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2015年2月 3日 (火)

佐伯啓思『西田幾多郎』(新潮新書)

 sun。定期試験まっただ中、ご自愛ください。

 先週末、佐伯啓思『西田幾多郎』(新潮新書、2014年)を読みました。

 西田幾多郎という哲学者、名前だけは知っていました。そういえば『善の研究』の著者であることもうっすら、知っていたと思います。しかし、その著作を読んだこともなく、そもそも「いくたろう?」それとも「きたろう?」(そんなはずないか)ってくらいの知識でした。お恥ずかしいかぎりです。ただ、いつかはちょっとはかじっておかないと、とは思っていました。

 で、ある日、本屋さんをうろついていると、佐伯啓思著の「西田幾多郎」本があることを知りました。それも、新書。保守派の論客である経済思想家の佐伯先生のご本は、院生の頃からよく読んでいました。その佐伯先生による「西田本」ということで購入しておいた次第です。

 この本は、西田の人生の根底には「悲哀」があり、それが西田の哲学の基底になっている、としています。この「悲哀」の源泉には、「人の死」、西田の「家族の死」があるというのです。

 西田は、13歳で姉と死別、34歳のときに弟が旅順で戦死し、36歳のときに5歳の次女を失っています。また生まれて間もない五女も失います。さらに、49歳のときに妻が脳溢血で倒れ、数年の介護を余儀なくされます。50歳のときには旧制第三高等学校生であった長男を失い、54歳のときには、介護の甲斐なく妻が亡くなっています。そのあと、70歳のときに四女を亡くし、74歳のときに長女を失います。西田の人生は、常に家族の死と隣り合わせであった、といっても過言ではないでしょう。

 本書は、西田はこの苦痛や悲哀を哲学にまで高めた、と評しています(41頁)。西田の哲学は、よく「無の哲学」といわれます。この「無」へと辿り着く彼の思索は、西田の人生上の苦難や悲哀と無関係ではない、というのでしょう。

 難解だと言われる西田の思想を、本書は、各章ごとにテーマを定め、現実の思考にまで引き下げて解きほぐしています。まさに、形而下の話題をからめつつ形而上のことをエッセイ風に説いた、というところでしょうか。西田哲学そのものを語ったわけではありませんが、「幾多郎」の読み方も定かではなかったわたしにとって、最初の一歩になりました。

 また、柳田國男、折口信夫、本居宣長、和辻哲郎・・・、この本にもこうしたわが国を代表する哲学者、思想家の名前がでてきます。無教養のわたしは、ほぼ、名前しか知りません。

 グローバル化が無条件に叫ばれている今こそ、日本独自の思想、思索を大切にする時なのかもしれません。

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