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2015年9月12日 (土)

検証・安保法案。

 sun。日本列島は広いと、あらためて感じました。豪雨、そして、被害にあわれた方、心からお見舞い申し上げます。

 今週末は、安保法制を考えるひとつの区切りになると思ったので、手元にある関連書を読んでおります。

 ということで、まずは、長谷部恭男先生の編集による『検証・安保法案 どこが憲法違反か』(有斐閣、8月30日発行)を読みました。

 長谷部先生は、「はしがき」および「序論」において、一連の安保関連法案がその核心部分、すなわち、集団的自衛権を容認する点において、明確に違憲の瑕疵を帯びている、と主張されています。

 そして、首都大学東京の木村草太さん(インタビュー)と学習院大学の青井美帆さん(論文)では、現行憲法解釈上、集団的自衛権の行使がなぜ違憲なのか、その「解釈ロジック」が示されています。法学者、憲法学者がこだわらなければならないのは、わたしも、法令に基づく解釈としてどうなのかという点だと思っています。

 また、木村さんは、インタビューのかなで、もう一連の安保法案が採決されることを見込んで、つぎのように言います。

 「あとは、憲法違反であるし国民の支持のない法案を強行採決した場合に、その政権をどう評価するのかという問題だけが残されている」(27頁)、「大事なのは次の選挙まで今回の出来事をきちんと記憶し、それへの制裁を国民が選挙で示すこと」(28頁)。

 民主制国家における為政者は、選挙というプロセスを経てこそ、統治の正統性を獲得し得ると、わたしも思います。

 さらに、長谷部先生との対談における大森政輔弁護士(元内閣法制局長官)の発言からは、いままで内閣法制局内でそのような議論がなされてきたのか、外務省・防衛省との関係でどのようなやりとりが交わされてきたのか、端的に知ることができます。また、個別的自衛権と集団的自衛権(大森さんは「他国防衛権」と言われています)は本質的に異なることの説明や(37頁あたり)、内閣は憲法解釈を変更することもできるが「変更後の解釈の内容が、憲法その他の上位法に照らして適法と認められることが必要」と述べられているところなど(38頁あたり)、不遜ながらわかりやすく解説されていると感銘をうけました。

 さいごに、元防衛研究所長で元内閣官房副長官補の柳澤協二さんの文章にあるつぎの一文は、わたしの心に重く響きました。柳澤さんは、PKO協力法改正を「これによって、1992年以来積み重ねられてきた『武器を使わない海外派遣』は、『武器使用を前提とする海外派遣』に、大きく変貌することになる」(78頁)と評されました。

  「法治」を実現するためには、法の制定者、法令の提案者の意図から離れて、法の文言を精緻に解釈することが要請されます。本書が後半部分に安保関連法案の主要部分が現行法と対照されるかたちで収録したのは、ともすると感情論、政策論に流されやすい安保問題を、冷静に、論理的に議論せよとのメッセージなのでしょうか。

 

 

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