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2014年12月10日 (水)

闘うための哲学書(2)

 意外と外は暖かかったりする。でも、冬である。

 ちょっとした時間を使って、小川仁志×萱野稔人という新進気鋭の哲学者の対論『闘うための哲学書』(講談社現代新書、2014年)を読み進めています。

 先日(12月5日)のブログにつづいて・・・

 6冊目。ルソー『社会契約論』合議体や君主に統治を委ねるのではなく、人民による自己統治のための社会契約説を説いたもの。死刑を肯定するロジック、殺されないための社会契約 → そのルールに反した者は殺されなければならない。

 7冊目。スピノザ『国家論』人間は必然的にいろいろな情念に従属している。「人間の性情は、不幸な者を憐れみ、幸福な者をねたむようにできており、同情よりは復讐に傾くようになっている。さらに各人は、他の人々が彼の意向に従って生活し、彼の是認するものを是認し、彼の排斥するものを排斥することを欲求する」。

 ここから、萱野さんは、啓蒙や理性に期待するということは、人の内面に踏み込んでもいい範囲を広くとらえるということ。政府が取り締まっていいのは人間の行為までだとすると、啓蒙や理性に期待しない哲学の方がより思想や信仰の自由を守る足り場になりそうである、としています。

 8冊目。カント『永遠平和のために』本書は、1795年バーゼル条約をきっかけに執筆されました。国際平和の理想論です。すべての国家に広がった平和連合が確立しれば、すべての戦争が永遠に終結する、とカントは考えています。

 9冊目。ヘーゲル『法の哲学』結婚(婚姻)は、人間が生命を維持し、子孫を残すという再生産の場であると同時に、精神的な愛の結実化でもある。家族は、自由な人格が合意によって結びついているという意味で、市民社会の原型でもある。家族という法的共同体には、子どもを市民社会の成員として育てる役割が課されているとされています。

 10冊目。ミル『自由論』危害原理を説き、自由に関する議論の端緒になった書物です。他にミルにはベンサム流の「快楽功利主義」に抗して「質的功利主義」を唱えた『功利主義論』などもあります。

 個々のテキストは、どうしてもそれぞれの時代的制約の中で書かれています。そうした時代制約的なテキストをどこまでアクチュアルに読めるかは読み手にかかっている、とお二人は言います。現代からみて、テキストの問題点やある種の視点の欠落などを批判するのは簡単ですが、そうではなく、哲学テキストを現代の視点からいかにアクチュアルに読めるかを問うべきだと言うのです。

 それにしても、かつては、こうしたテキスト、それも、ときに原文を読んで暮らしていたこと、あったんですよね~(・・・遠い目・・・)。あのような日々は、もう戻ってこないのでしょうか。

 よく「大学の先生は放っておいても研究はする」と言われることがあります。つまり、授業はそこそこ、学務はしない、というのが大学教員像ということなのでしょう。

 ところが、これ、わたしの感覚とは全く異なります。学務なんて簡単(誰でもできる)、もちろん学務だけでは許されないので授業もする。でも、ここまでで許されるなら、大学教員なんて楽なものです。もっとも苦しいのは研究する(=論文を書く)ことだと思います。

 学務をソツなくこなす、授業がうまい、こういう先生はいっぱいいます。でも、これ、大学教員としての評価対象ではありません。もちろん、授業は上手い方がいいし、学生の面倒見もいい方がいいに決まっています(学務はどうでもいいでしょう)。でも、大学教員は、研究業績でしか評価されません。少なくとも、対外的には、そうです(学務がソツない、とか、授業が上手いなんて、学界は関心を持ちませんから)。

 わが社では、もうすぐ、学部長選挙があります。研究、勉強をするには、どうしても時間が必要なので、教員の講義負担、学務負担を減らし、研究時間を確保する政策を実現してくれる学部長が出現してくれることを、わたしは切に願っています。できれば、近々、サバティカルとかとらしてくれる人を・・・

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