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2007年11月26日 (月)

師匠再降臨

 曇り。雲の切れ間から薄い太陽光。

 今日の午後、わたしの大学院の時の指導教官S本M成先生が、勤務校で講演します。題名は「権力分立構造における議院内閣制」。憲法学会のアイドル(?)(ちなみに、S本先生は、いつも自己紹介のときに自らこうおっしゃるのですが、本人以外にこう言っているのを聞いたことがありません)がモンテスキュー理論から権力分立構造を説き明かし、議院内閣制の通説的理解(わが国はイギリス・モデルである)を明確に批判する講演が聴けそうです。

 指導教官が降臨するということで、駅までのお迎え、講演資料の準備、歓迎会の手配と、そわそわの一日が始まりました。

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 講演の内容は、やはり「全国区」の内容だったように思います。ただ学部1年生が多くの受講者だっただけに、スッキリと理解されたというわけにはいかなかったかもしれません。受講者のモヤモヤした気持ちをホローするのが、わたしの役割というところでしょう。(1番できるわけではありませんが、1番目の弟子なので……)。

 とりあえず受講生には講演の余韻があるうちに、日本国憲法の条文で以下のことを確認しておいてもらいたいと思います。

 ①講演ではわが国の権力分立が完全分離型ではなく相互作用型である、とありました。この点を法律の制定手続を例に、条文で確認してください。41条で国会に立法権限が憲法により付与されていますが、その国会も衆議院と参議院という独立した2つの組織体で構成されていること(42条)、また国会は天皇の国事行為である召集があってはじめて立法権が行使できること(7条2号)、2院の意思の合致により成案をえた場合でも、74条により主任の国務大臣の署名および内閣総理大臣の連署が法律の成立には必要とされていること、ついでに天皇の公布が法律の施行要件とされていること(さて、これは何条でしょう)。こういった点を確認すれば、立法権は国会が行使する、という完全分離型ではなく、ある権限(ここでは立法権)を行使するために複数の国家機関が(衆議院、参議院、内閣総理大臣、国務大臣等)関与することで相互の国家機関の間にチェック・アンド・バランスのメカニズムをもたせようとした日本国憲法の狙いが鮮明になることでしょう。

 ②内閣は「行政権」を行使するのではなく「執政権」を行使していること。このことを65・66・72・73条の英文で確認してみてください。日本国憲法上「行政」という言葉があてられている原語は、実は2種類あることがわかるでしょう。行政を法律の執行であると定義するなら、内閣権限が法律の執行に止まらないことは明らかです。憲法制定者は「執政」と「行政」の区別を知っていたのです。(三省堂からでている『模範六法』には日本国憲法の英文も採録されています)。

 (2007年11月27日記)

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