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2009年1月13日 (火)

天皇家の財布

 朝、雪がちらつきましたが、いまは晴れています。それにしても寒い週末(連休)でしたね。

 わが家の連休は安・近・短ということで、プリキュワの映画を観にいきました。といっても、わたしは実際の映画館までいったのですが、大人1800円にビビって、本屋さんで本を購入し、スタバで時間を潰していました(妻はレディース・デーで1000円でした)。

 スタバで読んだ本は、森 暢平さんの『天皇家の財布』(新潮新書、2003年)です。

 この本は先日の「慰労会」(1月6日)の席上で話題になり、気になったので読んでみました。

 まず著者は、皇室には4つの財布があるとします。そのうち3つは、憲法の講義でもふれる宮廷費、内廷費、皇族費です。宮廷費は公費、内廷費と皇族費は「御手元金」よも呼ばれているように私費です。このほかに、宮内庁費があるというのです。これは、もちろん公金です(広義の皇室関係経費としては、このほかに皇宮警察に関するものもあります)。

 「4つの財布」のいずれも宮内庁が管理しており、同じものを買うにしても、その使途に応じて違う財布から支出しているようです。(たとえば、同じ鉛筆でも、「天皇陛下の公務用であれば宮廷費、愛子さまのお絵かき用ならば内廷費、秋篠宮さまのナマズの研究用だったら皇族費、職員の事務用なら宮内庁費」(14頁)というように)。また、同じ学習院の授業料でも、愛子さまのものは内廷費からなのに、もし愛子さまが男の子なら、宮廷費とのこと。これは女性天皇が認められていないことに関係しているようです。皇位継承者の教育は公費で(したがって宮廷費で)支出するとのことです(75-76頁)。

 このように結構詳細に使途目的に応じて財布が使い分けられているようですが、実は、これほど単純ではないと著者はいいます。公使の区分はそれほど明確ではないでしょうし、実際の生活には、さまざまな費用がかかりますから。その辺のところは本書を読んでみてください。本書は、プライヴェートにかかわるような事柄についての紹介もあり、興味深く読み切れます。天皇家も株式投資をしているとか、宮廷費・内廷費・皇族費は非課税だが、それ以外の収入(たとえば印税収入など)は、天皇陛下の場合なら住所のある千代田区に、皇太子殿下の場合には港区に、それぞれ納税していることなろ、「天皇家カルトQ」ネタもありました。

 また、日本国憲法88条で「すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」とし、8条では「皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基づかなければならない」と規定しています。この理由を著者は「戦前の皇室が巨額な財産を持ち、政治・軍事上の支出に充てられた反省に立っている。財産が莫大になり影響力が膨らむことで、皇室が国会の統制外に陥る事態を憲法は禁じているのだ」(88条の文脈で106頁)としています。ただ88条にいう皇室には宮家は含まれないと考えられていることから、宮家の財産は、一般に宮内庁そして国会の統制からは距離を置かれているといいます。この理由は本書には書かれていませんが、おそらく天皇(家)が日本国および日本国民統合の象徴(1条)である(したがって政治的・社会的影響力からより中立的であることが要請される。中立的であるからこそ、象徴としての機能を果たせる)のに対して、宮家はそうではないからだということでしょう。

 憲法の講義では詳細に触れる余裕のないお話がされており、統治機構を読んじる際には紹介したい1冊でした。

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