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2010年8月27日 (金)

乙女の密告

 うっすらと曇っていますが、気温に影響はないようです。きょうも35℃オーバーでしょうか。

 平成22年度上半期、第143回芥川龍之介賞の受賞作・赤染晶子さんの「乙女の密告」を読みました。

 京都の外国語大学での『アンネの日記』の一場面を暗唱するドイツ語のスピーチコンテストが舞台です。一般に『アンネの日記』で一番大事な日とされているのは1944年4月15日のようですが、ドイツ語担当のバッハマン教授はその6日前の4月9日を暗唱するよう指示します。これが物語のはじまりです。

 主人公は1944年4月9日の日記の暗唱に努めるのですが、いつも同じところで“ど忘れ”する。“記憶喪失”に陥るのです。その部分がこれ、「今、わたしが一番望むことは、戦争が終わったらオランダ人になることです!」。

 『アンネの日記』、はずかしながら実は読んだことがありません。本棚にはあったような・・・。ただこの『日記』、1944年4月15日を一番大切な日と見るのではなく(それはアンネが少年ペータとキスした日とされているロマンチックな日)、ユダヤ人とはなんなのか、自己が何者であるのかを問うた4月9日を一番大切な日としているところに、作者の『アンネの日記』の見方があるのでしょう。

 短文を連ねた文体で、民族、人間の尊厳という崇高なテーマを、軽やかに論じる効果を手に入れています。また短文であるからこそ、全体としてスリリングな場面展開も可能にしています。最近の芥川賞のなかでは秀逸ではないでしょうか。

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