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2010年2月28日 (日)

一般誌で憲法学。

 はれました。陽気も温暖です。

 スピードスケート女子団体「追い抜き」での銀メダル獲得、おめでとうございます。それにしてもメダルは補欠の方には与えられないのでしょうか?

 話は変わりまして、憲法理論については、法律専門誌だけでなく一般誌や他分野の専門誌で扱われることもあります。法律専門誌の場合は、解釈論が意識されている場合が多いのに対して、専門誌以外の場合にはそれがなく、法学嫌いの人でも意外と興味をもって読むことができる場合があります。

 そんな論文のひとつとして、日比嘉高さんが『思想』2010年3月号に書かれている「プライバシーの誕生」があります。

 副題を「三島由紀夫『宴のあと』と文学、法、ゴシップ週刊誌」とするこの論文で、日比さんは、「宴のあと」訴訟の原告の狙いを、「プライヴァシー」という新奇概念を法理論として確立しようとしたことにみます。そして、当時の「肥大化するマスメディアとその暴力性の問題」(54頁)を論点に据えることに成功したことが、原告の勝因であるとします。

 またモデル小説の「虚実の入り交じった記述」(63頁)が「読者の能動的な想像力」(61頁)により小説内の人物を実在の人物と結びつける「危険性」(63頁)が裁判では認定されたといいます。

 さらにこの「人の想像力の前には『公私の区別』が究極的には成り立た」ないので「プライヴァシーの境界はつねに侵犯の危険にさらされざるをえない」ということを、「宴のあと」訴訟は明らかにした、と分析しています。

 日比さんは日本近代文学・文化論を専門としている方のようです。法律解釈論に疲れた方には、文学理論に基づく判例分析というのも、興味深いのではないでしょうか。

 もうひとつ、今度は一般誌『世界』の2010年3月号に、小泉直樹さんが「グーグル・フェアユース・表現の自由」という論文を掲載されています。

 この論文で小泉さんは「日本版フェアユース」(最近では、米国版のものと区別するために「権利制限の一般規定」と呼ばれているようです)や、このブログでも紹介したことがある「3ストライクアウト法」を紹介するなかで、憲法が保障する表現の自由と著作権の「衝突」について、簡便に述べられています。

 小泉さんは著作権法学者です。専門家による一般誌での論文は、その問題の検討をはじめる道しるべを提供してくれます。

 学年末のこの期間、法学部生のなかには法学科目の「洗礼」を浴びて、政治学などへの方向転回を考えている人もいると思います(それはそれで、よいのですが・・・)。でも解釈論だけではない法的問題の見方というのもあるのです。解釈論に疲れた方も、一般誌・他分野のものなどをちょっとみて、今度は法的問題を多角的に見てみてください。

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