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2012年1月27日 (金)

性犯罪者から子どもを守る

 晴れるようです。本日は、これから外出して、お仕事です。

 ゼミの参考文献として指定していたので、読み返してみました。

 子どもを標的にした性犯罪が後を絶ちません。日本でも2004年の「奈良県児童誘拐殺害事件」や2005年の「広島市安芸区児童殺害事件」など、記憶にまだ新しいところです。これらの犯罪の特徴は、容疑者がともに、過去に児童に対する性犯罪の前科・前歴があるという点です。

 このことはアメリカでも問題になっています。近くに住む人が、過去に性犯罪に関する前科・前歴をもつことを仮に知れたなら、子どもにより注意を促すことができたのに、というのです。そこで、彼の国では「メーガン法」が制定されています。

 この法律は、性犯罪者に、その氏名、年齢、性別、生年月日、身長、体重、有罪判決の年月日、犯罪内容の概要・・・などを登録する義務を課し、一定の再犯危険ランクにある者の情報は公開する、というものです(州によって登録内容や公開の運用はまちまちです)。

 本書は、こうした法律の是非について、憲法学の視点から書かれたものです。子どもを守ることが目的とはいえ、こうした個人情報を公開することは許されるのか、許されるとして、どのような範囲・条件なら憲法上正当化されるのかについて、アメリカの実例をふんだんにまじえて論じられています。さすがは松井先生によるものです。

 ところで、わが国では「人格権」(この内容、明確になったことはないと思いますが)とあがめられているプライヴァシー権ですが、当該権利のアメリカので地位は、セカンダリーです。たとえば、本書でも「オハイオ州では飲酒運転で有罪判決を受けたことのある人には黄色のナンバープレートを義務付けている」という例が紹介されています。市井の効用が増大するなら、プライヴァシーを一定の範囲で制限してでも許される、という思考法がアメリカの法思考の基底にあると思われます。個人情報「過」保護傾向にあるわが国にも、この思考法をすこし輸入する必要があるのでは・・・。

 ということで、アメリカの「メーガン法」の例をそのまま日本に引き写して、日本でも・・・というのは短絡的なのでしょう。ただ、幼児をもつ親の気持ちとしては、一刻でもはやく日本でも・・・という気持ちにはなります(法学者としては、それではダメですよね)。

 きょうも、多くの小学生は、防犯ブザーをもって登校していると思います。ただ、このブザー、すでに遊びにつかわれていて、ブザーをならす実際の効果は薄れています(子どもですもの、注意しても・・・。)。ということで、すでに“GPS機能つき携帯電話”をもたせているご家庭も多いと思います。すでにこれが最低限の防犯策になりつつある現状、「日本版メーガン法」の議論がより活発に行われることが期待されます。

 【親HP】 本書は、わたしの「親HP」でも紹介されています。

 こちらからどうぞ → 文庫と新書 de 憲法学

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