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2015年3月22日 (日)

パンデミックと法(法セミ723)。

 suncherryblossom キターーー。

 法学セミナー723号(2015年4月号)の【特別企画】「パンデミックと法」を読みました。

 「感染症の世界的流行」を指す「パンデミック」、この予防と対処にはさまざまな法学的論点があると思います。今回の法セミは、公法学、基礎法学の視点から「パンデミックと法」について特集されています。

 まずは、大林啓吾先生。イントロダクションにつづき「憲法と感染症」というテーマで記事を書かれています。誰が感染症対策の責任を担うのか、予防のための隔離が許される条件とはなにか、隔離のためにはどの程度の感染の疑いを立証する必要があるのか等、興味深い論点にふれらています。感染症対策は、自由と規制のバランスという憲法学のテーマそのものに深い関わりがあることが指摘されています。

 つぎに、大屋雄裕先生の「パンデミックと他者への信頼」がつづいています。社会全体のパニック、他者の自己決定(感染しているかもしれない、それでも外出したい)への恐怖・不安を統制するための手法として、強権的政府(リヴァイアサン)によるコントロールかよいのか、それとも「自動化された空間的分離」(体温・呼吸をチャックし感染が疑われる場合にはドアをロックする、外出できなくなる装置の義務化)といったアーキテクチャによるのがよいのか。

 さらに、瀧川裕英先生の「エボラ出血熱とグローバルな正義」では、後進国で発生した感染症について、先進国に医療義務があるかについて、論じられています。先進国が医療を実施しないと流行国での感染拡大が深刻化して制御が困難になるので、結果として先進国への感染リスクが高くなると。また、現在の患者を救うために特許を制限すべきか、それとも(そんなことしたら誰もワクチンを開発しなくなるので)将来の患者のために特許を保護すべきかについては、一定の条件で強制実施権が認められていると解説されています。

 さいごに、鵜澤剛先生の「日本の感染症対策」が締めています。そこでは、わが国の感染症対策に関する法制度の概要が解説されたあと、明確なルールづくりが対象者の権利保護と担当公務員の戸惑いのない権限行使のためには肝要であることが指摘されています。

 この他にも4月号ということもあり「誌上講義 法学入門」と銘打って、憲法、民法、刑法の「上三法」の入門記事が掲載されています。

 また、自治体法務職に従事した弁護士さんのお話、そして、「研究者をめざす大学院生フォーラム」として憲法研究者(であろう)を目指す慶應院生の研究が紹介されていました。

 ついでに(ではなく重要記事として)、わが社の朝田とも子先生による行政法の判例演習(九州建設アスベスト訴訟第一審判決)も掲載されています。

 の到来を思わせる表紙でした。(これ、何色というのでしょうか。このブログでは、あねさん色に近いのですが)。

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