無料ブログはココログ

わたしの著書

  • 憲法Ⅰ 総論・統治機構論
  • 憲法Ⅱ 基本権論
  • 著作権と憲法理論
  • ロールズの憲法哲学

« キヨミズ准教授の法学入門 | トップページ | 知的財産法政策学研究40号 »

2013年1月 8日 (火)

塀の中の運動会

 きょうも、陽ざしがあります。でも、cloud というところ。

 帰省読書の最後に、読みかけだった、美達大和さんの『の中の運動会』(バジリコ、2012年)を読みました。

 ほんの出来心から覚醒剤取締法違反で1年の実刑判決をうけた主人公。「辛抱仮釈!」を胸に刻む日々の「お務め」。シャバに残してきた妻子との今後も気になりつつ過ぎていく悔悟の日々・・・まさに「囚人小説の傑作」(宮崎学さん)だと思います。

 主人公が送られたのはLB級(刑期10年以上の長期受刑者を「L級」、犯罪傾向のある又は再犯受刑者を「B級」というようです)の刑務所。重罪犯が服役している刑務所です。そこでは、作業場ごとのチームにより、年に1回、運動会が開催されています。主人公が配属された作業場は、万年最下位。そこに、殺人罪で無期懲役刑に服していた「ミスター運動会」が移ってきて、波乱の運動会が幕を空けます。

 実は運動会の部分は、本の後半です。そこまで、刑事施設内での処遇に関する法令が改正されたあとの、すこし「ゆるくなった」刑務所内の様子が、生き生きと描かれています。

 そんななかで、ときに深~~い考察もあります。たとえば、

 「世間では加害者が心を入れ替えて更生することが、被害者のためになると言われている。それは本当だろうか・・・」「答えは否だ」

 「加害者が改心して更生することは被害者の追悼になる、ためになるというのは第三者が唱える決まり文句となっている。亡くなった人のためにも真人間になる。・・・もっともらしい耳障りの良い言葉だ・・・」

 「加害者が更生すれば被害者が死んだ甲斐があったのか、更生しなければ犬死にかなんて、予定調和的なレトリックでしかない。亡くなった被疑者は加害者を更生させるためにいたんじゃない」(P167~P168)

 美達大和さんは、著者紹介に、「2件の殺人事件で無期懲役。仮釈放を放棄して自ら終身刑に服〔している〕」とあります。なんだか興味深い作家さんです。

 

 

« キヨミズ准教授の法学入門 | トップページ | 知的財産法政策学研究40号 »

読書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/499918/48651072

この記事へのトラックバック一覧です: 塀の中の運動会:

« キヨミズ准教授の法学入門 | トップページ | 知的財産法政策学研究40号 »

2017年7月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31