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2008年7月22日 (火)

アメリカと私

 酷暑、酷暑!でも、これからひと雨きそうです。

 先週末は、母校で定期的に開催されている研究会に久しぶりに出席してきました。研究会では、違憲審査における目的審査の精緻化を提唱するもの、課税手続における事前照会について検討するもの、という憲法と税法に関する報告がありました。詳しい内容をお知りになりたい方は、わたしのところに資料がありますので、ご連絡ください(←教授会報告事項風)。(ついに身内ネタ)。

 母校は広島にあるのですが、広島への出張のときにはいつも、広島駅在来線口にある「わがままおまさんのシュークリーム」というお店のケーキを買って帰ります。わたしのケーキ評価の基準をなしているお店です。このところ同業他社のお店が同じ場所に出店してきたため、店舗が小さくなっていたのが気がかりです。いつかここの「トトロのケーキ」を買って帰りたいと思っているのですが、なかなか機会がなくて……。ところで、このお店と同じレシピを利用しているのではと思えるお店が、熊本市帯山か長嶺あたりの産業道路沿いあるのですが、どうなのでしょうか?わたしの思い違いでしょうか。わたしの感覚では、熊本の方が若干、甘いと思うのですが、もともと違うレシピなら当たり前ですよね。また、近々、レポートします。

 熊本・広島往復の間に、江藤淳『わたしとアメリカ』(講談社文芸文庫、2007年)を読みました。

 著者がアメリカ滞在中(1962年8月~1964年8月)に感じとった「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」が、さまざまな話題を転回するなかで語られています。当時は、公民権運動、キューバ危機、そしてケネディ暗殺と、アメリカにおいても激動の時期にあったわけで、そういう状況の中で日本人である著者が、深い感受性のもとで体感したアメリカ社会の深層が、鋭敏な筆づかいで描かれています。1972年にこの基となる本が公刊されているのですが、35年以上経った今でも、一読の価値ある本だと思いました。

 「アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ」にかかわる記述ばかりでなく、わたしが感銘をうけた部分がいくつかあります。そのうちの一部分を引用します。日本では文芸評論家として名が知れはじめていた著者が、プリンストン大学の2年目の滞在時には教鞭を執ることになり、その第1回目の講義開始時の風景です。

 「私が……話はじめると、学生はいっせいにペンを動かして、ノートをとっていた。それは、意外に感動的な光景であった。私は、いわば、それまでに思いも及ばなかった新しい生き甲斐のようなものが、自分のなかに芽生えはじめたのを感じた。それは、今まで私のなかで眠っていた「教師」という可能性が目覚めたというだけのことではない。私が、講義するという行為を通じて、過去から現在までの日本文化の全体に対して、自分を捧げているという感覚である。思えば、私はある確信をもって自分を捧げられるものの到来を待っていたのかも知れない。おそらくは深い無意識の奥底で。そして、今、私は、それがついにやって来たことを感じているのかも知れなかった。」(138頁)

 わたしも講義をしたりその準備に勤しむなかで、著者のような感覚を得て、なんともいえない満足感に浸ることがあります。それは大げさに言えば、学問の発展のその中に身を投じ、それを学生とともに体得しているような感覚です。思えば、わたしが学部生として憲法の講義を受けていた内容と比べて、現在の憲法学は、学問的内容としては格段と進歩していると思います。それは単に重要判例の数が増えたことだけではなく、既存の分析枠組みを何度も打ち壊す中で獲得されてきた憲法学の現段階での到達点が、20年前と比べれば、もちろん高水準になっているということです。この憲法学の営みを学生の前で講じることができ、その講義を学生が聴いてノートをとる場面に出くわしたとき、わたしも著者と同じような感激と、憲法学に対する責任のようなものを感じたことがあります。もっともこのような憲法学の発展についてのわたしの感激・感覚が、学生にどの程度伝わっているのか、一抹どころではない不安もありますが……。だいたい話している本人が感動しているときには、学生は引いているというのが、講義の常でしょうから。

 (ちょっと今回はえらく熱のこもった内容ですが、悲しいかな、憲法学の発展にわたしがどの程度寄与しているかと言えば……それは皆無ではないことを願うばかりです)。

 というわけで、わたしが今まで読んだアメリカ留学・滞在本のなかでみなさんに紹介したいのは、藤原正彦の『若き数学者のアメリカ』(新潮文庫、1981年)と、阿川尚之『アメリカン・ロイヤーの誕生』(中公新書、1986年)ですが、本書も大変興味深い本でした。アメリカに留学したくなりました。

 【追伸】広島にいったとき感じたこと。この時期は、どこでも暑い。

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