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2010年7月20日 (火)

個人情報「過」保護が日本を破壊する

 本日も晴天、とけそうな一日なり。

 連休中はどこにもいかずじまい。そこで、青柳武彦さんの『個人情報「過」保護が日本を破壊する』(ソフトバンク新書、2006年)を読みました。

 個人情報保護法が2005年に施行されて以来、わが国の社会生活や経済活動が大混乱に陥っています。JR福知山線の事故のとき親族の安否情報や収容された医療機関の情報が当初あかされなかったこと、災害に備えて地域住民の情報をリスト化することも困難になっていること、幼稚園や小学校の連絡網が作成されなくなっていることなど、最近耳目に触れることの大きな原因が、この法律にあることは人口に膾炙されてきました。著者は、この法律の対象が「プライバシー権に属する個人情報」に限定されていないことを、その混乱の原因であるとしています。

 また、この個人情報の「過」保護の原因は、司法の責任でもあるといいます。それは、早稲田大学江沢民講演会名簿提出事件や宇治市住基情報漏洩事件における裁判所の判決が、いずれも被告側の不法行為責任を認定するものであったところにあるようです。こうした「プライバシー情報」と「単なる個人情報」を区別せずに対応する法律および裁判所の見解に、本書は批判的です。わたしも同感です。

 ところで、「プライバシー」が法的概念として生成されたのは、1890年のウォーレンとブランダイスの論文であることは有名です。この論文を執筆する動機は、素封家のウォーレンが地元の新聞に夫人のパーティーや娘の結婚式の様子が事細かに掲載されたことに立腹して、ブランダイスとともに私生活を好奇の目にさらされないためには、なんらかの新しい法益の確立が必要であると感じたことにあったことが本書で紹介されています(112~113頁)。“へぇー、へぇー、へぇー”と思いました( ← なんのパクリだか分かりますか?)。

 そういうことで、連休明け(ついでに梅雨も明け)、またあたらしい週です。今週もみなさまにとって(そしてわたしにとっても)よい週であることをお祈りいたします。

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