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2009年7月15日 (水)

Justice in Robes

 青空も見えますが、厚い雲もあります。

 新カテゴリ「英米の法理学、米国憲法」をはじめます。これは、わたしの「積ん読」本を紹介するカテゴリです。ネタがないときに、ブログを更新するための、いわば「送りバント」のようなカテゴリにしようと思います。

 第1回目は、Ronald Dworkin, Justice in Robes, 2006. です。

 著者のロナルド・ドゥオーキンは、ニューヨーク大学ロースクールの法哲学の教授です。本書は法命題のなかに道徳的規準が含まれているとする彼の見解に対してなされた批判的見解への応答論文を再録したものです。

 とくにリチャード・ポズナー裁判官のプラグマティズムの手法を用いた法分析を反論し、ポズナー自身も道徳理論に回帰しているという第2章、第3章など、読み応えのある論文が収録されています。

 また1992年に亡くなったH.L.A.ハートの遺稿(The Concept of Law, 2d ed., 1994 の補遺)への応答論文(第6章)は、重要な論文だと思います。ドゥオーキンの法政策的にリベラルな立場の基盤をつくっている legality 概念の淵源が探究できる論文です。

 さらに最終第9章はジョン・ロールズの法哲学をもとに、これは本書全体を通して言えることですが、裁判官の言説のなかの正義を探究しています。

 ここ30年間、法哲学論争の常に中心に位置してきたドゥオーキン。本書では、法実証主義を痛烈に批判する彼の見解が鋭敏に表明されています。

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英米の法理学、米国憲法」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。憲法Ⅱを受けている二年生です。
レジュメ88ページ、【Q】宗教法人が経営する幼稚園への助成金、私学助成金の合憲性について質問があります。
口頭で質問しようかとも思ったのですが、うまく頭の中で言いたいことがまとまらなかったのに加え、文章にして講義後に渡す時間もなく、
また試験が迫っていることもあり、ここで質問させてもらいたいと思います。

この論点の解法について、教科書、レジュメの見解をまとめると
・私学教育が重大な国民的関心事であるとしても、89条の制約は厳格に捉えるべき
・26条との関係を考慮しても、なお厳格である必要がある
・したがって、26条の権益を考慮しつつ89条後段の要請を満たす教育助成制度の採用が必要
・こうした制度によらない助成金支出は違憲(よって本問の行為も違憲?)
になる、と思います(違ってたらすいません。出直してきます)。
この見解は「公の支配」についてどのように捉えているのでしょうか。
89条の統制は厳格でなければならない、という文からは「公の支配」について厳格説に立っているように理解できますが、
他方、各種要請を満たした教育助成制度によれば合憲となるのであれば、緩和説に立っているようにも思えます。
また、この解法だと「宗教法人が経営する」の部分について言及されませんがかまわないのでしょうか。
結論が89条全体から違憲となるのであれば、前段、後段と分けて検討せずとも同じなのかもしれませんが・・・
私が講義中に聞き逃していた内容であったり、質問するまでもない内容だったら申し訳ありません。
試験まで時間もないのでもう自分なりに解答を作り始めたので、お答えいただいた内容が解答に反映されないかもしれませんが・・・
出題されたか否かはともかく、よろしくお願いします。

 質問ありがとうございます。
 いくつかの個別の質問にお答えする形で、質問への回答とします。
 まず、89条後段の「公の支配」についての厳格説/緩和説の意味あいについて。
 厳格説は、国・地方公共団体の統制が強くはたらいている場合でなければ、換言すると、当該事業の人事や予算等に国・地方公共団体の直接的統制がなされているような場合でなければ、公金の支出を禁止するものです。これは89条後段の「公の支配」が「厳格に」なされていない事業への公金支出を禁止する、という意味あいでしょう。
 緩和説は、これに対して、当該事業の構成、人事に国・地方公共団体が直接関与していない場合でも、法制度等により一応の規制がなされていれば「公の支配」がなされている、と捉える考え方です。これは89条後段の「公の支配」を「緩和」して考えて、教育・福祉事業への公金支出を広く認めようとするものです。
 電気鼠さんのコメントのなかにある「こうした制度によらない助成金支出は違憲」という部分を国・地方公共団体の直接的統制下にない事業体への公金支出だから違憲という意味で使っているなら、それは厳格説的思考のもとでの帰結でしょう。また、「各種要請を満たした教育助成制度」という部分がもし教育基本法、学校教育法、私立学校法等の現行教育関連法制による統制で「公の支配」要件が満たされていると考えているなら、それは緩和説的思考法といえるでしょう。
 厳格説/緩和説に言及しながら問題を考えるときには、89条後段の「公の支配」要件が、国・地方公共団体の直接統制でなければならないなのか、それとも事業関連法規による間接的統制でよいのか、この区別に注意すればクリアな解答がえられると思います。
 ではつぎに、「宗教法人が経営する」・・・の部分について、お答えします。
 この問題については、89条後段の「公の支配」を仮に厳格説で捉えるなら、そこでいう「公の支配」に属しない事業体への公金支出となるでしょうから、89条後段を検討しただけで、すでに違憲・違法の公金支出であるとの結論を得られると思います。
 これに対して、「公の支配」を仮に緩和説で解するとすると、この段階では、89条後段で禁止されてはいない公金支出となります。ただ、そうなると、このつぎにでは当該公金支出が89条前段との関係で政教分離原則に違反していないかを、検討する必要があると思います。
 批判はあるものの、愛媛玉串料訴訟の最高裁大法廷(多数意見)は、89条前段で禁止されている国家行為であるか否かも、目的効果基準ではかるということですから、ここでも目的効果基準で、当該公金支出行為が政教分離原則に反しないか否か、検討してみてください。
 そうすると、当該公金支出の目的は教育事業への助成という「世俗的」なものであり、その公金支出も特定の宗派、教団だけに行っているものでないなら、効果も特定の宗教団体を援助・助長するものではない、といえるというような結論になるかと思います。
 以上ですが、いかがでしょう。昨日、同僚先生と深酒してしまい、思考がどんよりとしたなかでの回答なので、わからなかったら、また質問してください。
 

詳しい説明ありがとうございます。よくわかりました。
この問題については厳格説が正しいというか、妥当だと考えますので、その方向から解答を作りたいと思います(けっして論点が減るからではありません、けっして)。

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