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2011年9月15日 (木)

立法過程と議事運営

 九州大学の赤坂幸一先生から『立法過程と議事運営』(信山社刊)をいただきました。この本は、ながらく衆議院事務局に奉職され、衆議院調査局の初代局長を務められた近藤誠治氏のオーラル・ヒストリーです。議会運営の様子がまるでライブをみるように描かれています。

 憲法の講義では形式的意味の憲法(日本国憲法という法典のこと)だけではなく、実質的意味の憲法についても、相当な時間を割いてお話しします。この実質的意味での憲法の形式的意味は、あまり難しくないのですが(これは国会法とか内閣法といった形式的意味では法律だけでども、国家統治の基本を定めているという意味で実質的意味では憲法である、ということ)、実質的意味での憲法の、まさに「実質性」というのは、少し難しいところでしょうか。

 国家行為といっても、実際には国家機関が行為します(ここはあたりまえですか。「国家」という実体はないので、行為のしようがない)。たとえばある自然人Aさんの行為が、ある場面においては「国家の行為」とみなされ、別のある場面では「私人Aさんの行為」と、わたしたちは多くの場合ほぼ間違いなく認識しています。この自然人Aさんの行為をわたしたちがある場面では「国家の行為」と認識する、その背景に潜む法理論が実質的意味の憲法です。わたしたちはこのことを認識しているからこそ、国家公務員○○さんの行為を、国家の行為であると認識するのです。(ここは、トートロジーか)。

 こういう実質的意味の憲法がどのように成立していくのか、ということは非常に意義ぶかくまた興味深い研究ですが、赤坂先生は、このようないままで憲法学界では(その重要性には気づかれていたでしょうが)取り組まれてはこなかったテーマに果敢に挑戦しておられる新進気鋭の憲法学者です。

 本書も、その研究の過程で上梓されたものです。これからわたしたちがこれを読むことで、実質的意味での憲法の「実質性」について検討することができるようになった、という意味で、非常に意義深いお仕事だと思います。

 わたしのような鄙の憲法学者にまでご本をいただきありがとうございます。

 

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