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2007年12月27日 (木)

裏声で歌え君が代

 快晴です。年末に雪がちらつく予報があるとは思えません。

 先週から読み続けてきた丸谷才一『裏声で歌え君が代』(新潮文庫、1990年)をようやく読み終えました。購入以来、読もう読もうとは思っていたのですが、文庫とはいえ600頁に及ぶ分量に、まとまった時間が必要だったので、年末というのはよい機会でした。

 この本の内容をひと言で表すとするなら、それは池澤夏樹による「解説」にあるように、「国家論」というしかないでしょう。国家というのはどのような存在なのか(確かに存在している)、わたしたちは国家とどのように向き合っていけばよいのか、ということについて、もちろん結論を得るまでには至りませんが、考えるきっかけを与える良書だと思います。

 日本という比較的国家というものを意識せずに生きていける環境で、なお薬害訴訟とか集団自決に関する教科書の記述のこととかに思いをはせるとき、朧気に浮かび上がるその姿を看取するよい材料でした。

 また丸谷が主人公である画商・梨田雄吉の口を借りて述べる君が代の歌詞の解説や、日本軍の非合理性(深夜こっそり敵を殺傷するさいにも日本軍の美意識として喊声をあげて突撃すると考えていること)など、さらに解説者が「謎の黒幕」と評している台湾独立運動反対派であろう朱伊正が、西欧近代国家の「民衆が、民衆を、民衆のために統治する民主主義」をいうのは結局のことろ治者と被治者の同一性を説いており、話に無理があるとしている件、「古代的な、少数者による政治のほうが、うまくいくような気がします」というところなど、考えさせられる記述が盛りだくさんでした。

 ただ、小説という作法ゆえ仕方ない(というかそれが真髄)かもしれませんが、ところどころに織り交ぜられているエロティックな記述は、いまのわたしには不要でした。

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