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2015年7月30日 (木)

憲法Ⅱ受講生へ。

 sun。暑っついですね。そんななか、本日は、憲法Ⅱの定期試験が実施されました。受験された方、まずは、お疲れ様でした。

 ところで、この講義、初回から抽象的概念のオンパレードで、かつ、教科書の出版が遅れたこともあって、難解で「眠たい」講義であったと思います。そこで、この講義で一体何が言いたかったのかを、ブログでごく簡単にお話ししておきたいと思います。

 この講義でお話ししたかったことは、日本国憲法の統治に関する規定を、法の支配の要請、法の支配の「あらわれ」という視点から読み解いてみよう、ということです。講義中にもお話ししたように、法の支配を積極的に定義することは困難です。それでも、それが目指していることは、端的に言えば、国家行為に謙抑性をもたせること、これだと言えると思います。このことは、講義で何度も、何度もくり返しました。

 国家行為に謙抑性をもたせるために憲法がとった仕組み(憲法の基本原理)として、マクロ的に言えば権力分立があること、また議院内閣制を採用し国会と内閣の間に「統治方針一致の原則」を制度としてもたらそうとしていることを論じました。また、ミクロ的視点では、司法権について、「法律上の争訟」性、付随的違憲審査制を採用していること、これらはすべて、国家機関の行為に謙抑性をもたせるための仕組みという視点から分析可能であると述べてきました。さらに、よりミクロの視点としては、きょうの試験にでた「合理的期間論」もそうです。それは、国会のもつ法律制定権には一定の裁量が認められるので、法律の制定改廃については、司法機関は容易には介入すべきではないという司法権に謙抑性をもたらすための法理論であるという見方を講義では示しました(書けましたか?)。くわえて、統治権そのものについても、中央政府と地方政府にその主体を分割し、地方政府にも自治権を与えていること、これも権力分立の要請であるとしました。

 ところが、現実の国政運営をみると、そこには「統治の過剰」と言えるような実態があることも、講義では指摘しました。権力分立の変容のところで説いた行政国家現象、それから「司法の過剰」と言える司法国家現象などが、この典型です。

 では、なぜ国家行為は謙抑的でなければならないのでしょうか。この点については、そのことによって、結果として国民の基本権が守られることになる、とお話ししました。わたしのこの視点は、日本国憲法下における政府の役割をあまりにも消極的に捉えていると批判されるかもしれません。ただ、まずは日本国憲法がなによりも国家権力を抑制しようとした近代立憲主義の系譜に属するものであることを明らかにすることがこの講義の目的である考えて、あえて一面的にこう論じてきました。みなさんは、日本国憲法の特質をどう考えますか。

 わたしとしては、わたしの見解への賛否は別として、このような視点から憲法条文を理解し、憲法理論を展開するという「感覚」が朧気ながらもつかめたなら、すでにこの講義の目標は実現できた、と考えています。また、わたしの「眠たい」講義にちゃんと出席されていた方なら、この「感覚」は頭のなかに備わった、と考えています。この講義を基盤にして、是非、これからはみなさんの憲法観を展開してみてください。

Dsc_2895 また、最終講義でもお話ししたように、昨年の憲法Ⅰ、この憲法Ⅱは、わたしの学者人生のなかでも、もっとも感慨深い2年間としていずれ思い出されることになると思います。はじめて自分の書いたもので講義できたのですから。というわけで、憲法Ⅱを受講し、試験をうけてくれた人、みなさんに単位を認定したいところですが、そういうわけにもいかず・・・。これから採点作業にはいります。それぞれの憲法Ⅱに対する思いが結果につながっていることを心よりお祈り申し上げます。

 さいごに、憲法Ⅱを受講してくれて、本当にありがとうございました。happy02

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