無料ブログはココログ

わたしの著書

  • 憲法Ⅰ 総論・統治機構論
  • 憲法Ⅱ 基本権論
  • 著作権と憲法理論
  • ロールズの憲法哲学

« 三遊亭金馬 | トップページ | 休日の出勤。 »

2009年11月20日 (金)

違法ダウンロードと「3ストライク法」

 曇りです。寒くなりました、みなさまご自愛ください。

 本日の朝日新聞朝刊に、インターネットでの違法ダウンロードに対する「3ストライク法」に関する記事がありました。この法律、現在はフランスで実施されているようですが、同じ内容の法律を、イギリスでも導入するようです。

 違法ダウンロードに対する「3ストライク法」の内容は、朝日新聞の紹介によると、つぎの通りです。

 「インターネット接続業者を通じて確認された違法ダウンロードに対し、政府機関が1回目は電子メール、2回目は手紙で警告。それでもやめないと、接続業者に回線を切らせ、最長で約1年間インターネット契約を認めない内容だ」。

 当初の実施には憲法違反の判定がなされたのですが、政府は回線切断の判断を裁判所に委ねる法改正をしたようです。

 一見するとたしかに表現の自由や通信の自由あるいは「インターネットを使う権利」に反するようにも見えますが、それでもこの法規制は、実際にデジタル・コンテンツを不正に入手した者を処罰対象にしています。

 ところでアメリカでは1998年に「デジタル・ミレニアム著作権法」(DMCA)を制定しています。そのおもな内容は、DVDのアクセス・コントロールを回避する装置の開発・ネット上での取引を禁止することです。この法律の合憲性がアメリカで争われたとき、第1審裁判所でも第2審裁判所でも、この装置の開発・取引それ自体を処罰するこの法律は憲法に反するものではない、とされました。

 アクセス・コントロールの回避方法はコンピュータ・コードで書かれています。これも表現の自由の対象であり合理的理由なき規制は許されない、と裁判所は言いました。ただ上述のDMCAは、当該表現行為に対する言論付随的規制であり、立法目的(デジタル・コンテンツの違法複製の防止)の重要性・実質性が認定され、それを達成するために実質的関連性ある手段が法上選ばれているなら、当該法律は合憲であるとされました。

 ところで、審理過程においては、違法複製防止という立法目的を達成する手段としてはコードによる表現行為を規制するのではなく、その装置を用いて実際にデジタル・コンテンツを違法に入手した者を処罰するという、表現行為にとってより制限的でない手段があるとの主張がなされ、その手段の存在を裁判所も認めていました。ところが、それにもかかわらず、DMCAは上述のように合憲であるとされました。

 (この辺りのことは月末に締切が迫った論文でも触れようと思っています)。

 「3ストライク法」についても、その憲法上の疑義をめぐってこれから論争されると思いますが、それでもDMCAよりは、映画や音楽の「海賊版」を防止するという立法目的を達成するために、表現の自由にとってより制限的ではない手段を選んでいる法律であるとはいえそうです。

 (ただ、違法ダウンロードをしたことをインターネット接続業者が政府機関に情報提供する仕組み、また裁判所がインターネット接続業者に回線の切断を命ずるところ。この辺りに通信の自由などとの関係で憲法上の問題があるように思われます)。

« 三遊亭金馬 | トップページ | 休日の出勤。 »

お勉強」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/499918/32284790

この記事へのトラックバック一覧です: 違法ダウンロードと「3ストライク法」:

« 三遊亭金馬 | トップページ | 休日の出勤。 »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31