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2010年11月25日 (木)

アダム・スミス

 くもり、とのこと。

 数日かけて読んできた、堂目卓生さんの『アダム・スミス』(中公新書、2008年)を、ようやく読み終えました。

 アダム・スミス(1723~1790)には、生涯に2冊の著作があります。『道徳感情論』(1759)と『国富論』(1776)です。

 本書は、人間本性のなかに同感能力があり、この能力によって社会秩序の形成が導かれるとした『道徳感情論』と、この社会秩序を維持・促進する一般原理として分業と資本蓄積を考察した『国富論』という、スミスの名著の時代背景を探った本です。

 本書を読むと、スミスが、フランシス・ハチスンやデイヴィッド・ヒュームからの影響をうけつつ、穏健な古典的自由主義思想を形成していった道程がよく分かります。穏健な古典的自由主義とは、簡単にいえば、自由・平等という価値をもとめる社会改革の必要性は容認しながらも、それらは決して急進的に追い求められるべきものではなく、経験・慣習的に築かれてきた社会制度のなかで漸進的に手にいれるものである、とする思想です。またそれは、急進的社会改革をもとめる者たちが提唱する「理性の力」に懐疑的です。ヒュームは、この理性の傲慢さを洞察していて、スミスはそれを継受しています。

 また、『国富論』のなかでは、国の豊かさというのは、国民の平均人が消費できる物質が増えることではなく、最下層にいる人びとが消費できる必需品や便益の量ではかられる、という考え方を提唱しているとのこと(148頁辺り)。きっと、この状態を実現するのは、政府ではなく、民間部門で蓄積された資本による、ということなのでしょう。この辺りは、マルクスと、目の付け所は同じなのですが正反対の思考法なのかなぁ、とか思いながら本書を読みました。

 ということで、またまた読まなければならない古典が・・・という読了感でした。読書するたびに、読書量の貧弱さを感じます。

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