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2015年1月12日 (月)

『神なき宗教』

 sun。成人の日。オフ。

 ロナルド・ドゥオーキン(森村進訳)『神なき宗教 「自由」と「平等」をいかに守るか』(筑摩書房、2014年)を読みました。

 ドゥオーキンは、20世紀後半かた2013年に亡くなるまで、合衆国でもっとも影響力のある法哲学者でした。その発言は、学問の世界だけでなく、リベラル派を代表する論客だったといえると思います。

 本書は、そのドゥオーキンの遺著で、2011年12月にスイスのベルン大学で行われた「アインシュタイン講義」に基づいています。

 内容は、4章構成で、第1章では宗教論、第2章では宇宙論、第3章では宗教的自由論、そして、第4章では死生論について、扱われています。

 詳細は読者に委ねるとして、第1章では有神論と無神論に共通する宗教的態度について語られています。それは、何らかの超越的、客観的価値の存在への信念というところでしょうか。

 第2章では、最新の物理学理論や宇宙論を紹介しながら、「美しいもの」「崇高なもの」と、その証明という営為について語られます。

 第1章では『利己的な遺伝子』で知られるドーキンズ、第2章ではラッセルやアインシュタイン以降もっとも重要な物理学者だと言われているファインマン批判が展開されている点でも注目されます。

 一転して、第3章では、合衆国最高裁判例を引き合いに出しつつ、宗教的自由という基本権について、論じられています。そこでは、宗教的自由にカテゴライズされるより広範な倫理的権利が合衆国憲法修正1条上の保護法益であると語られていて、いままでのドゥオーキン理論とはすこし違うと思いました。

 エピローグとしての第4章では、死生論とはいえ、人間は尊厳をもってよく生きなければならない、と語られています。

 ドゥオーキンの法理論は、アメリカ的実体的価値論を背景に、法解釈の中には道徳的考慮がはたらいているとするものです。そのアメリカ至上性はときに批判の対象にされますが、それでも、リベラルな価値の実現を目指す司法積極主義を信奉する第一人者として、わが国でも多くの読者を得ています。

 わたしも、いまの仕事がひと段落したら、もう一度、読み返してみたい論者の一人です。院生のときとは違った示唆を得れそうなので。

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