不利益扱いの対象となってきた集団(社会的少数派。必ずしも人数の多寡の問題ではない)の反体制的・反政府的投票を恐れて、彼らを選挙から排除することにあった、と解説されています。

 ② 平等選挙の原則(14条1項、44条)- 有権者の選挙権の内容に格差を設ける選挙が「不平等選挙」ないし「等差選挙」と呼ばれます。平等選挙の原則はこれを否定するものです。歴史的な例としては「男子普通選挙制」のもとで、35歳以上で妻子があるなど、一定の要件を満たす有権者に3票までの投票をみとめたベルギー下院選挙法(複数選挙制)や、有権者を納税額によって3グループにわけ、少人数の高額納税者に圧倒的多数の低納税学者と同数の下院議員を選出する権利をみとめていたプロイセン階級選挙制度が有名です。

 ③ 直接選挙の原則(国政レヴェルについて明記なし。地方公共団体の長や議員について93条2項) - 間接選挙制、複選制(それぞれ青本P135)を否定。有権者が「中間選挙人」を選出し、中間選挙人が公職就任者を選出する制度が間接選挙制。また、市議会議員が市長を互選する仕組みのように、ある公職者が別の公職者を選出する制度が複選制です。

 ④ 自由投票制、⑤ 秘密投票制(15条4項)については、青本P136でそれぞれ確認してください。

 とくに、選挙の公務性(二元説)を勘案すると、棄権に制裁を科す強制投票制(義務投票制)の導入の可否ついては、争いがあります(強制投票制の例として、オーストラリア、ベルギー、シンガポール等があります)。

 (4) 議員定数不均衡の問題については、途中で鐘がなったので、次回にもう一度お話しします。その際、衆議院議員選挙に違憲判決を下した昭和51年の最大判をとりあげますので、百選Ⅱ-153(できれば民集30巻3号223頁)を熟読してきてください。そのさいに注意すべき点を列記すると・・・

 ① 訴訟提起段階では、これが「法律上の争訟」(裁3条1項)といえるか。参照、公選法204条。但し、典型的な公選法204条訴訟ではない。

 ② 本案審理段階

 ⅰ) 被告は統治行為論(青本P276)を展開 → 司法審査権の限界の問題。

 ⅱ) 相対的平等 - 議員定数不均衡問題の本質は何か。地域(居住地)による較差に合理的理由があるか。

 ⅲ) 定数配分にあたりなぜ人口的要素ではなく行政区画等の非人口的要素に配慮してよいか - ゲリマンダーの防止。

 ⅳ) 一定の較差で「違憲状態」。なせ「違憲」でないのか → 合理的期間論

 ⅴ) 合理的期間を経過して「違憲」。しかし「無効」ではない。

 ・「憲法の所期しない結果」とは。それはなえ生まれるのか。

 ・ それを回避するために「事情判決の法理」。とは?

 講義ではまだやっていないところが多いので、予習として青本のP137~P140を読むさいの参考にしてください。

 

2017年5月17日 (水)

演習Ⅰ(第5回)。

 sun きょうは、これから野球です。

 で、きのうの3年生のゼミのレポートです。

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 こんにちは!!今回ブログを担当させていただきますA.Hです。

 先週からグループ発表が始まり、国会が二回目ということもあり、終始和やかな雰囲気で進みました!!

Photo 今回のテーマは、私人間効力論で、学生時代に政治活動を行っていたことを身上書や面接で秘匿したことを理由に、試用期間満了直前に採用を拒否されたが、これは思想・良心の自由に反するとして労働関係存在の確認を求める主張は認められるか、というものです。三菱樹脂事件の判例をもとに検討しました。この時代当時は、日米安保法案に対する学生運動が盛んな時代だったということもあり、時代背景なども考慮にいれながら考えることが重要だとわかりました!!

 そして、会社が個人の特定の思想を理由に本採用を拒否したり、面接の際に尋ねることは違法かという問題については、私企業には契約締結の自由があるため、違法ではないという結論でした。

 その後の質問ダイムでは、おびにゃんゼミの飲み会係である古谷君の質問によって、三菱樹脂事件の全体像をとらえることができたので、大日方先生にも「いい質問だったね」と褒められていました♪ 下の写真はうれしそうな古谷君(笑)

Photo_2これからのゼミもこれくらい活発にしていきたいです(*^.^*)

2017年5月16日 (火)

演習Ⅱ(第5回)。

 cloud とつぜん、なんだか肌寒い日になりました。

 きのうの4年生のゼミ・演習Ⅱのレポートがとどきました。

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 こんにちは!!前回のブログで紹介されました kjkj です。紹介の通り、ゼミ飲みの際にお酒が弱いため、1次会のあとに酔っぱらって熊本城近くの川でいつの間にか寝てしまったという忌まわしい記憶があります。さらにゼミ生でもなく綺麗なお姉さんでもなく(笑)なんと知らないおじさんに助けられました。しかもみんな私をほっといて二次会で楽しんでいたみたいですね。(友だちがいない 悲)

 許さぬ!!!!!!!

 理想と違い人生は甘くないようですね!!お酒の飲みすぎには注意しましょう。ということで今日はこの辺りにしておきます。ありがとうございました。

 という冗談は置いといて本日のゼミのテーマは「緊急事態条項とは何か」です。本日からはグループ発表ということで報告班が発表をし、内容についての質問をされ、それに答えていくという形式で行われます。ちなみに私は報告班です。気軽に読んでいただけたら嬉しいです。

 緊急事態条項とは大規模災害や他国から攻撃を受けた際などの緊急時に対応するため政府や国会に強い権限を与える法的な規定のことです。我が国ではいまだに憲法で定められていませんが、自民党の日本国憲法改正草案には盛り込まれています。これによると首相が緊急事態を宣言すれば内閣が法律と同じ効力を持つ政令を定めたり、首相が地方自治体の首長に必要な指示をすることができます。諸外国でも個別の法律で国家が緊急事態のときに対応するための規定が定められているところもあります。

 緊急事態条項は東日本大震災を経て改正憲法草案に盛り込まれ、2016年4月14日の熊本地震で再び注目されることとなりました。しかし規定の曖昧さがあり、どの程度の災害に適用されるかが明確ではありません。さらに警察法や災害救助法などにも緊急時の対応が定められており、緊急事態条項が本当に必要なのかを考えていかなければなりません。

 これに賛成の立場からは東日本大震災の後に緊急事態条項を定めていれば最初から国が前面に出て対処することができることや国と地方自治体での考えや対策の差を無くすためにも国が都道府県に指示する方が一元化されすばやい対応をすることができるという主張がされています。

 また否定の立場からは現行の日本国憲法の下ですでに高度に整備された法制度が存在していること、東日本大震災において迅速に対応することができなかった理由としては法制度があるにもかかわらず平時から災害に備えた事前の準備がされていないためであるなどの主張がなされています。私もこの意見に賛成です。熊本地震のときでさえ現行の法制度があまり使われなかったことや災害などに対応するのは地方であり、現場を知らない国側からの指示が本当に正しいものなのかについても疑問があります。

 このような報告を行った後の質問タイムではこの緊急事態条項をつくったときのデメリットや改正草案の第99条3項の例示条文などの質問が挙がり、そもそも判例がないことやいまだつくられていないため答えることが難しいと感じました。

 また先生からはそもそもこの緊急事態条項は常設の内閣が存在していることを前提としており、内閣がもし無くなってしまうといった緊急事態にはだれがどのようにして対応するのかといったことが全く記されていないという点について指摘がありました。確かに私も内閣が絶対になくなるわけないという前提で考えていましたが、見事に打ち砕かれました(立ち直れない)。またこれからの日本は想定を超える大地震やシンゴジラのような非現実的な生き物の登場(笑)、他国からの攻撃など様々なことが起きてもおかしくない状況下であり、緊急事態条項の必要性を考えていかなければなりません。以上です。

 次回のゼミのテーマは「安保法案、違憲訴訟を提起するとしたら?」です。議論の白熱を期待しておきます。

 ブログ担当はゼミのヒゴペラで1番の美人さんであるK・Hさんです。(あれ、、他にもヒゴペラいたっけなぁ、、、、 まあいいや)彼女はあの全米も泣いた超高速英語のラップを軽々と歌える才能の持ち主だそうです。どのくらい速いのだろうか、聞いたところによると1秒間に地球を7周半してしまう光の速さにも負けないくらいの速さらしいです。乞うご期待。

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«憲法Ⅱ(第9回)。

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