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2007年12月19日 (水)

「シェーン」延命ならず

 くもり。でも雲の切れ間から陽光も。おはようございます(というほど早くもありませんが)。

 最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長。「ときやす」と読む。行政法学者)は、昨日18日、1953年に公開された「シェーン」の著作権について、2003年末で保護期間が切れたとの判決を下しました。

 著作権法54条1項は映画の著作物について、その著作権期間を公表後70年と規定しています。ただ、この現行法は2004年(1月1日)から施行されました。改正前著作権法では、公表後50年の保護期間が、映画の著作物について与えられているだけでした。

 ポイントは、2004年施行の現行法の付則にある「この法律の施行の際、現に著作権がある映画に適用する」という文言の解釈です。「シェーン」の著作権保持を主張した米国の映画会社(と日本での権利をもつ東北新社)および文化庁は、2003年末(すなわち12月31日午後12時)というのは2004年1月1日午前1時(00分00秒)と見なせるので、旧法下で2003年末に著作権が切れるとされていた「シェーン」にも改正法の規定が適用される(すなわち20年間延長される)、と考えていたようです。

 この点について最高裁は、一般的な時刻、日付の用いられ方からすると、「シェーン」の著作権は2003年12月31日に消滅したと理解すべきである、との判断を下しました。また、立法者には「シェーン」など1953年発表の映画の著作権を延長する意図があったはずだとの主張に対しても、国会審議を見てもそのようなことは明らかでない、文化庁の担当者がそう想定していたにすぎない、と一蹴しています。「シェーン」の延命はなりませんでした。

 米国では1998年の著作権法改正により、2003年に切れるはずだったミッキーマウスの著作権が、2023年まで延長されました。「ミッキーマウス延命」と報じられたこの彼の国での著作権法改正にも、結局は既存の権利者の権益保護の側面(強力な利益団体の既得権保護の側面)が見え隠れして(場合によっては全面に現れて)いて、そこには知的財産の公正な享受の視点が欠けているように感じます。

 昨日の判決は権利者ではなく利用者側に有利な内容でした。ただ「知的財産はいったい誰のものなのか」、知財をめぐる基本哲学の構築にはまだ時間がかかることでしょう。

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