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2010年1月20日 (水)

法教育

 ここ数日、暖かい日が続いています。

 法学セミナー2010年2月号に「法教育」に関する特集がありました。「なぜいま『法教育』か-学校教育で法を教える」というものです。ざっと読んでみました。

 なんでも学習指導要領の改訂(小中学校は2008年、高校は2009年)で、初等中等教育で「法教育」を実施することが求められるようになり、2011年度から2013年度にかけて、全国の小中高で順次全面実施されるようです。そうだったのですか~。

 いままでも社会科、公民科、政経などで、法的な内容は結構扱われていたと思うのですが、今回の学習指導要領改訂で、「新たな法教育」がはじまるそうです。といっても法セミの記事を読むとまだまだ試行錯誤状態のようで、2009年度からはじまっている移行期間の実施状況などを検討して、徐々に教育内容が確定していく、というところでしょうか。

 この法セミの中で、渡邉弘さんが、法教育実施における法学研究者の役割について、つぎのように言っています。

 「初等中等教育の教員の多くが、法に関する教育を難しいもの、手に負えないもの、と感じている現実があるなかで、法学を学ぶ者には、緻密な理論的研究を前提としつつも、彼らの切実な問いに答え、共同で法教育のあり方を探る責務が課されているように思われる」(18頁)。

 またまた、なかなか大変になりそうですが、法学研究を仕事としている以上、社会的要請には応じなければいけないでしょうね。

 ところで、この特集には憲法学者の斎藤一久さんも寄稿されています。その冒頭部分に、「生物学の研究成果に基づき、理科の教科書が執筆されているように、憲法学に基づき憲法教育が構築されているはずえあるが、実際のところ、両者の間には隔たりがある」との件があります。その具体的内容をいくつか斎藤さんは以下、紹介していくのですが、本当にそうですよね。わたしも大学に入って憲法を学んで、目から鱗が取れる思いをしたのを覚えています。たとえば、わたしとあなたの関係に憲法は適用されないこと(いじめやセクハラなどは「人権問題」ではあっても「憲法問題」ではないこと。この「人権問題」という言い方も誤導的ですが)や「国民の義務」も憲法上は法的なものではないことなど、やはり大学に入ってから知ったことです。これらのことは、近代立憲主義の意義(や思考枠組)について理解すれば、そこから演繹される結論なのですが、初等中等教育では立憲主義について本格的には学びませんものね。

 ともあれ、法教育実施にあたって一介の法学者であるわたしも、なんか考えておかなければならないというところでしょうか。こんなことを思いつつ、ランチタイムまでの時間を過ごしました。

 本日は教授会の後、公法分野の先生で新年会があります。はじめての試みでなんとなくウラがありそうですが、まぁ、末席をけがしてこようと思います。

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