無料ブログはココログ

わたしの著書

  • 憲法Ⅰ 総論・統治機構論
  • 憲法Ⅱ 基本権論
  • 著作権と憲法理論
  • ロールズの憲法哲学

« 父の日参観。 | トップページ | 臓器移植A案衆院通過。 »

2009年6月16日 (火)

生存権

 きょうも晴れです。テンションが上がらないのは疲労のせいでしょうか。前期も半分が過ぎ、なんだか中だるみ真っ最中です。

 そんななか、立岩真也・尾藤廣喜・岡本厚『生存権』(岩波書店、2009年)を読みました。

 本書の編集者「堀切くん」(?)が3人の論客と生存権をめぐって対談しています。生存権といえば憲法25条を思い浮かべますが、憲法の読み物というよりも、社会保障法の読み物という感じでしょうか。生存権訴訟の先駆けとなった朝日訴訟から、「ワーキング・プア」問題といった現代的話題まで、扱われています。

 そのなかで尾藤さんが地方分権と生存権保障(社会保障)との関係を、その費用面から述べているところに目がとまりました。尾藤さんはつぎのようにいいます。

 「生存権の保障を分権化した場合にですよ、地方に財源がないということで、それで生存権の空洞化っていうのはあり得るわけで、私は地方自治の問題も実は二十五条と関連しているんだということを忘れちゃいかんと思うんですよね。あんまり言われていませんけど。自民党の案では、地方自治の条項の面で、そこが後退しているんです」(66-67頁)。

 先日2年生のゼミで2005年11月3日に発表された自民党の「新憲法草案」に少しふれました。それは地方自治体の経費について、94条の2で、つぎのようにいいます。

 「地方自治体の経費は、その分担する役割及び責任に応じ、条例の定めるところにより課する地方税のほか、当該地方自治体が自主的に使途を定めることができる財産をもってその財源に充てることを基本とする」。

 上記尾藤さんの発言は、この条文を想起しながらのものだと思われます。自主財源を得てこその地方自治だとは思いますが、国民の最低限の生活保障(この意味あいにも注意すべきことは立岩さんが述べています)こそ、国家の役割であるともいえると思います。社会保障のナショナル・スタンダードを維持し高めていくことは、地方分権化のなかでも国家の、そして国家にしかできないことかもしれません。

 いずれにしても『生存権』は下級生にも読みやすい内容と長さになっています。是非、一読してください。

« 父の日参観。 | トップページ | 臓器移植A案衆院通過。 »

読書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/499918/30131245

この記事へのトラックバック一覧です: 生存権:

« 父の日参観。 | トップページ | 臓器移植A案衆院通過。 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31