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2013年6月26日 (水)

経済学的思考のセンス

 あさは雨。その後あがるも、昼の野球はできず。なんのために学校に来たのか・・・

 ということで、晴耕雨読でもありませんが、大竹文雄さんの『経済学的思考のセンス』(中公新書、2005年)を読みました。

 本書は、経済学的思考を擁して、身近にある「格差」を分析したものです。そこには、もちろん「所得格差」もありますが、「結婚格差」や「やる気の分析」みたいなものまで、含まれています。

 経済学的思考は、社会的事象をインセンティブという観点から見つめること。本書でも、幸運、才能、努力といった格差の源泉と実際の格差発生の因果関係をどう捉えるかという問題を、わたしたちのもつ金銭的および非金銭的インセンティブ(名誉、名声などのようなもの)の機能を駆使して、軽快に解明しています。

 ところで、本書を知ったのは、ウェブ上の「学者版」で、本書にある「大学教授を働かせるには?」がとり上げられているのをみたからです。本書は、こういいます。

 「もともと、大学教授は世の中で批判されることが多い。大学教授は『学問の自由』を理由に、何年もの間まったく研究もせずに、同じ講義ノートを使って講義を続けるという『何もしない自由』を謳歌しているのではないか、という批判である」(89頁)。

 うぁ~、耳が痛い・・・。こういう大学の先生を働かせるために、全員任期制にするのはどうだろうか、という検討をします。本書によると、それは有効ではないようです。なぜかというと、全員任期制の下で新規教員を採用する場面を想起すると、そこでは、自らの再任の可否を判定することになるであろう新規教員として、自分より優れた人物を採用しなくなるであろう、というのです。「自分の影響力の低下を恐れて、能力の低い研究者を採用しようとする潜在的なインセンティブが現職教授に存在することは否定できない」(95頁)というのです。たしかに否定できません。

 では、どうするか。まず「大学教授の研究・教育のインセンティブを高めるためには、給与や研究費の配分を業績に依存させることが必要であろう」(96頁)とあります。ええっ、あたり前ではないか、と思ったみなさんは賢明です。が、通常の大学では、まだこうなってはいない、と思われます。

 また、若手教員の任期制の導入は「望ましい」とのこと。なぜかというと「まず、終身雇用の教授のポストへの昇進を目指すための努力を引き出すメカニズムとして作用する。なぜなら・・・危険を嫌う人間であれば、終身雇用権のあるポストが魅力的であるから」だそうです。また「学者としての能力は、短期間では判定しにくいが、五年程度の期間があれば、かなり正確に判定することができる」からであるとされています(97頁)。

 なるほど、では、終身雇用の教授についてはどうするのかというと・・・「現在の制度のゆおうに自動的昇給制度が存在すれば、研究の意欲は薄れてしまう」ので「終身雇用教授については、業績により給与を変動させるための制度を取り入れることが必要」とのことです。一番大事なのは「研究や教育をする教授を正しく評価すること」とも(98頁)。

 ふ~、そりゃ、そうですよね。でも、なかなか厳しいですね。そんなこんなで、きょうも陽が暮れていきそうです。

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