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2012年2月 6日 (月)

不道徳な経済学

 くもっていますが、温かい。

 あすから後期の定期試験。わたしは担当科目がないので、補助監督だけがお仕事です。採点しなくていいのが、なによりも有り難い。

 ということで、ウォルター・ブロックの『不道徳な経済学』(講談社α文庫、2011年)を読みました。

 著者は、生粋のリバタリアン。本書は、「自発的な取引」はすべて許されるべきであり、それを国家が規制することは正当でないばかりか、むしろ弊害ばかりであることを痛快に述べていきます。

 たとえば、なぜ売春行為を認めるべきなのか。ブロックによれば、売春とは「金銭を介した性的サービスの自発的取引」。この「自発的取引」つまり「好きでやっていること」を禁止する理屈はない、というのです。彼にいわせれば、崇高(?)な学問的行為も、不道徳とされる売春行為も、すべて「人間同士の自発的な関係はすべて取引」。取引あるところに報酬あり!ということのようです。

 また麻薬密売人こそ麻薬中毒者のためになり、それを禁止する国家こそ(麻薬の流通量が減るか、もしくは0になるので)麻薬の末端価格をあげている。国家のこの行為こそ、結局は、犯罪行為に手を染めないと中毒者に麻薬を入手できなくさせているといいます。

 さらに、恐喝は、「沈黙の対価としていくばくか金を請求する商談」である、とします。誰でもちょっとは隠しておきたいことがあり、その隠しておきたい気持ちの強さ(大きさ)と金額が均衡しているなら、お金を払ってでも隠しておきたい、という商談が成立するということでしょう。あまり高すぎると、それならバレた方が得だと思って、商談は不成立になるでしょうから、恐喝者も、あまり吹っ掛けることはない、ということでしょうか。

 また読み進めていくと、最低賃金法こそ失業を促進する、という件に出会います。本書には、利潤の増加に最低賃金に満たない貢献しかできない未熟練労働者(若者)を、それでも雇い続ける理由は企業家にはない、といいます。また、最低賃金法は、その金額より低くても働きたいという(これも未熟練者でしょうが)者の雇用の機会も奪ってしまうともいいます。

 本書に一貫して流れている主張は、繰り返しになりますが“自由な取引に介入すべきではない”というリバタリアン思想です。みなさんが社会国家、福祉国家に閉塞感を感じているなら、是非、お勧めの1冊です。

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