無料ブログはココログ

わたしの著書

  • 憲法Ⅰ 総論・統治機構論
  • 憲法Ⅱ 基本権論
  • 著作権と憲法理論
  • ロールズの憲法哲学

« 期限のある仕事と、時間の拘束を受ける仕事。 | トップページ | イル・ポスティーノ »

2009年1月30日 (金)

国家の読み解き方

 雨が降っています。

 今日は、午後から、ある審議会に出席するため外出します。その前に、途中まで読んであった原田武夫『国家の読み解き方』(勁草書房、2006年)を読みました。

 全体としては、立憲主義、「国家からの自由」を標榜している「戦後日本憲法学」(宮沢-芦部-以下、東大の人たちとつづく(?))が国家権力の縮減を目指す議論を展開し、「官から民へ」を旗印とする最近の国の政治もそれに同調しているため、国家そのものの存在が希薄化してしまっていることに警鐘を鳴らす本です。

 元外交官という著者の経験から得た知見をもとに、国家や憲法というのは、外交交渉の場面でその機能がもっとも先鋭化するとの立場から、以下のように述べています。

 「・・・『官』を解体することが、結果として国外の第三者の利益になっていないかというチェックも必要ではないでしょうか。日本の島国を一歩でも踏み越えた瞬間、国外では世界各国が『国富』の奪い合いを演じているのが国際社会の実態です。そのような中で、思慮なく自分から丸腰になっていくような国があり、かつその国が人一倍、『国富』を溜め込んだ国家であったとしたならば、他国の目には一体どのように映るでしょうか」(174-175頁)。

 これは職業官僚制の「非効率性」、「不透明性」を批判し、いわゆる構造改革(「官から民へ」)を唱える言説に対する批判という文脈で述べられています。規制緩和により外国資本が続々とわが国に入り込んで来て、一方でわが国の消費者の利益になっている反面で、他方わが国の「国富」が外国に移転してしまっているようにも見える現状に、国家が担う本当の役割は何なのかを考える上で参考になる視点が、随所に散りばめられていました。

 この本の副題には「憲法学という教養」とあります。わたしは本書の内容に全面的に賛同するわけではありません。ただ、とくに統治機構論を考える際、はたして国家とは何者なのか、その役割は何なのかを思索するための副読本として好適書であると感じました。

 著者の略歴からドイツを専門としていたようで、この本のなかにもシュミットやスメントの見解が引用されてします。

« 期限のある仕事と、時間の拘束を受ける仕事。 | トップページ | イル・ポスティーノ »

読書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/499918/27600164

この記事へのトラックバック一覧です: 国家の読み解き方:

« 期限のある仕事と、時間の拘束を受ける仕事。 | トップページ | イル・ポスティーノ »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30