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2010年5月14日 (金)

ジュリスト 1399号

 快晴です。

 明日は母校で研究会があります。その予習にとジュリスト1399号(2010年4月15日号)を読みました。そこには本年1月20日のいわゆる砂川政教分離訴訟最高裁大法廷判決に関する分析が特集されています。

 本件は、砂川市がその所有する土地を神社施設の敷地として無償で使用されていることについて、市の住民が、①それは憲法の定める政教分離原則に違反する行為であること、②敷地の使用貸借契約を解除し同施設の撤去及び土地明渡しを請求しないことが財産の管理を違法に怠っているとして、地方自治法242条の2第1項3号に基づく「怠る事実の違法確認」を求めたものです。

 最高裁は、①について、砂川市の本件行為は「市と本件神社ないし神道とのかかわり合いが、我が国の社会的、文化的諸条件に照らし、信教の自由の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとして、憲法89条の禁止する公の財産の利用提供に当たり、ひいては憲法20条1項後段の禁止する宗教団体に対する特権の付与にも該当すると解するのが相当である」として、砂川市の行為に憲法違反の判断をしました。

 つづいて②については、砂川市の当該行為はたしかに憲法違反ではあるが、「このような違憲状態の解消には、神社施設を撤去し土地を明け渡す以外にも適切な手段があり得る」、そしてその手段の選定については市に裁量権があることを認めた後、市が「本件神社物件の撤去及び土地明渡請求という手段を講じていないことは、財産管理上直ちに違法との評価を受けるものではない」として、地自法に違反するとしていた原審を破棄し、本件の違憲状態を解消するための他の手段の存否等について更に審理を尽くさせるために、本件を原審に差し戻しました。

 本件でとくに注目すべき点は、なんといっても政教分離原則違反の事案について従来から最高裁が依拠してきた「目的・効果基準」への言及が(少なくとも、直接的には)ないことです。では最高裁はどのような判断枠組みを用いたかというと、それは「総合考慮型」とジュリストの座談会で呼ばれていたつぎの基準です。

 「国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されている状態が・・・信教の自由の保障という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えて憲法89条に違反するか否かを判断するに当たってが、当該宗教的施設の性格、当該土地が無償で当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯、当該無償提供の態様、これらに対する一般人の評価等、諸般の事情を考慮し、社会通念に照らして総合的に判断すべきものと解するのが相当である。」

 なぜ本件では目的・効果基準が採用されていないのでしょう。この点について藤田宙靖裁判官の補足意見では、目的・効果基準で判断されてきた事例は問題となる行為が宗教性と世俗性を併せ持つ微妙な事例であるのに対して、本件は「取り立てて宗教外の意義を持つものではない純粋の神道施設につき、地方公共団体が公有地を単純にその敷地として提供している」事案であるからとしています。

 また、その他にもいろいろ興味深いところのある事例です。明日の研究会では、わたしが予てからお世話になりまた実力もある先輩先生の報告を聴けるので、大学の講義で政教分離原則といえば、昭和52年の津地鎮祭事件の大法廷判決、平成9年の愛媛玉串料訴訟の大法廷判決と本件の関係を説くことになると思いますが、学生にわかる講義ができるようちゃんと勉強してこようと思います。

 ところで、本来なら「お勉強」のカテゴリに含まれそうな記事ですが、最近本を読んでいないので、ちょっとインチキして「読書」のカテゴリにしました。インチキも自ら告白すれば免責されるでしょうか。

 【HP移動のお知らせ】 少し前のブログでもお知らせしましたが、連休中にHPのURLを変更し新規開店にこぎつけました。まだまだ内容は未熟ですがよろしくご愛顧ください。

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