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2008年11月 5日 (水)

新・近代立憲主義を読み直す

 まずまずの晴です。少し身体を動かすと汗ばみます。

 昨日の学園祭休みを利用して、わが師の本『新・近代立憲主義を読み直す』(成文堂、2008年)を読みました。

 本書の前半(第Ⅰ部)は、近代啓蒙思想批判にあてられています。

 J・ロックやJ・ルソーに代表される近代啓蒙思想は、個人の合理的・理性的自由意思に基づく国家樹立を説いてきました。この思考法がわが国の憲法学に与えている影響は絶大です。これに対して、D・ヒュームやA・スミスに代表される伝統主義は、日常生活に従事する市井の人びとの相互承認のなかから徐々に規範が生成され、その規範のエンフォースを確保するのが国家の役割であると説きました。本書は、後者の思考法の上に、新しい国制論を展開するものです。

 第Ⅱ部は、立憲主義思想にとってときにその典型例とされるフランス革命・フランス人権宣言批判にあてられています。

 この議論を展開するにあたり本書が重視したのは、G・ヘーゲルによるフランス革命の見方でした。ヘーゲルは革命期こそ「新しい世界」の到来を賞賛しましたが、のちに、革命思想の空虚さをつぎつぎと明らかにしていきます。とくに自然権的権利の抽象性を否定して、ヘーゲルは、権利は市民社会のなかで生まれ、国家という実体に支えられてはじめて有意となることを説きました。自然権というのは、制度的支えを持たない空虚な権利である、というのです。わが国におけるヘーゲルは、マルクス(主義)の影響を受け、相当なバイアスのもとで理解されてきてしまっているようです。

 わが師が本書の初版刊行を準備していた当時、わたしは院生・助手(←懐かしい響き)としてその近くにいました。師の謦咳を接しながらわたしも本書執筆のために参照された同じ書物を読みましたが、理解度には雲泥の差がありました。昨日、今日と、この本を読み返してみて、その差はまだまだ少しも縮まっていないように感じます。

 学問の道は険しくで遠いことを思い知った学祭休みでした。

 ところで、この学祭期間中は、放送大学で講義をしました。学生のほとんどが社会人ということもあって、実に真剣な講義態度でした。久しぶりに緊張感のある講義になりました。教員を育てるのは学生であることを実感しました。

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