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2008年7月 1日 (火)

言論・出版の自由

 晴れ!でも明日から雨。

 もう7月です。定期試験のことが気になる時期になりました。7月はじめの記事として、本の紹介です。紹介するのは、『失楽園』で知られる(渡辺淳一ではなく)ジョン・ミルトンの『言論・出版の自由』(岩波文庫、2008年)です。

 この文庫には、検閲の禁止を求めてミルトンがイングランド議会に向けて行った演説である『言論・出版の自由:アレオパジティカ』(1644年)と、個人の尊厳をもっとも保障する統治形態は共和制であるとした『自由共和国建設論』(1660年)の2篇が収録されています。

 『言論・出版の自由』には、カトリック教会の異端審問所にその発祥をみる検閲制度について、それが人類の知の発展にとっていかに弊害となるかを、ミルトン心の叫びともいえる言説によって唱えています。そのことは、たとえば「あらゆる自由にまさって、知り、発表し、良心に従って論ずる自由を私に与えよ。(原文改行)今まで受け入れられてきた事柄に対し、新奇とか不当とかの理由で抑圧するのは……有害にして不適当なこと」である(72頁)という件によく現れていると思います。

 『自由共和国建設論』では、数による多数者支配の弊害を説きつつ、議会議員の地位について選良終身制の導入が主張されています。その背景には、訳者・原田純さんの「解説」にあるように、「数を集めれば国権が転がり込む権力産出方式は政治的魔術」(190頁)という多数だから支配するということについての懐疑的見解があるものと思われます。民主制はとかく「数の論理」によって国政運営されるきらいがあります。この「数の論理」により独裁制を承認してしまうような「自滅議会」(187頁)とならないよう、ミルトンは選良による統治を望んだのでしょう。

 ミルトンによる見解の是非は別にして、『自由共和国建設論』は、統治のあり方を考える際に今後とも読み継がれていくべき書物であると感じました。

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