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2011年9月14日 (水)

その数学が戦略を決める

 連日の残暑、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

 東アジア小遠征の道すがら、イアン・エアーズ『その数学が戦略を決める』(文春文庫、2010年)を読みました。

 この本、久しぶりに面白い本でした。内容は、どの分野でも最近では大量のデータ収集行為がされていて、その大量のデータを「絶対計算」(一定の方程式)で解析すると、いままでは専門家の領域とされてきた「目利き」のようなものが、素人にもできるようになる(そして、その方が、結果だけでみると専門家よりも優れている)というものでした。

 たとえば、本書の冒頭では、ワインの値段についての話しがのっています。それは、ある経済学者が「統計を使って巨大なデータ集合から隠れた情報を引き出す」ことによって、ワインの値段を方程式で予測することができると主張している、というお話しです。その方程式というのは、

 〈ワインの質=12.145+0.0017×冬の降雨+0.0614×育成期平均気温-0.00386×収穫期降雨〉(18頁)

 とのこと。いままでは専門家が実際に口に含んでみて、ちょっとうんちくをたれて・・・、とやらなければわからなかったものが、誰でもこの式で割り出せる、というのです。

 これにはロバート・パーカーも黙っていられません。彼がこれに批判的なコメントを寄せていることも、紹介されています。

 この他にも、プロ野球で成功する人の見分け法、なぜ顧客にマイルを付与するのかなど、「絶対計算」を駆使したものの見方が紹介されています。

 また、人は予測が経たで、ひとたび思い込むと、それをなかなか変えたがらない、という傾向があることにも触れられています。

 たとえば、人は、ニュースになるような死の確率は過大評価し、当たり前の死因の確率を過小評価する傾向にあるとして、つぎのようなことを紹介しています。多くの人は(わたしも)家に銃があると子どもに危険だ、と思っていると思いますが、

 「平均的に見ると、銃を持っていて裏庭にプールがある家では、子供はプールで死ぬ確率の方が100倍近く高い」(195頁)

 のだそうです。おぉ・・・と思ったのはわたしだけでしょうか。ものの見方が広がる本でした。

 「この道一筋○○年」。専門家という方々を戦々恐々とさせる一冊だと思いました。

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