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2014年2月24日 (月)

はじめてのマルクス

 はれ!このまま、春を迎えるのか。

 この週末、鎌倉孝夫氏と佐藤優氏の師弟対談『はじめてのマルクス』(金曜日、2013年)を読みました。

 現在の資本主義を象徴する概念「労働力の商品化」を駆使。本来的には不可能なのに、資本は労働力を「物」のように扱っているという分析からはじまります。また、非正規労働の常態化により労働力の再生産ができずにいる現在の資本主義は資本主義の末期であると説き、このままだと搾取するものさえなくなるので、資本主義は終焉するとしています。では、どうするのか。本書の処方箋は、労働価値説の復権にもとづき、労働者が労働・生産活動の主体となれる社会主義の実現しかないとしています。

 であるのかどうかはわかりませんが、いくつかの点について、思わず膝を打ちました。

 まず、東西冷戦期の資本主義の下での福祉政策は、社会主義革命の予防であった、という見方。往時は、資本が一定の譲歩をせざるを得なかったけれども、社会主義体制の崩壊で革命の脅威がなくなったので、現在のような新自由主義的資本主義が跋扈するようになったとしています。

 また、(これは、わたしもいま書いているもののなかで意識的に使い分けましたが)、マルクス経済学とマルクス主義経済学を区別している点。マルクスは経済学を科学しようとしたと思いますが、マルクス主義経済学は、マルクスの衣鉢を継ぐのではなく、イデオロギーを唱えることに終始しているとしています。

 さらに、マルクスをかなり正確に読んでいると思われる宇野(弘蔵)派経済学の影響は、意外とエリート層につよいとしています。その文脈でのことですが、つぎの部分は印象に残りました。「大学時代に教った知的水準の高い理論は、社会人になってからのものの見方にも無意識のレベルでかなり影響を与えます」(122)。

 わたしも、大学で九州を、そして、日本を背負うであろう学生に接しています。わずか4年で、より直接的には8単位分で、憲法学のすべてを会得させられるわけではありませんが、それでも、九州、日本を支えるであろう学生に「無意識のレベル」で影響を与えてしまうとすると、きっちりとした憲法理論を説かねばまりません。

 そのためには、まずはわたしが「知的水準の高い憲法学者」にならなければならないわけですが・・・。

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