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2009年11月 2日 (月)

少数意見が社会を変える

 晴れているとはいえ、冷たい風が吹いています。学祭のため、今日は休講です。

Cimg2433 本日の「朝日新聞グローブ」の特集は「少数意見が社会を変える」と題された、最高裁判所の少数意見についての論評でした。

 記事は「グレーゾーン金利」を違法に導いた最高裁判決の少数意見の推移から説き起こし、わが国と米国最高裁の少数意見の内容と、それが多数意見に転じていく様子が興味深く描かれています。

 とくにわが国では滝井繁男元裁判官から泉徳治裁判官に少数意見を書く思想、哲学のとうなものが受け継がれているとのこと。最高裁判決の裏側を見るようなドラマチックさを感じました。

 また米国で男女賃金格差の違法性を訴えたレッドベターさんの、訴訟では敗訴するのですが、その意思が反映された「リリー・レッドベター平等賃金法」がオバマ政権下ではじめて成立した法律として紹介され、この成立にもギンズバーグ裁判官の反対意見の強いインパクトあったとされています。

 さらに、われわれの住む世界とはかけ離れたところにいるように思う最高裁判事。その一日を紹介した「裁判官の一日」では、最高裁判事になると歩くことが極端に少なくなり、「(在任中の)10年間に新しい靴を求めたのは、儀式用の特別の靴だけであった」というような伊藤正己元裁判官の回想といった、お堅い記事だけでなく、裁判官「トリビア」や、日米最高裁の「基礎知識」なども書かれていて、面白い記事になっています。

 さて記事の眼目は〈少数意見が社会を変える原動力になること〉を最高裁判例の中で見ること、というところでしょうか。賃金差別訴訟を戦ったリリー・レッドベターさんの「人が試されるのは、おかしいと思ったことにどう対処するか。一人ひとりが声を上げることで、将来はより良いものになっていくと、信じています」という言葉が紹介されています。法学徒として、この言葉の重さを感じました。

 ところで、最高裁裁判官がどのような法思想、哲学をもち、それを基盤にしてどのような意見を述べているのかという研究は、米国ではよくされていますが、わが国では低調です。でも、たとえば、非嫡出子の法定相続分に関する訴訟、あるいは衆参両議院の定数配分不均衡訴訟などについて、当該訴訟を担当した裁判官がどのような意見を述べ、それが後の事件にどのような影響を与えているのかを分析するのも、興味深いように思います。もしこのブログをご覧になっている3年生がおられたら(もう4年生では遅いでしょうから)、このような最高裁裁判官の意見の推移とその影響についての分析で卒業論文を書いたら面白いのではないでしょうか。

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