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2010年3月16日 (火)

逆転

 昨日とはうってかわって、快晴です。なんだか、だらだらした休暇を過ごしています。

 現実逃避の読書ということで、伊佐千尋さんの『逆転』(岩波現代文庫、2001年)を読みました。

 サブタイトルにあるように、この本は「アメリカ支配下・沖縄の陪審裁判」をテーマとしたノン・フィクションです。著者が実際に経験した陪審裁判の記録です。

 アメリカ統治下の沖縄では、1963年に刑事事件について、翌1964年には民事事件について、陪審制が導入されました。沖縄が本土復帰を果たしたのは1972年ですから、それまで陪審裁判が実施されています。沖縄で陪審裁判が導入されたのは、国外にいるアメリカ市民にも陪審裁判を受ける権利がある、とされたからだと聞いています。

 本書は、著者が実際に陪審員として参加した裁判の様子について、当時の沖縄の状況、とくに合衆国琉球列島民政府がそして米軍が、沖縄においていかに「強い立場」にあったかという背景を交えて描いています。実際の事実に沿って描かれているだけに、その迫力は他の追随を許さない域にあると思います。陪審裁判の実際が分かるだけでなく「アメリカ世(ゆ)」の悲哀のようなものが伝わってきます。

 ところで本書のクライマックスは、4名の被告人の共謀共同正犯が成立するか否かで、陪審審議が紛糾するところです。1人だけ反対の立場にあった主人公(著者)が、どのような議論展開をするのか、読みどころ(?)です。でも、タイトルは「逆転」。傷害致死罪という重罪の共謀共同正犯が成立するというところに傾いていた陪審団が主人公の奮闘で無罪評決を出すという「逆転」は分かるのですが・・・、もういちど「逆転」、それも「大逆転」があります。

 本書の解説に、陪審制は司法権に対するシビリアン・コントロール、とあります。このことを深く考えさせられる本でした。

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