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2017年5月18日 (木)

憲法Ⅱ(第10回)。

 きょうも sun。憲法Ⅱ日和 good

 ということで第10回講義のレビューです。ただ、なんかきょうは(も?)講義があんまちり進まなくてごめんなさい。

 m(. ̄  ̄.)mス・スイマセーン

 講義が進んでいかない原因は何でしょうね。「法セミ」のPRに時間をとったか、それとも、昨夜の「意見交換会」の話が長かったからか、、、

 (0) いま講義で扱っているところが統治と政治が混在(それが「統治機構論」の特徴でもあります)しているところなので、SBSも統治と政治が混在している質問が多かったですね。わたしが「これは政治の問題ですが」といいつつお話ししたところは、わたし専門家ではないので、是非、いろいろな先生の意見を聞いてみてくださいね。

 ここで内閣による解散のタイミングの話をしたのが、講義が進まなかった原因かもしれませんね。

 (1) 衆議院の解散については、内閣は、どのような憲法上の根拠、論拠に基づいて衆議院を解散できるのか、についてお話ししました。

 ① それには、まず69条限定説があります。非選出機関である内閣を選出機関である国会(衆議院)の下に置こうとするこの説は、内閣が憲法上衆議院を解散できる根拠と条件を明確に示しているだけに法的には説得的ですが、実務的にはありません(過去23回の解散のうち5回しか69条解散はありません)。

 ② で、69条非限定説ですが、それは、以下3つに分かれます。

 ⅰ) 7条説。ただ、7条に列挙されている天皇の国事行為は、すでに7条以外の憲法上の根拠、論拠により形式的行為になっているはずなので、7条を根拠に内閣は衆議院を解散できるとは言えないと思います。また、かりにそうだとすると、この根拠に基づく解散を統制する(非選出機関を選出機関の下におく)法理論はないことになります。ただ、実務的にはこの説にたっていると思います(したがって、解散は無条件に行い得る)。

 ⅱ) 65条説。立法作用でも司法作用でもない解散は行政作用であるとするこの説は、安直な感じがしますね。また、65条権限を天皇大権に由来する執政権であると考えて衆議院解散も内閣の執政権行使であると考えることはできると思いますが、そうすると、やはり選出部門の統制は及ばない権限になってしまうと思います。

 ⅲ) 制度説。そうすると、日本国憲法は議院内閣制をとっているのだから内閣には解散権があり、69条の規定みると解散を当該法上の場合に限定するようには読めないから、憲法が議院内閣制をとる以上、内閣は衆議院を解散しうるとする制度説が残ります。これ、説得的のようなそうでないような、、、ですが、内閣の解散権に限界を画そうとする下の法理論は、議院内閣制に関する責任本質説と解散権に関する制度説に基づいて説かれてきていると思います。

 ③ 内閣の解散権行使は議院内閣制の下、「統治方針一致の原則」が崩れたとき限定されるべきである、と考えられています。具体的場合については、青本P127~P128を参照してください。

 (2) つぎに「選挙と選挙制度」の項目(プリントP22中ごろ)にはいって、選挙権の法的性質について「権利一元説」と「(義務と権利)二元説」があること、後者が通説的地位にあることをお話ししました。この説によれば、権利能力以外に、国家機関につく資格として一定の条件を求めても憲法に反しないことになります(参照、公選11条、同252条)。

 (3) つづいて、日本国憲法における選挙の原則について、お話ししました。

 ① 普通選挙の原則(15条3項)- これは制限選挙制を否定するものです。制限選挙は、誰が国家代表にふさわしい人物かを適切に判断するためには、一定の経済的余裕、教育、見識が必要だという理由で正当化されていたことがあります。ただ、その真意は、為政者が、当該社会で長期にわたって差別や不利益扱いの対象となってきた集団(社会的少数派。必ずしも人数の多寡の問題ではない)の反体制的・反政府的投票を恐れて、彼らを選挙から排除することにあった、と解説されています。

 ② 平等選挙の原則(14条1項、44条)- 有権者の選挙権の内容に格差を設ける選挙が「不平等選挙」ないし「等差選挙」と呼ばれます。平等選挙の原則はこれを否定するものです。歴史的な例としては「男子普通選挙制」のもとで、35歳以上で妻子があるなど、一定の要件を満たす有権者に3票までの投票をみとめたベルギー下院選挙法(複数選挙制)や、有権者を納税額によって3グループにわけ、少人数の高額納税者に圧倒的多数の低納税学者と同数の下院議員を選出する権利をみとめていたプロイセン階級選挙制度が有名です。

 ③ 直接選挙の原則(国政レヴェルについて明記なし。地方公共団体の長や議員について93条2項) - 間接選挙制、複選制(それぞれ青本P135)を否定。有権者が「中間選挙人」を選出し、中間選挙人が公職就任者を選出する制度が間接選挙制。また、市議会議員が市長を互選する仕組みのように、ある公職者が別の公職者を選出する制度が複選制です。

 ④ 自由投票制、⑤ 秘密投票制(15条4項)については、青本P136でそれぞれ確認してください。

 とくに、選挙の公務性(二元説)を勘案すると、棄権に制裁を科す強制投票制(義務投票制)の導入の可否ついては、争いがあります(強制投票制の例として、オーストラリア、ベルギー、シンガポール等があります)。

 (4) 議員定数不均衡の問題については、途中で鐘がなったので、次回にもう一度お話しします。その際、衆議院議員選挙に違憲判決を下した昭和51年の最大判をとりあげますので、百選Ⅱ-153(できれば民集30巻3号223頁)を熟読してきてください。そのさいに注意すべき点を列記すると・・・

 ① 訴訟提起段階では、これが「法律上の争訟」(裁3条1項)といえるか。参照、公選法204条。但し、典型的な公選法204条訴訟ではない。

 ② 本案審理段階

 ⅰ) 被告は統治行為論(青本P276)を展開 → 司法審査権の限界の問題。

 ⅱ) 相対的平等 - 議員定数不均衡問題の本質は何か。地域(居住地)による較差に合理的理由があるか。

 ⅲ) 定数配分にあたりなぜ人口的要素ではなく行政区画等の非人口的要素に配慮してよいか - ゲリマンダーの防止。

 ⅳ) 一定の較差で「違憲状態」。なせ「違憲」でないのか → 合理的期間論

 ⅴ) 合理的期間を経過して「違憲」。しかし「無効」ではない。

 ・「憲法の所期しない結果」とは。それはなえ生まれるのか。

 ・ それを回避するために「事情判決の法理」。とは?

 講義ではまだやっていないところが多いので、予習として青本のP137~P140を読むさいの参考にしてください。

 

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