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2015年8月 3日 (月)

出前講義@甲南高校。

 sun。きょうも猛暑の予定。

 きのう、鹿児島の甲南高等学校で「出前授業」させてもらいました。

Photo_4 (いきなり「ご静聴、ありがとうございました」写真ですが・・・)。

 テーマは、一応、「憲法と国際貢献」としました。ただ、オーダーは、つぎのような論題で英語のディベート大会があるので、その勉強会も兼ねて、PKO活動と憲法、あるいは、立憲主義というあたりをお話ししてほしい、というものでした。

 そのディベート大会の論題とは、「日本国は、自衛隊の参加制限を緩和し、国際連合の平和維持活動に、より積極的に貢献すべきである。是か非か」というもの。

 この論題にある「参加制限」というのは、1992年制定の「PKO協力法」に付された「PKO参加5原則」のことです。この5原則を緩和して「より積極的に」国連の平和維持活動に自衛隊を関わらせることは、憲法に反するであろうか、それとも反しないであろうか、という論点を考えるために参考となる講義をしてほしい、ということでした。

 ということで、まず、PKO5原則の背景からお話ししました。上にあるように、1992年にPKO協力法が成立します。このときに、PKO参加5原則というのも同時に表明されるわけですが、当初は、PKO協力法に附則があり、その附則により「PKF活動」への参加は制限されていました。

 ところが、このPKO協力法は2001年に改正され、そのさい、自衛隊のPKF活動への参加を制限していた上の附則が削除されます。こうして、2001年以降は、わが国の自衛隊もPKF活動に参加できるようになったのですが、それでも、このPKFへの参加が憲法9条1項で禁止されている「武力の行使」にはあたらないとするために、附則の削除以降も、なお、PKO参加5原則は維持されました。つまり、PKO参加5原則の維持は、自衛隊のPKF活動が憲法で禁止された「武力の行使」に該当しないための憲法上の要請であると考えられることになります。

 こう考えると、論題への回答は「」という結論になるとお話ししました。

 ただ、憲法は前文、98条2項で「国際協調主義」を採用している、というお話しを皮切りに、つぎは「」という結論を導くお話しもしてきました。

 それは、上の憲法上の要請をうけ、わが国は国連の「集団安全保障」体制に参加しています(集団的自衛権ではありません。集団的自衛権は、わが国の行為としてなされるのに対し、集団安全保障は国連の指揮下のもとで実施されるものです)。その集団安全保障の施策のひとつに、国連軍や平和維持活動(PKO、PKF)があります。つまり、こうした国連監理下の集団安全保障施策への協力も憲法上の要請といえるのです。

 さらに、わが国の憲法が統制しているのは、国の活動ですが、それは、日本国内外におけるわが国の指揮・監理が及ぶ国の活動であると言えます(最近話題の砂川判決も、在日米軍はわが国の指揮権が及ばないので9条2項が禁止している「戦力」には該当しない、と判示しています)。ということは、国連指揮下で行われる平和維持活動への自衛隊の参加は、日本国憲法の統制が(及ばないわけではないけど)弱くなると考えられるのでは、という見方もお話ししました。日本国憲法の意義は、第一義的には、なんといってもわが国の政府の行為から国民の基本的人権を保護することにあるはずなので。

 というわけで、「是/非」の両論がありうるはずで、あとは、みなさんの議論の説得力にかかっている、と。わたしは、法学者なので、ここでも政策論ではなく、なるべく法解釈から軸足が離れないようにすることを心掛けて、講義したつもりです。

Photo_5 聴講してくれたのは、事前の話では75名の高校生+10名程度の先生方でした。英語ディベートの勉強会ということもあり、会場となった甲南高校生だけでなく、ラサール高校、鶴丸高校、鹿児島中央高校、育英館高校、志學館高校、鹿児島情報高校、ほかにもいたのかな、というインターハイスクールな「出前講義」が実現しました。実際のディベートでは、県大会で敵味方になるかもしれないこうした高校生が、事前の勉強会、練習試合をしながらディベートの力量(しかも英語での)を高めていく雰囲気にふれて、彼ら、彼女らの高いポテンシャルを感じました。一応、わが社のパンフレットも配布させていただきましたが、わが社(が一番いいのですが)だけでなく、是非、こうしたポテンシャルの高い生徒のなかから法学部に関心をもってくれる人がでてきてくれたらなぁ、と思いました。

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