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2008年3月 5日 (水)

高瀬舟

 晴れているような曇っているような。

 論説原稿がひといきついたので(煮詰まったので)、昨日の『哲学ディベート』から派生した文献を2本よみました。

 1本目は、江藤淳の自死と遺書を受けて書かれた石原慎太郎「さらば、友よ、江藤よ!」文藝春秋1999年9月号です(大学図書館から借り出しました)。これは自らの死について「諸君よ、これを諒とせられよ」と請う有名な遺書を受けて物された旧制中学同期生による追悼文です。湘南中学時代の江頭淳夫少年の早熟ぶりやその後の卓越した国家認識を、石原が寂寥感の中で回顧しています。大切な友を失った喪失感、妻を失った友の力になれなかった無力感が、全文に漂っています。江藤が自死した日の午後、関東一円は激しい雷雨に見舞われていました。「あの雨さえなかったらなーー」という石原。ふとしたことで、人は死を決断するのかもしれません。江藤淳の自死を美化することには賛否があります。ただ、友の死を決して貶めてはならないという石原の意思が強く感じられる文章でした。

 もう1本は、森鴎外の「高瀬舟」です。

 鴎外の「高瀬舟」は高校のときに読んだように思います。当時はeuthanasiaとはなんのことかよく知らず、ただ、鴎外の作品だというだけの理由で読みました。大学に入ってから鴎外の「高瀬舟」が安楽死を扱っていると自覚してから、読もう読もうと思っていて、ついに今まで読みませんでした。安楽死を論ずる文章のなかではよくこの「高瀬舟」が取り上げられているので、そういった文章のなかで、もう「高瀬舟」の内容はよく知っていました。鴎外の「高瀬舟」の内容は、わたしが紹介するまでもないでしょうから、ここでは措きます。

 「高瀬舟縁起」のなかで鴎外自身が明らかにしているように、これは池辺義象校訂の『翁草』に出ているはなしを、鴎外が翻案したものです。鴎外は、『翁草』の該当箇所から、「財産の観念」と「ユウタナジイ」をモチーフに「高瀬舟」を書いたようです。

 最近わたしは、著作権について勉強しています。鴎外の「高瀬舟」にふれて、優れた作品も、先行著作物の翻案でできているのだぁ~、と改めて感じました。鴎外が死亡したのは1922年です。鴎外の「高瀬舟」の著作権は切れているので、いつかは、鴎外の「高瀬舟」を自由使用した、誰にでも読まれるような優れた作品にお目にかかれるかもしれませんね。

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