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2008年8月11日 (月)

戸棚の奥のソクラテス

 またまた暑い一日です。帰省先でこのブログをお読みの方も(いるわけないか)。

 それにしても北島さんはすごいですね~。100メートル平泳ぎの決勝があった本日の話題は、これ一色でしょう。

 というわけで、オリンピック観戦の合間を縫うように、ルーシー・エア『戸棚の奥のソクラテス』(集英社、2008年)を読みました。

 〈哲学は人生をよりよいものにできるか〉。このことを肯定するソクラテスと、人生の意味とか善とは何かという「語り得ないものには沈黙しなければならない」という態度を示すウィトゲンシュタインが哲学者の死後の世界「イデアの世界」の総裁の座をめぐって展開する哲学ファンタジーです。

 哲学ファンタジーといえば、ヨースタイン・ゴルデルの『ソフィーの世界』(日本放送出版協会)が有名ですが、二匹目のドジョウとなるでしょうか。

 主人公は高校生のベン。ソクラテスとヴィトゲンシュタインの争いのケース・スタディとして「イデアの世界」につれて来られて、そこでさまざまな哲学問答を体験します。はたして、哲学は人生をよりよいものにできるのでしょうか。

 栗木さつきさんの「訳者あとがき」にある哲学問答の例はつぎのものです。

 「きょうのきみと、きのうのきみとは、おなじ人間?」(5年だてば、人間のほとんどの細胞は入れ替わるようです)。

 「脳を移植したら、〝ぼく〟はどこに行ってしまうんだろう」(ある人と脳を交換したら、〝ぼく〟は、脳を移植した先にあるのでしょうか、それとも、もとの身体にあるのでしょうか。でも脳は違う人のもの・・・)

 「ひとりの命を犠牲にしても、大勢の人の命を救うほうがいいのだろうか?」(生命倫理で最初に聞かれる問題ですね)

 この他に、わたしが気になった哲学問答として、

 ・チップスの味のような個人的感覚について、人と比べることができるか。

 ・現実と夢の区別はできるか。覚醒していると思っている今が、なぜ夢ではないといえるか。→感覚は存在する。世界は感覚を通した経験としてなら存在する。しかし、五感に信頼はおけるのであろうか。五感はときにわたしたちを騙すのでは?(懐疑主義)

 ・心は脳そのものか。それとも心には脳を超えたはたらきがあるか。→思考は特別な精神活動なのか(心と身体は異なるという二元論)。それとも魂とて物質か(万物は物質でできているとする唯物論)。

 ・感覚の背後に因果関係が隠れている。→自由意志による決定など存在しない。人間の行為の原因は自らにない(決定論)。

 ベンも夏休みに「イデアの世界」に連れて行かれる設定です。ちょうど夏休み。このブログをお読みのみなさんも、ベンと一緒に、哲学体験をされてはいかがですか。

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