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2017年6月22日 (木)

憲法Ⅱ(第18回)。

 定期試験の時間割も決まり、俄然、やる気満々、てところでしょうか coldsweats02

 では、きょうの第18回憲法Ⅱのレビューです。

 (0) SBS、いつものようにたくさんの質問、ありがとうございます。きょう確認しておくことは、

 ① 「執政/行政」の区別は、ざっくり言うと、統治の基本方針を決定しそれを基に法律を制定される作用が「執政」、国会の制定した法律を執行する作用が「行政」ということになります。また、「国務大臣・行政大臣兼任制」の図を参照しつつ、執政権を国務大臣の組織体である内閣が行使し、行政権は行政大臣及び下位行政機関(行政各部)が行使することも確認してください。

 ② 「平成の行政改革」は、議会統制によるものではないので民主制の後退であるとの批判に対して、憲法73条4号に基づく内閣の行政組織監督権限を強化するものであるとしたSBSのP102の一番下の□の質問、意見。お見事でしたgood

 ③ あと、「憲政の常道」(衆議院第一党の党首が首班指名されて内閣を組織すべきであるとする憲政思想)、シビリアン・コントロール(軍隊を公選部門で統制することで軍部の暴走を防ぐ統治制度)、「鉄のトライアングル」(政財官の癒着関係)など、なにを意味しているのか確認しておいてください。

 (1) 講義の本体にはいって、きょうは、憲法73条に列挙された内閣権限についての概説からはじめました。

 【1号】 内閣に憲法上与えらえれている権限(執政権)からすると、1号は「法律を誠実に執行させ、国務を総理すること」と読み換えられるべきであるとお話しました。

 そのさい、法令違憲の法律まで執行させる義務はないことを昭和48年の尊属殺重罰規定違憲判決後の運用を例に、また、「国務」とは執政のことであることもお話しています。

 【2号】【3号】 これは、内閣に外交処理権が与えられ(2号)、そのうちのおもなものである条約締結行為について、その実体的権限を内閣に手続的統制権を国会に与えている(3号)ことを確認しました。

 【4号】 官吏に関する事務を掌理に関しては、官吏の任用、昇進について、猟官制(政治任用)ではなくメリット・システム(成績制)を採用していることをお話して、憲法15条2項「全体の奉仕者」、国公法102条「政治的行為の禁止」、人事院規則14-7(禁止される政治的行為)の意義について確認しました。

 【5号】 予算作成権・提出権(あわせて予算編成権)については、86条が国会に与えた予算議決権との関係がありますので、財政の章でお話します。

 【6号】 政令制定権については、行政立法は法規命令(法規性あり)と行政規則(なし)に分けることができ、さらに、法規命令は委任命令(法規性あり)と執行命令(なし)に分けることができることを青本P212~P213の【行政立法】を読みつつ解説しました。

 【7号】 恩赦権については、恩赦の意義を青本P213で確認したあと、上の昭和48年最大判のときの個別恩赦の意義などをお話しました。

 (2) 憲法73条以外の条項に基づく内閣権限及び内閣の責任(憲66条3項)については、プリント及び青本で確認しておいてください。

 (3) で、本日のメインイベントは、行政委員会の憲法適合性の問題でした。

 ① 国家行政組織法1条からすると国の行政機関は、内閣の統轄の下に置かれていなければなりません。「統轄」とは、国の行政機関全体が系統的に作動するようにその舵取りをする作用のことをいいます。

 ② ところが、人事院や公正取引委員会に代表される行政委員会は、内閣又は内閣総理大臣の所轄の下に置かれています。「所轄」とは、具体的権限行使については上級官庁の指揮命令に服さない法関係のことをいいます。

 ③ ということで、憲法は内閣を頂点とする一体的責任体制の下で行政機関が国務及び行政事務にあたるとこを要請しているのに、内閣又は内閣総理大臣の統轄下にない行政機関の存在を認めることには憲法65条(内閣の権限)及び憲法72条(内閣総理大臣の権限)との関係で憲法上の疑義があることになります。

 → これが「行政委員会の憲法適合性」の問題です。

 ④ で、解法については、プリントP49~P50、青本P219に記載していますので、各自で確認してください。

 この行政委員会の憲法適合性(独立行政委員会の合憲性)の問題、そろそろ裁判所事務官の採用試験あたりで出題されてもいいとここ数年思っていますが、まだ、出題されていません。そろそろではないでしょうか・・・・

 ということで、次回は内閣総理大臣の地位と権限を検討したあと、財政の章にはいります。定期試験に向けて、試験範囲、フルスロットルで拡張中です!!!

2017年6月19日 (月)

憲法Ⅱ(第17回)。

 くもりcloud きょうの憲法Ⅱのレビューです。

 (0) SBSは、国会議員の不逮捕特権(憲50条)、免責特権(同51条)について、おもにまとめてありますので、各自、復習してください。

 で、きょうから本格的に内閣の章にはいりました。が、内閣の章は、イマイチ、盛り上がりに欠けるように思います。ので、レビューというより、きょうの講義のポイントだけ記します。

 (1) 憲法65条が内閣に与えた「行政権」とは何かについて、積極説と消極説があることについては、プリントP43で確認してください。

 それよりも、わたしは、同権限は、英語では executive power とあり、これは administrative power とは違うことを強調しました。これから、前者は「執政権」と表記し、後者を「行政権」と表記します。

 で、執政と行政の違いですが、執政とは、国家統治の基本事項(内務、外交、防衛、財政、司法など、明治憲法下においては天皇大権事項だったもの)について国家の基本方針を策定し、下部行政機関に実施させる権限である、と説明しました。これに対して、行政は、法律の執行である、とも説明しました。両権限の決定的な違いを誤解を恐れずに言えは、前者は国会に法律を制定させる権限であるのに対し、後者は国会が制定した法律を執行する権限です

 そして、実は、この違いは日本国憲法も知っていることを講義しました。というのも、65条、66条3項にある「行政」の英文は executive でるのに対し、72条、73条柱書の「行政」は administrative だからです。この区別は制定者(GHQ)も下にふれるように知っていました。知らないのは日本国憲法の日本文と一部の法学者だけでしょう。

 (2) で、この執政権、日本国憲法では内閣に与えられているのですが、合衆国憲法では大統領に与えられています。英文で確認すると、、、

 日本国憲法65条:Executive power shall be vested in the Cabinet.

 合衆国憲法2条1節1項:The exective power shall be vested in a President of  the United States of America.

 ね、よく似ているでしょう。そして、日本国憲法と合衆国憲法では政治部門(執政府と立法府)について条文構造が違うというお話しもしました。というのも、日本国憲法は民主的勢力(の代表者である立法府)を信頼しているの対して、合衆国憲法は民主的勢力を警戒し伝統的勢力(君主、選挙された君主である大統領)を信頼しているのです。

 ① 日本国憲法は、明治憲法の天皇権限を内閣がひき継いでいるので、憲法上、内閣権限を統制するために、65条で執政権の帰属先を内閣としつつも、この権限の中身を73条に列挙することで限定しようとしています。これに対して、民主的勢力には期待をしているので、国会権限は41条、43条1項で包括的権限が与えられています。

 ここにも、日本国憲法制定にかかわったGHQメンバーの影響が見られると講義しました。彼らは、デモクラット(デモクラシ-・民主制に期待、信頼をおく人たち)だったのです。だから、彼らは、国会を内閣の上におき、国会の制定する法律で内閣による統治を抑制するよう日本国憲法を構想しました。

 ② 合衆国憲法は、自らが革命から成立したものであるがゆえに、また、フランス革命後の混乱を知っていたので、革命を起こした民主的勢力が統治を不安定なものにすることを警戒しました。そこで、民主的勢力の代表者からなる議会の権限を1条8節に列挙することで限定すると同時に、伝統的・保守的勢力である大統領権限には上の2条1節1項のように執政権を包括的に与えているのです。

 国家機関の政治部門(執政府、立法府)のどちらを警戒(どちらを信頼)して統治構造をデザインするのかについて、日本国憲法と合衆国憲法は、ことほどさように違うのです。

 (3) ということで、「統治の民主化」、国会による内閣統制を目指したと思われる日本国憲法ですが、そのことは、(1) でみた「執政」の広範性(法によって規制することが困難な国家作用)であったことと議院内閣制(国会のリーダーが内閣を組織し、その内閣と国会が統治方針において一致していることを制度として確保しようとする統治制度)のために、実現するのは困難なことでした。内閣は、常に、国会の上位国家機関として統治を舵取り(ガバメント)する国家機関になっていったのです。

 (4) また、国家統治における内閣の優位性は、1999年の行政改革以降において、決定的なものになったということも講義しました。

 1999(平成11)年には、わが国の「政官関係」において、いまからしても重要な枠組変更が行われました。それまでは、明治憲法以降の伝統をふまえた業種・産業ごどの省庁編成を続けてきたのですが、それが、政財官の癒着、「縦割り行政」(官僚権限の肥大化)、国会統制の欠落(族議員は官僚と連んでいるので)を生んでしまったのです。そこで、もう一度「政官関係」を政治主導のものにくみ変えようとしたのが、1999年の内閣法改正、内閣府設置、国家行政組織法改正に代表される「平成の大改革」だったのです。

 これ以降、昨今話題となった、内閣官房に置かれた内閣人事局で各省庁の局長級以上の人事を掌握することに象徴されるように、内閣が官僚組織を統制するという形式における「政官関係」が実現してきたのです。

 (5) ところで、20世紀末には上の「平成の大改革」と同時に大きな改革があった、とお話ししました。それは、衆議院選挙において小選挙区制を導入したことです。これで、政権交代を容易にすることで、内閣に公正な統治(下野する場合もあるという緊張感による統制の下での統治)が実現するはずでした。ところが、すべてを小選挙区制にしてしまうと当選者を出せない政党もあるわけで・・・ということで、比例代表並立制にしました。その結果、政権交代の可能性まで薄れてしまって・・・長期政権が実現していますよね。

 つまり、上の内閣主導の下での官僚統制という「政官関係」の組み替えは政権交代が容易である選挙システムの変更と一体のはずだったのです。ところが、その片翼が折れることで、つよい内閣だけが残ってしまいました。長期政権にあるときには、やはり、官僚は内閣の意向を忖度しながら政策実現していくしかなかったのではないでしょうか。つまり、いまの状態は、わが国の憲法以下の統治制度によって予想できた統治状況であるといえるのではないでしょうか。

 第192回常会がある種の混乱のなかで閉会したあとの憲法の講義として、すこし国家統治の大きな見方みたいなものもお話ししようと思って講義してみましたが、理解できたでしょうか。わたしの見解が正しいわけではないことをまずはお断りして、憲法の統治論というのは、条文のチマチマした解釈というよりも、こうした大きな統治の流れを政治の展開とともに分析してみる、といところに醍醐味があると思います。

 受講生のみなさんは日本国憲法下における国家統治をどう見ていますか? 是非、みなさんの統治論もいずれ聞かせてください。

 

2017年6月15日 (木)

憲法Ⅱ(第16回)。

 きょうもはれsun。つゆ、どこいったんでしょうね。

 ということで、憲法Ⅱの第16回講義のレビューです。

 本日の講義は、本体にいくまでに、時間がかかってしましました。あさ、改正組織犯罪処罰法が参議院本会議で可決、成立したからです。この法律案審議手続(中間報告)についてふれないわけにはいきませんものね。

 国会法56条の3には中間報告手続について規定されています。通常なら委員会に付託された法律案は国会法53条の手続により委員会(今回の場合には法務委員会)で採決されたあと、その結果について委員長が本会議で報告して、そのあと、本会議で採決手続にはいるという手順で審議されています。

 ただ、上の国会法56条の3第1項には議院から委員会へ要求する形式で中間報告手続について規定されていて、同条2項では「特に緊急を要すると認めたときは」(委員会採決を経ずに)「議院の会議(つまり本会議、引用者)において審議できる」ときあります。

 今回の法改正はこの手続を使ったというわけですね。政治的にはいろいろ批判があるところでしょうが、法学的には、今回が「特に緊急を要する」場合に該当するのか否かが気になるところ。ただ、学問的には批判できるのでしょうが、議院運営には憲法上の議院自律権が認められていることからすると、学問的に批判することもあまり生産的ではないような・・・

 で、SBSでは、おもに前回の国政調査権との関係で「参考人招致」(国会106条)について質問があったので解説しました。

 講義の本体部分は、

 (1) まず、国政調査権の限界について前回積み残していたので、そこからお話をはじめました。国政調査権の限界については、① 司法権との関係では司法権、裁判官の独立との関係に、② 行政権(含・検察権)との関係では職務上の守秘義務との関係に、③ 国民の権利との関係では、証人として召喚された者の憲法上の権利に注意すべし、と講義しました。プリントP39の問題について、SBSの最後に解答を【講義補遺】としてつけているので、それを参考にしつつ青本P189~P191で復習してください。これ、公務員試験に記述問題としてよく出ますので。

 (2) つぎに、議員の特権のところにはいり、まず、不逮捕特権(憲50条)について解説しました。不逮捕特権については、憲法50条の文言(「逮捕」、「会期中」、「法律の定める場合」←これ、国会法33条のことですが)について、不逮捕特権の意義に注意しつつ、復習してください。

 (3) 免責特権(憲51条)についても、その意義(古典的には国王権力からの議員の自由の保障、近時においては議員に発言、表決の自由を保障することによる議院審議の充実)との関係から、憲法51条の文言(「議員」、「議院で行った」、「演説、討論又は表決」、「責任」)の意味について、確認してください。

 また、免責特権の範囲については、病院長自殺国賠訴訟(最3判平成9年)の意義を確認してください。その判例をもとに考えると、① 国会議員の発言はいかなるものであっても免責、② 国の国賠法上の責任は「特別の事情」が立証されれば肯定、③ 但し、その場合でも憲法51条の効果から議員個人への求償(国賠1条2項)は認められない、というところだと思います。

 (4) さらに、歳費請求権(憲49条)も近代議会における代表のあり方(命令的委任代表を否定、純粋代表)を考えるうえで重要です。

 (5) で、最後に、なんとか「内閣」の章にはいれましたscissors そして、明治憲法下の内閣についてお話しましたので、プリントP42で確認しておいてください。明治憲法には内閣の規定がありませんでした。そこでは、天皇から直接任命された国務大臣が分掌について直接天皇を輔弼していたのですが、実際には、その輔弼の前に大臣間での意見統一が望ましいとの考えから内閣が置かれ、誰から代表して天皇に謁見した方がよいとの考えから総理大臣が置かれていました。また、大臣の任命についても、大命降下(組閣の要請)のあった総理大臣の推薦に基づき天皇が任命するという慣行があったとされています。

 やく2回まだ遅れていますが、なんとかするでしょう。

 

2017年6月14日 (水)

演習Ⅰ(第7回)。

 ゼミで野球をした第8回と前後してしまいましたが、3年生ゼミの第7回(6月6日)のレポートが届きました。

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Cm170606103146004_2 こんにちは!!今回ブログを担当させていただきまK.Yです。

 今回のテーマは議員定数不均衡問題で、公選法204条による訴訟提起、違憲状態/違憲の区別、合理的期間論、選挙区割の性質、参議院の特殊性理論の概要と評価などについての発表でした。

 議員定数の不均衡は、国会において、法律や制度が通常考慮しうる諸般の要素を斟酌してもなお一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達しているときは特段の理由が示されない限り違憲状態となります。ただし、この段階ではまだ違憲ではありません。しかし、最高裁が定数是正(法律改正)について合理的期間を超えたと判断した場合には、当該選挙は違憲となります。ところが、違憲であることを理由として選挙を無効にすると憲法の所期しない結果が生じるので、議員定数配分は違憲とするも選挙自体の効力は否定しない手法があり、これを事情判決の法理というということを学びました。

 そこで、この合理的期間とは実際どのくらいの期間なのかという質問が出ました。これに対いては、公職選挙法の附則により(国勢調査がある)5年ごとに選挙区割を見直すべきと書かれているので、5年を超えると合理的期間が経過したとも考えられるという回答がされました。但し、時間の経過だけでなく国会が違憲状態であることを認識していたかどうかも含めて合理的期間が判断されるということを学びました。

 今回のゼミテーマは、住所によって一票の価値が不平等になってしまうという、身近かつ重要な問題でした。

 次回は野球です!楽しみですね🎵

 

 

 

演習Ⅰ(第8回)、演習Ⅱ(第8回)。

 sun 梅雨、どこいった?

 きのうは、3年生と4年生のゼミ生の親睦をかねて、ゼミで野球baseballしました。ということで、そのレポートです。3年生のゼミ生がレポートしてくれています。

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Img_0009 こんにちは! 今回ブログを担当させて頂くH.Yです!

 今日はいつもの教室を飛び出し3、4年生合同の野球大会をしましたo(*^▽^*)o

 結果は、大日方先生率いるBチームが7-5で勝利することができました!

Img_0012 前半からBチームがリードしていましたが、後半はAチームが2点差まで追いつき、接戦となりました! が、Bチームが最後まで逃げ切り勝つことができました!

 また、テレビタミンの方が私たちのゼミメンバーであるミスユニバース熊本代表の野口真未さんを取材しに来ていました!

Img_0008 女子メンバーはあまり活躍出来なかったので、次回は少しでも戦力になれるよう頑張りたいです!!

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 Bチームはエースが降板したあと、中継ぎ陣が乱れて5失点なのですが、なんとか逃げ切ったようですね。女子は活躍できなかったとあるけど、なんのなんの。逸材が何人かいました。

 梅雨なので雨も心配していたのですが、陽ざしのない絶好の野球日和cloudでした。




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