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2012年3月30日 (金)

国民皆保険制度の合憲性。

 きょうも暖かです。ただ、あすは雨模様のよう。

 朝日新聞の朝刊に「民主の看板政策、違憲?」との見出しで、アメリカのオバマ大統領の目玉政策だった「国民皆保険制度」の合憲性が連邦最高裁で審議されているとの記事がありました。

 違憲を主張している側は「議会は、個人を強制的に商取引に参加させる権利はない」と主張しているとのこと。さすがは“自由の国”アメリカ。これに対して合憲を維持したい政府側は「民主的に選ばれた議会の裁量の範囲内」と反論しているようです。

 アメリカでは憲法裁判に連邦裁判官の政治思想が強く影響します。9人の裁判官の「票読み」をする米メディアによると「違憲判決の可能性」が急増しているようです。人種差別政策や人工妊娠中絶の是非にも、最高裁裁判官たちの政治思想が大きく影響しました。

 という裁判所や裁判官任命にともなう「政治性」は措くとしても、「国民皆保険制度」、「国民皆年金制度」について、わが国でも、その合憲性が議論されてもよいのではないでしょうか。不慮の事故やけがに備えて、また、将来の生活のために、保険や年金に加入するかどうか。また、いずれかの保険・年金に加入しなければならないとしても、自由主義国において、なぜ国家が運営する制度に加入しなければならないのか。

 朝日新聞では連邦最高裁で開かれた口頭弁論の様子(通常の事件では1時間ほどしか開かないのに、今回は3日間、計6時間以上の弁論を実施したとのこと)もすこし紹介されていて、そこでキャスティング・ボートをにぎると予想されているケネディ裁判官が個人が政府運営の保険に加入しなければならないことについて「政府と個人の関係を、根本的に変えるのではないか」と政府側にとって厳しい質問をしたようです。

 「国民皆保険」「国民皆年金」、たしかにわたしたちの生活にとって非常に重要な制度で、それを国家が運営してなにがわるいのか、といえそうです。ただ、それに加入しない自由も保障してきたのが、憲法の基本理念のようにも感じます。“よい”/“わるい”政策は相対概念であるだけに、わたしたちの生活にとって“よい”と思われる政策なら“合憲”とはいかないと思います。そこには、それでもわたしたちの自由を制約してよい、という憲法上の理屈が必要になると思います。

 連邦最高裁の判決は、6月末と予想されているようです。本年11月には大統領選挙もあるだけに、大統領選のゆくえにも影響をもたらしそうです。

 【いただいたもの】

Dsc_0028  北海道大学G-COEの紀要誌『知的財産法政策学研究』の第37号をいただきました。いつもいつもありがとうございます。

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