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2013年7月 5日 (金)

山手線と憲法。

 風、つよし!typhoon

 最近、講義や「書き物」をしていて、エネルギー(知識)の枯渇を感じます。アウト・プットはイン・プットがあって、はじめて、なりたつ営みですから。ということで、研究とは別にさまざまな書物のイン・プットを、まえまえから心掛けてはきたのですが・・・、最近は、なにかと滞っていて。少しはエネルギーの充電を、ということで、『法学教室』の5月号を読みました(「5月号」というあたりが、へなっている感ありですが)。

 特集記事も読みましたが、それにはふれないことにして(身のために)。2年間にわたって連載されてきた「公法訴訟」を振り返る座談会の後半記事に、面白い表現をみつけました。

 この連載は、石川健治先生、神橋一彦先生、土井真一先生、中川丈久先生によるものです。連載を終えての座談会の席上、その最終盤で、この企画は「公法融合科目」(LSに存在する)の初心に帰るという問題意識のものでのものであった、という点に話題が及びます。進行役の石川先生が各先生に意見を伺うのですが、神橋先生のお答えが興味深いものでした。

 「公法融合」というのは、憲法と行政法の融合ということが念頭に置かれていて、また、多くの人も、その意図通りにはいっていないと感じているところに、神橋先生は、つぎのようにご発言されます。

 「今日大学を出てくるときに同僚と話をしていたのですが、山手線の沿線にはいろいろな風景があって、憲法は山手線の沿線をぐるぐる回って見張っているようなものだと。その一部、池袋かどこかが行政法だとすると、ほかにも五反田だの日暮里だのと別の風景もあるわけで、そういったほかの分野も全部見て回るのが憲法の役割ではないかということで、特に行政法とだけ融合しなければいけない必然性がどれくらいあったのか・・・」(83頁)。

 たしかに!今学期は憲法の統治機構論を講義していますが、憲法41条の「立法」(実質的意味の法律)を制定する権限と「法律による行政の原理」にいう「侵害留保説」の関係なんていうマニアックなものをあげるまでもなく、65条の内閣権限と国家行政組織という憲法と行政法の融合。そして、76条の司法権と関係深い「法律上の争訟」論は、当然に、民事訴訟法とも関係します。民訴とは、また、裁判の公開原則とイン・カメラ・レヴューでも、融合します。また、統治機構論全体として、政治学と大きく関係しています。コインの裏(政治)、表(憲法)といってもいいでしょう(「ウラ」が政治というのは、怒られそうですが、直観に反していないと思います)。

 また、基本権論をみれば、民法(私的自治の原則なんてそうですが、非嫡出子判例、再婚禁止規定等々、枚挙にいとまがありません)、刑法(こっちも、尊属殺にはじまり、わいせつ、名誉毀損等々)、そして、25条を中心に社会保障法、27・28条で労働法、31条以下で刑事訴訟法と・・・。また、これらの各科目同士でも、理論は入り乱れ・・・

 ところで、こういう体系としての法学という視点、いまの法学部教育は、どの程度、意識的なのでしょうか。各教員は意識的であったとして、受け手に伝わっているのでしょうか。ただただ2なり4なり(ときに1)の数字を足して卒業と。120数単位(専門だけでいえば90数単位)で、法学を修めることはできません・そこには、2単位なり4単位なりが割与えられている各科目の足し算以上の相乗効果がないと。

 でなことを感じつつ、そろそろ定期試験問題が気になってきました。定期試験は学生を評価する機会でもあり、また、自分の今期を評価する機会でもあるということで、答案読みが楽しみでもあり、恐ろしくもあり、という感じです。まぁ、まずは受講生に気に入られる問題の作成を心掛けようと思います。

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