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2010年4月16日 (金)

判例とその読み方

 くもりです。まだ、少し寒し。

 新学期ということで初心に帰えるつもりで、中野次雄編『判例の読み方』(三訂版、有斐閣、2009年)を読みました。

 新入生の講義を担当しているので1年生に紹介でもしようと思い読んでみたら、水準の高い「判例の読み方」が展開されていました。もっと「入門的な本」だと思っていました。

 ただ最高裁判所調査官経験者の執筆陣によるこの本は、実務的視点から「判例の読み方」を理論的に記述されていて、わたしのような素人のような玄人には参考になる本だと思いました。

 たとえば、判例にはなぜ「事実上の拘束力」があるのか、という問題について、まず法的安定性を確保することは、拘束力の根拠ではないとします。そして、裁判官は「最高裁判所のするであろう判断」に拘束されている → このことは一見判例そのものに拘束されているかのようにみえるらめ、一般に「判例の拘束力」と呼ばれているにすぎない、とします(22~23頁)。要するに裁判官の職業的良心に由来するようです。本書は、判例に「事実上の拘束力」がある理由について、つぎのように締めくくります。

 「その根底には最高裁判所のするであろうような判断をせよという裁判官の職務上の義務があるわけで、それは明文はなくともやはり法的な地位に基づく義務だといわなければならない」(24頁)。

 また判例を読む際にはその事実関係に留意しなければならない、と判例を読む際の注意事項をつぎのように言います。

 「判例というのは、それぞれの事件の具体的事実との関連において個性を持っており、その個性がその判例の適用範囲を決定するのであるから、いやしくも判例を読むという以上は、事実を度外視するわけには行かないのである」(120頁)。

 講義では往々にして結論だけを紹介しがちなので、学生には復習として、講義で紹介された事実関係に留意して判例を読みなおしてもらうようアナウンスしようと思いました。

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