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2008年11月14日 (金)

21世紀図書館

 少し雲がかかっていますが、それでも晴れの部類でしょう。

 来週の講義準備の合間に、評論家・立花隆さんと起訴休職外務事務官で作家の佐藤優さんとの間で行われた討論「21世紀図書館 ― 必読の教養書二百冊」(文藝春秋12月号)を読みました。

 それぞれ100冊ずつ、教養書としての必読書を上げ、その選定理由を中心に興味深い討論がなされています。合計200冊のなかでわたしが読んだことがあるものはあまりなかったのですが、それでも立花隆さんがロールズ『正義論』をあげていたのをみて、これは読んだことがある(笑)と思ったりしました。

 具体的な書籍のリストは現物を見てもらうことにして、討論のなかで気になったフレーズについて。それは、読書をすることの重要性を説く中でのことです。

 佐藤さんは、田邊元の『歴史的現実』(こぶし書房)を必読書にあげているのですが、それは、立花さんが「個人の生命は有限であるが、大義のために死ねば永遠に生きる、ということを説いた本ですね。ある意味で大東亜戦争のイデオローグになった。」(164頁)と評する本です。でもなぜ佐藤さんはそれを必読書としてあげているのでしょうか。佐藤さんは、立花さんの発言に続いて、以下のようにいいます。

 「そうです。目で追って読めば論理は相当怪しいのですが、声に出して読むと今の我々が読んでも『ああ、やっぱり悠久の大義のために命を差し出したい』と身体が反応するんですね。田邊元が京都帝国大学で昭和十四年に行った六回の講演をまとめたものですが、当時の京大生は、田邊の声を直接聞くことで『これだ』と直感し、本を携えて特攻機に乗っていったわけです。ですから、音の世界、声の世界に騙されないようにする、読書による知的トレーニングは現代でも必要ではないかと思いました。」(164頁)

 同じページにはこれも佐藤さんの発言のなかに、毛沢東も本を読めば人間は愚劣になるという論文を書いて、中国における読書文化を立ち、思考する脳回路を停止させようとした、ということが述べられています。

 大学における講義もこのことがあてはまると思います。ある説によると、講義の内容を自分で勉強しようとすると、その3倍の時間がかかるといいます。だから講義は効率的に学習できる有意なものだ、ということなのですが、ただ、自分で読書するなかで、効率的ではないけれども、自分の頭で納得できるまで学習するということも重要ななのではないでしょうか。あるテーマ、事例について、自分はどのように理解したのか。判例について、先生は・・・・と解説しているけど、実際に判決文を読んでみて、自分の理解を構築してみる。それは稚拙でもよいと思います。自分にはどう読めるのか、ということを実践するなかで、豊かな思考力は身についていくのでしょう。

 と偉そうにいいますが、はたして自分はどうかといえば、これは心もとないです。とくに学生時代にそんなことをしたかといえば・・・・。また、大学で教える身でありながら、講義の効用に懐疑的だなんて・・・・。

 だんだんとりとめもなくなってきましたので、また講義の準備に戻ります。

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