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2010年8月 9日 (月)

法教育と法律学の課題

 雨が降っています。月曜はわたしが通っているスポーツジムがお休みなので、その時間を利用して、ジュリスト1404号(2010年7月15日号)に特集されていた「法教育と法律学の課題」を読みました。

 新しい学習指導要領では、小学校については2011年度、中学校では2012年度、高校では2013年度から「法教育」が行われることになっています。それをうけて、このところ、さまざまさ法学雑誌では「法教育」の特集が組まれています。初等中等教育に従事しているわけではないので、直接的にわたしが関係するわけではないのですが、それでも一定の興味をもって、これらの特集記事に目を通してきました。

 また、多くの大学では専門課程ではない教養課程や教職課程で“日本国憲法”という講義が設けられています。わたしもこの科目を担当することが多いのですが、いまいち、専門課程以外で憲法を教えることの意義を見いだせずにいます。人権論とか平和論ならわかるのですが、憲法なら高校までのもので十分だと思っているのです。そんなわけで、こういう記事を読むことで、少しでも専門外で憲法を講じる意義に気づけたらとも思って、この手の特集記事を読むようにしています。

 今回も憲法の先生による論文(学習院の戸松秀典先生による)もあるのですが、それは置いておいて、労働法と著作権法に面白いことが書かれていました。

 まず労働法では、「知識のミスマッチ」が起きているとのこと。つまり、労働法の保護が必要な層(非正規労働者)ほど、労働法の知識に欠けている、という調査結果があるそうです。こういうところを読むと、労働法教育の重要性、とくに初等中等教育や専門外の課程で労働法教育をする意義がわかります。

 また、著作権法では、その制定過程に政策形成のバイアスがあり(利益集団を形成しうる権利者の利益が法律で保護されやすく、多くの利用者の利益は立法過程に反映されていない)、権利者の利益が社会的にみて望ましいレベルより広く保護されがちであること。それは実は著作権法が rigid に適用されないことで(実際には違法行為かもしれないけど、多くの場合に訴訟提起されるようなことはない)、矯正されていること。仮に、あれも著作権法違反、これも権利侵害と学校教育で教えてしまったら、かえって現在の“バイアス矯正状態”に悪影響を与えてしまうことが予想される、という興味深い論文が書かれていました。(この論文をお書きになったのは、わたしがこの夏に研究会でお世話になる北大の田村善之先生です)。ちょっと、シニカルな感じの論文というところでしょうか。

 このほかにも今回のジュリストの特集では、民法と刑法の先生が、それぞれの立場から法教育について書かれていました。

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