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2013年7月27日 (土)

ファヴォルー『憲法裁判所』

 きのう、久しぶりに雨、降りました。が、まだまだ降水量は足りていないのでは。

Dsc_0760 先日、講義の予習として、ファヴォルー『憲法裁判所』(敬文堂、1999年)を読みました。(撮影の都合で、光沢のある深緑のカバーは、外しています)。今季は、憲法改正をテーマとしたゼミをしていたので、憲法裁判所制度の是非も、その論点のひとつでした。

 ファヴォルー『憲法裁判所』では、まず冒頭の「序論」で、憲法裁判所の定義が与えられます。それによると「憲法裁判所とは、憲法争訟に関して特別かつ排他的に管轄権を与える目的で設置された、通常裁判機関に属さず、それからも他の公権力からも独立した裁判機関である」とのこと(1頁)。

 そして、ファヴォルーは、憲法裁判所制度の一般論を説いたあと、ヨーロッパの憲法裁判所制度の大きな影響を与えた、1920年のオーストリア憲法におけるそれから、各国の制度を概観しています。1920年のオーストリア憲法における憲法裁判所制度は、当時ウィーン大学教授であったハンス・ケルゼンの着想によるものであることが有名です。

 ところで、ひとくちに憲法裁判所制度の是非といっても、論者がいかなる憲法裁判所の権限を念頭に置いているのかにより、その結論も大きく異なると思われます。

 なんとなくわが国での議論は、ドイツの連邦憲法裁判所を念頭に置きつつ議論されていると思いますが、それがもつ権限は、大きく分けて以下の3つがあります。

 ① 具体的事件を前提とせず、純粋に法律の文面上の憲法適合性を判定する「抽象的規範統制」。

 ② 適用すべき法律の合憲性に通常裁判所が疑問をもったときに、審理手続を停止して当該法律の憲法適合性を憲法裁判所に問う「具体的規範統制」。

 ③ 通常裁判所における審理では救済されなかった人権侵害に対する救済を申し立てる「憲法異議」。

 このうち、わが国の議論は、なんとなく ① を念頭においているように思われますが、ドイツ連邦憲法裁判所における実際の事件処理数は、③ の「憲法異議」が圧倒的であることは、よく知られています。ということは、① は、ドイツにおいても例外的なのです。③ の「憲法異議」の制度なら、わが国にもそれほど違和感なく導入できそうですが、でも、これ必要でしょうか。

 と、こういう議論をしているあいだに、参院選が終わりました。当面は経済政策重視でしょう。いずれ、憲法改正論が前面に出ることなどがあったら、また本書を引っ張り出してみようと思います。

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コメント

こんばんは。クーラーのあたりすぎで風邪をひかないようにしています。
今日は、部分社会の分野ところで質問なんですが、
「純然たる内部的措置」の場合は、司法審査が及ばない、その理由は事件性の要件の第一要件に欠けるためであると、レジュメにありました。
そこで、例えば「地方議会議員の懲罰決議取消請求事件」において、欠けていた第一要件とは具体的にはどのようなものでしょうか?よろしくお願いします。

 クーラーは、要注意ですよね。真夏の必需品ですが、体を弱らせる感じもします。
 ところで、まず、「第一要件」の確認から。「事件・争訟性の要件」の「第一要件」とは、当事者間に権利義務または法律関係の存否に関する争いがあることでした。なぜこれが、司法制度を利用するための要件とされていたのかというと、当事者間の争い(具体的には、たとえば、被告による原告の権利侵害とか、義務賦課など)が団体内部の自律的運営に委ねるのではなく、司法制度を利用してでも解決されるべき「程度」に達していてはじめて、裁判所への訴訟提起を許すことにする、というものでした。
 このことを確認して、地方議会における出席停止処分について考えれば、そこで受けた原告の不利益は3日間の出席停止で、かつ、すでに停止期間は過ぎている。それによって給料の減額もなければ、名誉等の毀損もなく、ましてや議員としての地位も失っていない。したがって、原告に司法制度を利用してまでの回復すべき不利益がない、ということでしょう。このことを「第一要件」に欠けると表現し、それは、当該処分がなお「純然たる内部的措置」にとどまっていることを示しているということです。
 どうでしょうか。

こんばんは。憲法の勉強もようやく司法審査にはいりました。
今回は、「東京都教祖事件」のなかで使われた「二重のしぼり論」のことなんですが、具体的に何をしぼっていて、何が「二重」なのかおしえてください。
百選をみてもわからず、解説部分も見たらもっとわかりませんでした。

 ライチュウさん、試験勉強は順調なようで、なによりです。
 さて、東京都教組事件ですが、同事件は、勤務評定導入に反対した地方公務員が地方公務員法で禁止されている「争議行為」の実施を「あおった」として、地公法37条1項違反に問われた事件ですね。
 ということで、地公法37条1項をみると、そこでは地方公務員による争議行為一般が禁止されているように読めるけでども、そうであるとすると、同条項は「団体行動をする権利」を保障した憲法28条に違反する(法令違憲)になってしまう。そこで最高裁はどう考えたかというと、地公法37条1項が適用されるのは“違法性の強い争議行為”であり(1回目の「しぼり」)、かつ、同条項は“違法性の強い争議行為”を“違法性の強い形態で「あおった」場合に”のみ(2回目の「しぼり」)適用される、という「合憲限定解釈」をとりました。
 法令違憲を避けるために、法令の文言の解釈を限定した点を「しぼり」と表現し、それが2回行われているので「二重」の「しぼり」論とよばれています。

ロンシャンrodeoluxe

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