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2017年6月

2017年6月30日 (金)

演習Ⅱ(第9回)。

 きょうも雨rainだったり、晴sunれてみたり・・・

 で、4年生のゼミのレポートがとどきました。

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 前回、わがゼミのアイドルからの私の紹介において身に余るお言葉をいただき大変恐縮しています。ごくごく普通の熊大生が今回のゼミの様子の報告をさせていただきます。

 今回のゼミのテーマは「司法試験問題に挑戦!」ということで、平成27年公法科目第一問について発表班の報告がありました。内容を大まかにいうと、Bが、あるA市環境事業に反対したことで市の募集する当該事業の対策課職員として不採用となったことにつき、① B(反対意見の表明のみ)とC(反対意見の表明+傷害事件になるほど度を越えた反対活動をした)を同列に扱って不採用としたことに対する14条違反と、② BとDら(B、Cとともに職員応募した)について、BはDらと比べて仮採用時の成績は同等もしくはその以上であったのに、Bが当該事業に反対意見を持っていることを理由としてBを不採用としたことに対する14条違反を検討するものでした。

 ゼミでは、三菱樹脂事件を参考に検討するのはどうかという学生の質問に対し、先生は、確かに事案は類似していて真っ先に浮かばなければならない。しかし、相違点(公か私か)があることを検討すること、との指摘。さらに、レジュメ引用の解説にある違憲審査基準について「審査基準は正しく使わないとだめだよね」とまるで誰かに訴えかけるかのような指摘があり、盛り上がる場面もありました。

 湿度高いジメジメとした気候が続いておりますが、前期のゼミも残すところ後3回。気を引き締めて頑張りましょう!さて、次回の演習Ⅱ。大日方ゼミは~

 一.予備試験問題に挑戦!

 二.ゼミ集合写真撮影会?

 三.次回の報告者はディズニー通のS・Kさん

 の三本でお送りいたします。

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 来週もまた見てくださいね~

 ジャンケンポン scissors

 

2017年6月29日 (木)

憲法Ⅱ(第20回)。

 あめ、降りませんね。大丈夫でしょうかね。

 ということで、憲法Ⅱの第20回講義のレビューです。

 (0) SBSは、憲法83条(財政の基本原則)憲法89条(公金支出の制限)について、多くの質問をもらいました。それぞれ回答したものを読んでもらえばいいと思いますが、国民主権原理、そこでいう「国民」とは、あるいは、議院内閣制による統治プラクティクスなどを駆使して回答していますので、それぞれ復習してみてください。

 (1) 本編にはいり、まずは、租税の定義、概念についてお話しました。租税とは「報償性ないもの」をいう点、確認してください。

 それとの関係で、憲法84条の「法律又は法律で定める条件による」と財政法3条の「法律又は国会の議決に基づいて」の違いについても解説しました。前者は租税に関する規定、後者は租税には該当しない課徴金や国が独占する事業の使用料に関するものです。この規定によると、租税なら具体的な金額又は金額算出基準が直接法律で定められていなければならないことになりますが、金銭賦課が租税でないなら料金の根拠や金額決定の手続さえ法律又は国会の議決で定めておけば、料金改定はその手続に従って行政機関で実施することができることになります

 (2) つぎに、租税法律主義についてお話しました。租税法律主義とは、租税の賦課、聴衆は、必ず、国会の議決である法律という形式に基づくものでなければならないという法原則のことです。

 この租税法律主義は、一般的には、課税要件法定主義と課税要件明確主義を内容としているといわれています。

 ① 課税要件法定主義は、法治主義の要請に基づくものです。行政立法だけを根拠とする課税、不文の税法による課税を禁止しています。

 ② 課税要件法定主義は、法の支配の要請に基づくものです。法定された要件を明確にすることで、課税庁の裁量を統制し恣意的な課税を防止すると同時に、納税者に課税要件を告知することで課税に法的安定性・予測可能性をもたせる意義があります。

 (3) さらに、租税法律主義に関連する問題としては、つぎの3つをとりあげました。

 ① 条例で課税することができるか。憲法84条にいう「法律」が形式的意味の法律だとすると、地方公共団体の議会が制定する法令である条例では課税できないのでは、との疑問が浮かびます。

 これについては、地方公共団体も憲法上の統治権(地方自治権)をもつので、地方公共団体もそれに含まれる課税権の行使として憲法94条(条例制定権)に基づき条例で租税を課税できると考えればよいと思います。

 ② 条約で課税すること(関税を課すこと)はできるか

 これについては、条約の締結には国会の承認が必要(憲法73条3号但書)であることを理由に、関税も租税法律主義には反しないと考えられています。

 ③ 通達変更による課税。通達に基づく課税は許されていません(通達課税の禁止)。では、通達変更による課税は許されるか。

 これについてはパチンコ球遊器通達課税事件(百選Ⅱ202)を読んでください。本件で最高裁は「課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであっても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、本件課税処分は法の根拠に基づく処分と解するに妨げがな〔い〕」と判示しています。

 (4) つづいて、お話は予算制度へと続きました。予算については、予算の法的性格について、従来から議論があります。その議論を一通り紹介したあと、予算が法規範性をもつことについては、予算法形式説が有力な説明の仕方であるとお話しました。このあたりは、プリントP55、青本P234で是非復習をお願いします。

 (5) そして、最後に、国会による予算修正の可否について検討しました。

 なぜ、この問題が問われるのかというと、明治憲法下では帝国議会に予算発案権がないことを理由に、議会は原則として予算修正はできないと説かれていました。そして、やはり、国会には予算提案権がない(内閣権限)日本国憲法の下で、国会は予算修正ができるのか、が問題とされてきたのです。

 この点について、財政国会中心主義からすると日本国憲法の下では国会に予算修正権があると考えるべきであること、また国会法に予算の修正動議に関する規定があることで、実務的には国会による予算修正も可能であると解されています。

 但し、憲法上、内閣に予算提出権(予算編成権)があることを考えると、国会による予算修正には限界もある論じられてきています。では、限界はどこかというと、理論的には、国会の予算修正は内閣の予算提出権を損なわない範囲において可能ということができると思います(政府見解もこういいます)。また、実務上の限界については青本のP236に記載しておきましたので、もう一度、読んでみてください。

 (6) 予算と法律が不一致の場合(予算はあるけど法律なし、法律があるけど予算がない)の場合もすこしお話ししましたが、途中になりましたので、次回はここから講義します。

2017年6月28日 (水)

演習Ⅰ(第10回)。

 第10回演習Ⅰ(3年ゼミ)のレポートです。

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Img_6938 こんにちは! 今回ブログを担当させていただきますT.Mです。

 今週は古典的プライバシー権と現代的プライバシー権について議論しました。

 古典的プライバシー権について、京都府学連事件(最高裁昭和44年12月24日大法廷判決)では憲法13条より、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう等を撮影されない自由を有するとした上で、現に犯罪が行われもしくは行われたのち間がないと認められる場合であって、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもって行われるとき、警察官の写真撮影に第三者の容ぼうを含むことになっても憲法に違反しないとされました。

Img_6939 現代的プライバシー権として、早稲田大学江沢民講演会事件(最高裁平成15年9月12日第二小法廷判決)では、講演会の参加希望者の学籍番号、氏名、住所等の情報について、本人が他者にみだりにこれを開示されたくないという期待は保護されるべきであり、任意に提供したプライバシーに係る情報を警察に無断提出したことは、プライバシー侵害にあたり、不法行為を構成するとされています。

 古典的プライバシー権は、私生活をみだりに公開されない権利としており、秘匿性があるかどうかの内容に注目しているのに対し、現代的プライバシー権は、自分で自分の情報の取り扱いまでもコントロールできる権利としています。 個人情報の、他者に知られたくないと感じる程度についてや、報道の自由との関係で、ヤフオクドーム等での野球のテレビ中継、芸能人の週刊誌問題についても、意見が飛び交いました! 先週に引き続き今週も議論が活発になってきました!来週も頑張りましょう!

2017年6月26日 (月)

憲法Ⅱ(第19回)。

 空模様はぐずつき気味。で、憲法Ⅱの第19回講義のレビューです。

 (0) まずSBSについて。

 ① 恩赦権恩赦制度については、刑罰権がもともと君主権限であったという歴史的由来に基づいて理解してください。

 ② 行政委員会制度については、行政委員会の業務が政治的・行政的中立性、専門技術性が要請されるので、内閣・内閣総理大臣の統轄下ではなく、それらの所轄下に置かれていること、これらをどう制度設計するのかは、大枠としては、国会の裁量の下(41条又は43条)にあると考えればよいと思います。

 ③ 「統制ルール」/「構成ルール」ついては少し難解だったかと思います。ただ、わたしの統治をみる学問的視点にも関係していることをみなさんの前で話すことができ、よかったと思います。

 (1) つぎに内閣総理大臣の地位と権限について

 ① 日本国憲法が内閣総理大臣に「首長」としての地位を与えている(66条1項)ことの意義をプリントP50の中ごろで復習してください。

 ② つぎに、内閣の代表者としての権限(憲72条)について、原則として、閣議にかけて行使することが要請されていますが、形式的な閣議はない場合にもなお内閣総理大臣の職務権限の範囲内といえるか否か、いえるとして、どのようなロジックがあるのかについては「ロッキード事件丸紅ルート判決」(百選Ⅱ-180)、青本P221で複数してください。

 ③ 国務大臣の訴追同意権(憲75条)についても、条文理解を深めておいてください。とくに、75条後段の意義についても、プリントP51の中ごろで確認してください。

 ④ 内閣総理大臣の異議の制度(行訴27条)については青本P275を一読しておくだけで十分です。

 (2) で、講義は、財政の章にはいって

 ① 財政の定義財政作用に関する権力分立内閣が財政権の主体、国会に財政決定権を配分)をプリントP52で確認してください。

 ② 財政の基本原則について、財政国会中心主義・財政民主主義(憲83条~88条+会計検査院による決算審査の国会への報告〔90条〕、国民への報告義務〔91条〕)を確認したあと、

 ③ この原則に対する構造的制約としての89条の意義をプリントP53で確認してください。内閣は、財政権の主体として、国会の議決に基づいて財政支出を実施します(財政国会中心主義)が、89条は、国会に対して議決してはいけない支出を事前に定め、内閣に対しては国会の議決があっても支出してはいけない使途を事前に定めている、という意義があります

 具体的には、89条前段は宗教上の組織・団体への公金支出を禁止していますので、政教分離原則を財政面から保障している説かれてきました。また、後段は公の支配に属さない慈善・教育・博愛事業への公金支出を禁止しています。この意義については、プリントP58にいったときに解説します。

 ④ 租税制度については、租税の定義(報償性がないことがポイント)をお話ししたところでタイム・アップとなりましたので、次回は、もう一度、租税の定義を確認したあと、憲法84条と財政法3条の意義の違いからお話しします。

2017年6月25日 (日)

演習Ⅰ(第9回)。

 午前中、大雨の日曜日でしたrainrainrain。そんな中、先週の3年生のゼミのレポートが届きました。

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 こんにちは!今回ブログを担当させていただきますM.Hです。

 先週は野球を楽しみましたが、今週からグループ発表の二週目が始まりました!今回のテーマは、法の下の平等で、二つの婚外子相続分訴訟を比較し、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の二分の一とする民法900条4号但書の合憲性についての発表でした。

Photo  平成7年7月5日の最高裁決定では、民法900条4号は、現行民法は法律婚主義を採用し、法律婚の尊重と非嫡出子の保護の調整を図ったものであるから、立法府の合理的な裁量判断の限界を超えたものではないとして合憲となりました。

 しかし、平成25年9月4日の決定ではこの規定は違憲となりました。その理由は、子にとっては親は選択できない事柄でそれを理由に不利益を及ぼされることは不平等であるので、個人として尊重し、その権利を保障すべきであると考えられたからです。また、婚姻や家族の実態の変化や意識の変化、諸外国の状況、先に国籍法3条が同じ理由で違憲判断が下されていたことなど様々な社会状況の変化も考慮されています。

 また、違憲判決になったことで、その効力はどうしたら法的安定性を確保し調和を図ることができるかについても、一般的効力説と個別的効力説を検討し、その違いについて知ることができました!

 今回の質問では、なぜ重婚がだめなのかや夫婦別性についてなど話が発展し、身近なことではありますが改めて考えさせられ、和気あいあいと発言が飛び交いました!

 発表二週目に突入しましたが、来週からも頑張っていきましょう!!

 

2017年6月22日 (木)

憲法Ⅱ(第18回)。

 定期試験の時間割も決まり、俄然、やる気満々、てところでしょうか coldsweats02

 では、きょうの第18回憲法Ⅱのレビューです。

 (0) SBS、いつものようにたくさんの質問、ありがとうございます。きょう確認しておくことは、

 ① 「執政/行政」の区別は、ざっくり言うと、統治の基本方針を決定しそれを基に法律を制定される作用が「執政」、国会の制定した法律を執行する作用が「行政」ということになります。また、「国務大臣・行政大臣兼任制」の図を参照しつつ、執政権を国務大臣の組織体である内閣が行使し、行政権は行政大臣及び下位行政機関(行政各部)が行使することも確認してください。

 ② 「平成の行政改革」は、議会統制によるものではないので民主制の後退であるとの批判に対して、憲法73条4号に基づく内閣の行政組織監督権限を強化するものであるとしたSBSのP102の一番下の□の質問、意見。お見事でしたgood

 ③ あと、「憲政の常道」(衆議院第一党の党首が首班指名されて内閣を組織すべきであるとする憲政思想)、シビリアン・コントロール(軍隊を公選部門で統制することで軍部の暴走を防ぐ統治制度)、「鉄のトライアングル」(政財官の癒着関係)など、なにを意味しているのか確認しておいてください。

 (1) 講義の本体にはいって、きょうは、憲法73条に列挙された内閣権限についての概説からはじめました。

 【1号】 内閣に憲法上与えらえれている権限(執政権)からすると、1号は「法律を誠実に執行させ、国務を総理すること」と読み換えられるべきであるとお話しました。

 そのさい、法令違憲の法律まで執行させる義務はないことを昭和48年の尊属殺重罰規定違憲判決後の運用を例に、また、「国務」とは執政のことであることもお話しています。

 【2号】【3号】 これは、内閣に外交処理権が与えられ(2号)、そのうちのおもなものである条約締結行為について、その実体的権限を内閣に手続的統制権を国会に与えている(3号)ことを確認しました。

 【4号】 官吏に関する事務を掌理に関しては、官吏の任用、昇進について、猟官制(政治任用)ではなくメリット・システム(成績制)を採用していることをお話して、憲法15条2項「全体の奉仕者」、国公法102条「政治的行為の禁止」、人事院規則14-7(禁止される政治的行為)の意義について確認しました。

 【5号】 予算作成権・提出権(あわせて予算編成権)については、86条が国会に与えた予算議決権との関係がありますので、財政の章でお話します。

 【6号】 政令制定権については、行政立法は法規命令(法規性あり)と行政規則(なし)に分けることができ、さらに、法規命令は委任命令(法規性あり)と執行命令(なし)に分けることができることを青本P212~P213の【行政立法】を読みつつ解説しました。

 【7号】 恩赦権については、恩赦の意義を青本P213で確認したあと、上の昭和48年最大判のときの個別恩赦の意義などをお話しました。

 (2) 憲法73条以外の条項に基づく内閣権限及び内閣の責任(憲66条3項)については、プリント及び青本で確認しておいてください。

 (3) で、本日のメインイベントは、行政委員会の憲法適合性の問題でした。

 ① 国家行政組織法1条からすると国の行政機関は、内閣の統轄の下に置かれていなければなりません。「統轄」とは、国の行政機関全体が系統的に作動するようにその舵取りをする作用のことをいいます。

 ② ところが、人事院や公正取引委員会に代表される行政委員会は、内閣又は内閣総理大臣の所轄の下に置かれています。「所轄」とは、具体的権限行使については上級官庁の指揮命令に服さない法関係のことをいいます。

 ③ ということで、憲法は内閣を頂点とする一体的責任体制の下で行政機関が国務及び行政事務にあたるとこを要請しているのに、内閣又は内閣総理大臣の統轄下にない行政機関の存在を認めることには憲法65条(内閣の権限)及び憲法72条(内閣総理大臣の権限)との関係で憲法上の疑義があることになります。

 → これが「行政委員会の憲法適合性」の問題です。

 ④ で、解法については、プリントP49~P50、青本P219に記載していますので、各自で確認してください。

 この行政委員会の憲法適合性(独立行政委員会の合憲性)の問題、そろそろ裁判所事務官の採用試験あたりで出題されてもいいとここ数年思っていますが、まだ、出題されていません。そろそろではないでしょうか・・・・

 ということで、次回は内閣総理大臣の地位と権限を検討したあと、財政の章にはいります。定期試験に向けて、試験範囲、フルスロットルで拡張中です!!!

2017年6月19日 (月)

憲法Ⅱ(第17回)。

 くもりcloud きょうの憲法Ⅱのレビューです。

 (0) SBSは、国会議員の不逮捕特権(憲50条)、免責特権(同51条)について、おもにまとめてありますので、各自、復習してください。

 で、きょうから本格的に内閣の章にはいりました。が、内閣の章は、イマイチ、盛り上がりに欠けるように思います。ので、レビューというより、きょうの講義のポイントだけ記します。

 (1) 憲法65条が内閣に与えた「行政権」とは何かについて、積極説と消極説があることについては、プリントP43で確認してください。

 それよりも、わたしは、同権限は、英語では executive power とあり、これは administrative power とは違うことを強調しました。これから、前者は「執政権」と表記し、後者を「行政権」と表記します。

 で、執政と行政の違いですが、執政とは、国家統治の基本事項(内務、外交、防衛、財政、司法など、明治憲法下においては天皇大権事項だったもの)について国家の基本方針を策定し、下部行政機関に実施させる権限である、と説明しました。これに対して、行政は、法律の執行である、とも説明しました。両権限の決定的な違いを誤解を恐れずに言えは、前者は国会に法律を制定させる権限であるのに対し、後者は国会が制定した法律を執行する権限です

 そして、実は、この違いは日本国憲法も知っていることを講義しました。というのも、65条、66条3項にある「行政」の英文は executive でるのに対し、72条、73条柱書の「行政」は administrative だからです。この区別は制定者(GHQ)も下にふれるように知っていました。知らないのは日本国憲法の日本文と一部の法学者だけでしょう。

 (2) で、この執政権、日本国憲法では内閣に与えられているのですが、合衆国憲法では大統領に与えられています。英文で確認すると、、、

 日本国憲法65条:Executive power shall be vested in the Cabinet.

 合衆国憲法2条1節1項:The exective power shall be vested in a President of  the United States of America.

 ね、よく似ているでしょう。そして、日本国憲法と合衆国憲法では政治部門(執政府と立法府)について条文構造が違うというお話しもしました。というのも、日本国憲法は民主的勢力(の代表者である立法府)を信頼しているの対して、合衆国憲法は民主的勢力を警戒し伝統的勢力(君主、選挙された君主である大統領)を信頼しているのです。

 ① 日本国憲法は、明治憲法の天皇権限を内閣がひき継いでいるので、憲法上、内閣権限を統制するために、65条で執政権の帰属先を内閣としつつも、この権限の中身を73条に列挙することで限定しようとしています。これに対して、民主的勢力には期待をしているので、国会権限は41条、43条1項で包括的権限が与えられています。

 ここにも、日本国憲法制定にかかわったGHQメンバーの影響が見られると講義しました。彼らは、デモクラット(デモクラシ-・民主制に期待、信頼をおく人たち)だったのです。だから、彼らは、国会を内閣の上におき、国会の制定する法律で内閣による統治を抑制するよう日本国憲法を構想しました。

 ② 合衆国憲法は、自らが革命から成立したものであるがゆえに、また、フランス革命後の混乱を知っていたので、革命を起こした民主的勢力が統治を不安定なものにすることを警戒しました。そこで、民主的勢力の代表者からなる議会の権限を1条8節に列挙することで限定すると同時に、伝統的・保守的勢力である大統領権限には上の2条1節1項のように執政権を包括的に与えているのです。

 国家機関の政治部門(執政府、立法府)のどちらを警戒(どちらを信頼)して統治構造をデザインするのかについて、日本国憲法と合衆国憲法は、ことほどさように違うのです。

 (3) ということで、「統治の民主化」、国会による内閣統制を目指したと思われる日本国憲法ですが、そのことは、(1) でみた「執政」の広範性(法によって規制することが困難な国家作用)であったことと議院内閣制(国会のリーダーが内閣を組織し、その内閣と国会が統治方針において一致していることを制度として確保しようとする統治制度)のために、実現するのは困難なことでした。内閣は、常に、国会の上位国家機関として統治を舵取り(ガバメント)する国家機関になっていったのです。

 (4) また、国家統治における内閣の優位性は、1999年の行政改革以降において、決定的なものになったということも講義しました。

 1999(平成11)年には、わが国の「政官関係」において、いまからしても重要な枠組変更が行われました。それまでは、明治憲法以降の伝統をふまえた業種・産業ごどの省庁編成を続けてきたのですが、それが、政財官の癒着、「縦割り行政」(官僚権限の肥大化)、国会統制の欠落(族議員は官僚と連んでいるので)を生んでしまったのです。そこで、もう一度「政官関係」を政治主導のものにくみ変えようとしたのが、1999年の内閣法改正、内閣府設置、国家行政組織法改正に代表される「平成の大改革」だったのです。

 これ以降、昨今話題となった、内閣官房に置かれた内閣人事局で各省庁の局長級以上の人事を掌握することに象徴されるように、内閣が官僚組織を統制するという形式における「政官関係」が実現してきたのです。

 (5) ところで、20世紀末には上の「平成の大改革」と同時に大きな改革があった、とお話ししました。それは、衆議院選挙において小選挙区制を導入したことです。これで、政権交代を容易にすることで、内閣に公正な統治(下野する場合もあるという緊張感による統制の下での統治)が実現するはずでした。ところが、すべてを小選挙区制にしてしまうと当選者を出せない政党もあるわけで・・・ということで、比例代表並立制にしました。その結果、政権交代の可能性まで薄れてしまって・・・長期政権が実現していますよね。

 つまり、上の内閣主導の下での官僚統制という「政官関係」の組み替えは政権交代が容易である選挙システムの変更と一体のはずだったのです。ところが、その片翼が折れることで、つよい内閣だけが残ってしまいました。長期政権にあるときには、やはり、官僚は内閣の意向を忖度しながら政策実現していくしかなかったのではないでしょうか。つまり、いまの状態は、わが国の憲法以下の統治制度によって予想できた統治状況であるといえるのではないでしょうか。

 第192回常会がある種の混乱のなかで閉会したあとの憲法の講義として、すこし国家統治の大きな見方みたいなものもお話ししようと思って講義してみましたが、理解できたでしょうか。わたしの見解が正しいわけではないことをまずはお断りして、憲法の統治論というのは、条文のチマチマした解釈というよりも、こうした大きな統治の流れを政治の展開とともに分析してみる、といところに醍醐味があると思います。

 受講生のみなさんは日本国憲法下における国家統治をどう見ていますか? 是非、みなさんの統治論もいずれ聞かせてください。

 

2017年6月15日 (木)

憲法Ⅱ(第16回)。

 きょうもはれsun。つゆ、どこいったんでしょうね。

 ということで、憲法Ⅱの第16回講義のレビューです。

 本日の講義は、本体にいくまでに、時間がかかってしましました。あさ、改正組織犯罪処罰法が参議院本会議で可決、成立したからです。この法律案審議手続(中間報告)についてふれないわけにはいきませんものね。

 国会法56条の3には中間報告手続について規定されています。通常なら委員会に付託された法律案は国会法53条の手続により委員会(今回の場合には法務委員会)で採決されたあと、その結果について委員長が本会議で報告して、そのあと、本会議で採決手続にはいるという手順で審議されています。

 ただ、上の国会法56条の3第1項には議院から委員会へ要求する形式で中間報告手続について規定されていて、同条2項では「特に緊急を要すると認めたときは」(委員会採決を経ずに)「議院の会議(つまり本会議、引用者)において審議できる」ときあります。

 今回の法改正はこの手続を使ったというわけですね。政治的にはいろいろ批判があるところでしょうが、法学的には、今回が「特に緊急を要する」場合に該当するのか否かが気になるところ。ただ、学問的には批判できるのでしょうが、議院運営には憲法上の議院自律権が認められていることからすると、学問的に批判することもあまり生産的ではないような・・・

 で、SBSでは、おもに前回の国政調査権との関係で「参考人招致」(国会106条)について質問があったので解説しました。

 講義の本体部分は、

 (1) まず、国政調査権の限界について前回積み残していたので、そこからお話をはじめました。国政調査権の限界については、① 司法権との関係では司法権、裁判官の独立との関係に、② 行政権(含・検察権)との関係では職務上の守秘義務との関係に、③ 国民の権利との関係では、証人として召喚された者の憲法上の権利に注意すべし、と講義しました。プリントP39の問題について、SBSの最後に解答を【講義補遺】としてつけているので、それを参考にしつつ青本P189~P191で復習してください。これ、公務員試験に記述問題としてよく出ますので。

 (2) つぎに、議員の特権のところにはいり、まず、不逮捕特権(憲50条)について解説しました。不逮捕特権については、憲法50条の文言(「逮捕」、「会期中」、「法律の定める場合」←これ、国会法33条のことですが)について、不逮捕特権の意義に注意しつつ、復習してください。

 (3) 免責特権(憲51条)についても、その意義(古典的には国王権力からの議員の自由の保障、近時においては議員に発言、表決の自由を保障することによる議院審議の充実)との関係から、憲法51条の文言(「議員」、「議院で行った」、「演説、討論又は表決」、「責任」)の意味について、確認してください。

 また、免責特権の範囲については、病院長自殺国賠訴訟(最3判平成9年)の意義を確認してください。その判例をもとに考えると、① 国会議員の発言はいかなるものであっても免責、② 国の国賠法上の責任は「特別の事情」が立証されれば肯定、③ 但し、その場合でも憲法51条の効果から議員個人への求償(国賠1条2項)は認められない、というところだと思います。

 (4) さらに、歳費請求権(憲49条)も近代議会における代表のあり方(命令的委任代表を否定、純粋代表)を考えるうえで重要です。

 (5) で、最後に、なんとか「内閣」の章にはいれましたscissors そして、明治憲法下の内閣についてお話しましたので、プリントP42で確認しておいてください。明治憲法には内閣の規定がありませんでした。そこでは、天皇から直接任命された国務大臣が分掌について直接天皇を輔弼していたのですが、実際には、その輔弼の前に大臣間での意見統一が望ましいとの考えから内閣が置かれ、誰から代表して天皇に謁見した方がよいとの考えから総理大臣が置かれていました。また、大臣の任命についても、大命降下(組閣の要請)のあった総理大臣の推薦に基づき天皇が任命するという慣行があったとされています。

 やく2回まだ遅れていますが、なんとかするでしょう。

 

2017年6月14日 (水)

演習Ⅰ(第7回)。

 ゼミで野球をした第8回と前後してしまいましたが、3年生ゼミの第7回(6月6日)のレポートが届きました。

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Cm170606103146004_2 こんにちは!!今回ブログを担当させていただきまK.Yです。

 今回のテーマは議員定数不均衡問題で、公選法204条による訴訟提起、違憲状態/違憲の区別、合理的期間論、選挙区割の性質、参議院の特殊性理論の概要と評価などについての発表でした。

 議員定数の不均衡は、国会において、法律や制度が通常考慮しうる諸般の要素を斟酌してもなお一般的に合理性を有するものとは考えられない程度に達しているときは特段の理由が示されない限り違憲状態となります。ただし、この段階ではまだ違憲ではありません。しかし、最高裁が定数是正(法律改正)について合理的期間を超えたと判断した場合には、当該選挙は違憲となります。ところが、違憲であることを理由として選挙を無効にすると憲法の所期しない結果が生じるので、議員定数配分は違憲とするも選挙自体の効力は否定しない手法があり、これを事情判決の法理というということを学びました。

 そこで、この合理的期間とは実際どのくらいの期間なのかという質問が出ました。これに対いては、公職選挙法の附則により(国勢調査がある)5年ごとに選挙区割を見直すべきと書かれているので、5年を超えると合理的期間が経過したとも考えられるという回答がされました。但し、時間の経過だけでなく国会が違憲状態であることを認識していたかどうかも含めて合理的期間が判断されるということを学びました。

 今回のゼミテーマは、住所によって一票の価値が不平等になってしまうという、身近かつ重要な問題でした。

 次回は野球です!楽しみですね🎵

 

 

 

演習Ⅰ(第8回)、演習Ⅱ(第8回)。

 sun 梅雨、どこいった?

 きのうは、3年生と4年生のゼミ生の親睦をかねて、ゼミで野球baseballしました。ということで、そのレポートです。3年生のゼミ生がレポートしてくれています。

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Img_0009 こんにちは! 今回ブログを担当させて頂くH.Yです!

 今日はいつもの教室を飛び出し3、4年生合同の野球大会をしましたo(*^▽^*)o

 結果は、大日方先生率いるBチームが7-5で勝利することができました!

Img_0012 前半からBチームがリードしていましたが、後半はAチームが2点差まで追いつき、接戦となりました! が、Bチームが最後まで逃げ切り勝つことができました!

 また、テレビタミンの方が私たちのゼミメンバーであるミスユニバース熊本代表の野口真未さんを取材しに来ていました!

Img_0008 女子メンバーはあまり活躍出来なかったので、次回は少しでも戦力になれるよう頑張りたいです!!

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 Bチームはエースが降板したあと、中継ぎ陣が乱れて5失点なのですが、なんとか逃げ切ったようですね。女子は活躍できなかったとあるけど、なんのなんの。逸材が何人かいました。

 梅雨なので雨も心配していたのですが、陽ざしのない絶好の野球日和cloudでした。




2017年6月 8日 (木)

憲法Ⅱ(第15回)。

 梅雨の晴れ間というところでしょうか。カラットしてもいる。

 ということで、きょうの憲法Ⅱ(統治機構論)第15回講義のレビューです。

 (0) まず、SBSでは、国会の条約承認権(憲73条3号)にまつわるいくつかの質問について回答しました。なぜ事前承認だけでなく事後承認まで許されているのか、日本語訳に誤訳が判明したときにはどうするのか、そもそも国会承認の要否は誰が判断するのか等、いつものように興味深い質問ばかりでした。SBSのプリントを是非、読み返してみてください。

 で、きょうはおもに議員自律権についてお話しました。議員自律権とは、各議院が内閣、裁判所、そして、国会(他の議院)から独立して自律的に審議ができるための憲法原則です。

 (1) 組織自律権(憲55条)についてのところでは、

 ① 議員の資格争訟の裁判権の理解がポイントです。各議院がもつこの裁判権には、司法権による事後的介入が許されていないという点について、プリントP35の一番下および青本P182で確認してください。

 ② くわえて、役員選任権(憲58条1項)のことろでは役員の種類について国会法16条に法定されていること、また、委員会制度のことではこの委員会の種類、数、名称について国会法で法定されていること(40条、41条)について疑問あり、とお話しました。なぜでしょうか?

 (2) 議院規則制定権(憲58条2項本文前段)のことろでは、国会法と議院規則が矛盾抵触した場合、いずれの効力が優位すると考えるべきか、と【Q】を出しています。ここでは、法律優位説と専属事項説という2つの学説があることをプリントP36~P37で確認し、どちらがより説得的か考えてみてください。ヒント、憲法59条2項の法律制定における議事手続を思い出してみて。

 (3) 議院懲罰権(憲58条2項本文後段)のところでは、議員の懲罰について、裁判所の審査権は及ぶであろうか、というところに【Q】を付しています。

 ① この問題に関しては、まず、地方議会議員に対する懲罰と司法審査に関する最大判昭35・10・19(百選Ⅱ187)を読んでください。ここでは、地方議会における出席停止処分と除名処分とで最高裁の見解は異なっていることを知ることができます。

 ② 最高裁は、地方議会議員に対する出席停止処分には裁判所の審査権は及ばないとしているのですが、除名処分には審査権が及ぶとしています。では、国会議員に対する除名処分に対してはどうでしょうか?憲法58条2項後段の意義はどのように理解すればよいでしょうか。

 (4) 議事手続決定権に関しては、議院の議事手続の適法性は司法審査の対象になるかを検討しました。これについては、最大判昭37・3・7(百選Ⅱ186)の警察法改正無効事件で検討してみてください。

 ※ もしかしたら、今国会の会期延長は混乱の中で議決されるかも・・・

 (5) で、さいごに、国政調査権(憲62条)について「頭出し」をしました。

 ① 国政調査権を各議院に与えたの意義は、各議院が国民代表機関として国政全般について監視、監督する役割を果たすことにあります。

 ② また、国政調査権は法的強制手段をもって国政全般について調査する権限なので、議院証言法には偽証罪の規定があります(議院証言法6条1項)。

 ③ 国政調査権の法的性質については、補助的権能説独立権能説があること、わたしは、独立権能説が適切であると考えていることをお話ししました(理由は独自のものであることもプリントP38、青本P188~P189で確認してください)。

 ここで、講義はタイムアップ。次回は国政調査権の限界をお話したあと、議員の特権(不逮捕特権、免責特権)をお話しして、国会の章をおえ、内閣の章に移ります。

2017年6月 7日 (水)

演習Ⅱ(第7回)。

 きのう、梅雨入り。で、きょうはrain

 5日(月)の4年生のゼミ、第7回演習Ⅱのレポートです。

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 今回ブログを担当させていただきますS・Sです。

 自分はツイッターやフェイスブックなどをしていないので、インターネット上に文章を上げる機会がなかなか無く緊張しています。

 このくらいのことで緊張する私に大日方ゼミのアイドルは務まらないですね(笑)。

 さて今回のテーマは「地方自治 ー 住民投票条例について」でした。

 H20年の国税専門官試験の問題を参考に、地方自治の本旨や、条例制定権の範囲、住民投票制度制定の憲法上の問題点などを見ていきました。

 まず、地方自治の本旨について、地方自治の本旨とは住民自治と団体自治を意味すると考えられている。住民自治とは地域的統治についてそれが地域住民の意思と責任の下で実施されることで、団体自治とは、地域的な統治が国から独立した地方公共団体によって、その意思と責任のもとで実行されることである。

 次に、地方公共団体には条例制定権が認められているが、(1)性質上の限界、(2)法律留保事項との関係、(3)法令と条例の競合所管事項等でその限界が存在する。

 そして、最後に条例制定権の憲法上の論点について、拘束型住民投票制度を作ること自体は、憲法では国政レベルでは間接民主制を原則としているけれども、地方レベルにおいては地方自治の本旨を尊重すべく直接民主制を例外として採用していることから違憲とまでは言えず、法律で制度が整えられれば認められる余地はある。現在の住民投票条例は法律上の制度ではないことから、法的拘束力を持たず、住民世論の傾向を把握する手段としての面があるに止まる。

 以上のような発表をしてくれました。

 そして、その後の質問としては、

 「拘束型住民投票は地方自治法147条の文言に反するのではないか。もし反するとしたら地方自治法147条を改正し、直接民主制を導入することになるが、地方自治に直接民主制を導入することは憲法に反しないか」

 「憲法94条は『法律の範囲内』において条例を制定できるとし、地方自治法14条1項では『法令に違反しない限り』とその文言が異なる違いは何か」

 「条例制定権の限界と法律留保事項との関係において、発表班は通説的見解をとり、その根拠を地方議会が民主的基盤を有していることに求めているが、94条を一定の所管事項があるとはいえその範囲内においては自主立法権限を地方公共団体に付与したものと解することで、国会が41条で国民の財産権を制限できるのと同様に地方議会も94条により財産権を制限できると解するほうが妥当ではないか」

 といったものがありました。

 今回の発表は地方自治法に関するものが多く、自分の勉強不足を感じるものでした。また試験等の対策で勉強していると通説、判例をそのまま受け止めてしまいがちですが、それが本当に妥当かどうか一度立ち止まって考えることも大事だなと思いました。

 さて、次回のブログ担当はT・Hくんです。スポーツ万能、頭脳明晰、かっこよくて、話も上手い。彼の長所は考えると考えるだけ出てくる気がします(笑)。そんな彼はどんなブログを書いてくれるのでしょうか。次回が楽しみです。

 

2017年6月 5日 (月)

憲法Ⅱ(第14回)。

 sun 憲法Ⅱ、第14回目の講義のレビューです。

 (0)(1) 今回は、前回の講義、SBS、そして、今回の講義の冒頭のテーマに関係して、憲法41条の条文理解から講義しました。それは、

 ① 前段の「国権の最高機関」の解釈には、(ⅰ)政治的美称説(法的効果なし)と(ⅱ)最高地位責任説(法的効果あり)〔略・統括機関説〕があること。

 ② 後段の「唯一」という文言で国会に独占させている権限は「実質的意味の法律」を制定する権限であること。

 ③ 実質的意味の法律とは「法規」(権利命題)を創設する権限に関係していること。同権限は当初は君主権限であったが近代議会の発展を受けて代表機関の権限になっていること

 ④ 法規ではない法令は国会以外の国家機関でも制定できること(政令、議院規則、裁判所規則など)。

 ⑤ 但し、国会も法規性のない(あるいは薄い)法律を制定する権限をもつこと。その根拠は(ⅰ) 明文根拠があるもの、(ⅱ) 43条1項(政治的美称説)又は41条前段(最高地位責任説)と説明できること。

 ⑥ 国会の41条後段権限によって制定されている法律(実質的意味の法律=法規=権利命題)には法の支配原理により一般性・抽象性がつよく要請されるが、法規性のない(あるいはよわい)法律(組織法、特別措置法、給付に関する法律)は法の支配の要請もよわいと考えればよいこと。

 で、ここまでのことを青本P170~の【義務的法律事項、任意的法律事項】の項目をつかって確認しました。

 (2) つぎに、国会の法律制定権の委任(立法の委任)について検討しました。

 ① 立法の委任については、二院制による非効率性・非迅速性、また、行政官僚のもつ専門性に期待するため、これらを理由として、その必要性は肯定されている。

 ② 立法の委任の根拠は、判例的ではありませんが(判例は各自確認してください)、国会の法律制定権には、法律の実体的部分については国会で定めかければならないが、その細目については下位国家機関に委任することも含まれていると解すればよい。

 ③ 立法の委任の問題については、その必要性は認められるとしても、限界がある。「白紙委任」は許されない。

 ④ この問題については、国公法102条1項で禁止されている「政治的行為」の内容を人事院規則14-7に委任している枠組に関係して、国公法102条1項違反に対するものとして、2種類の制裁が規定されているが、

 (ⅰ) 行政組織内部の秩序維持を目的とする懲戒(国公法82条1項)は処分権者に一定の裁量が認められると考えればよいが、

 (ⅱ) 刑罰(国公法110条19号)については、法律で明確が基準を定めていないと罪刑法定主義に反するのではないか。したがって、国会法102条1項→人事院規則への委任は「白紙委任」ではないか。

 という見解があり得ることを講義しました(参照、最大判昭49・11・6刑集28巻9号393頁〔猿払事件上告審〕の大隅ほか反対意見)。

 (3) さいごに、国会の条約承認権について

 ① 憲法は、外交処理権の重要部分である条約締結に関して、その実体的権限を内閣に、内閣の締結行為に関する承認権を国会に、それぞれ配分していること。ここに外交処理権、条約締結権をめぐる権力分立構造を見ることができる。

 ② 国会の承認が必要な条約としては、

 (ⅰ) 条約が法規性(国民の権利を制限したり国民に義務を課したりする)をもつ場合(41条が国会に付与した法律制定権を防禦するため)。

 (ⅱ) 条約が財政上の措置を必要とする場合(86条が国会に付与した財政決定権を防禦するため)。

 (ⅲ) 政治的に重要な国際的約束である場合(内閣に対する国会の統制、外交処理に関する内閣の専断を許さないため)。

 これらの性質をもつ条約の締結には国会承認が必要とされるあろう、と講義しました。

 ③ 国会の承認を欠く条約の効力については、まず、条約の「国際法上の効力」/「国内法上の効力」をわけること、国会承認を欠く条約の国際法上の効力は「条約法に関するウィーン条約」46条1項によること、但し、その解釈には二説あることを講義しました。

 ④ 国会の条約修正権についても講義していますので、この点については、プリントP34で復習してください。

 ※ 国会の条約承認権に関する参考文献として、中内康夫「条約の国会承認に関する制度・運用と国会における議論 - 条約締結に対する民主的統制の在り方とは」立法と調査330号(2012年)3頁以下があります。Moodleにも掲載しました。

2017年6月 1日 (木)

憲法Ⅱ(第13回)。

 cloud 蒸してました。講義室も前列は寒いけど後列は暑かったりで・・・

 憲法Ⅱの13回目の講義のレビューです。

 (0) まずSBSでは、衆議院が参議院よりも民主的正統性がつよい理由(任期が短く解散もある)や二院制だとどうして議会権限が抑制されるのかなどについて、解説しました。

 国会では「政治的ハプニング」続出中ですよね。重要法案を成立させたい為政者にとって一歩対応を誤ると足元すくわれるかもしれませんね。

 (1) 本論にはいって、会期の種類、各会期のおもな審議事項についてお話しました。また、会期不継続の原則は、その機能からすると野党有利に働きそうであることも。このあたりは、講義プリントで淡々と確認しておいてください。

 (2) 国会の活動原則については、国会の召集権者は内閣であると考えらるけれど、その憲法上の根拠は何かについてお話したあと、なぜ「他律的召集」が原則なのかについて国会の法律制定権との関係から解説しました。

 国会は、下にあるように、国民の権利を制限したり国民に義務を課したりする法規範を制定する権限を独占しているので、当該権限がいつでも発動できないようにすることが、会期制をとり、他律的召集が原則であるとされる理由であると思います。

 そのほか、定足数や議決方法のところでは、可否同数のときの議長の決裁権は消極的に行使されるべき(青本P163~P164)である理由も述べました。すく上のことと同じ理由です。ただ、実務上は、必ずしも消極的には行使されていないこともお話しました。

 こういうことを知っていて現在の政治状況をみると、統治のメカニズム、そのダイナミズムのようなものを感じ取ることができると思います。統治は法令によって規律されるべきですが、そう単純にはいかないのです。さまざまな政治取引をしつつ、政府は統治の舵取り(ガバメント)をしているのです。

 (3) 今回のメインは、国会の地位と権限(のうちの法律制定権)でした。まずは、国会の地位から。

 憲法41条前段は国会を「国権の最高機関」であるとしています。この意義について、通説は「政治的美称説」である旨、お話しました。当該学説によれば、「国権の最高機関」であったとしても、そのことによって何らかの国会権限が生まれるわけではないことになります(「最高機関」に法的意味なし)。ところで、法律制定権はもちろん41条後段によって、国会に与えられています。

 これに対して、「国権の最高機関」という文言に法的意味を見出す説として、「統括機関説」と「最高責任地位説」を紹介しました。とくに、後者は、憲法上、権限帰属が不明確であるとされている国家権限(例として、軍務)について、それを「最高機関」という文言を根拠として国会に帰属させる学説であり、有力説であるとされています。

 国民の代表機関である国会だから「最高責任地位説」などよろしそうですが、憲法上権限帰属が不明確な国家権限とは通常は緊急事態における権限であることが予想され、その権限行使者が常設国家機関でもない(会期中のみ存在)そして二院制ゆえの効率性・迅速性にも欠けている国会であるというのは、なんとも実務的ではないように思います。

 (4) つぎに、国会の権限のうち憲法改正の発議権についておさらいしたあと、法律制定権について検討しました。国会の法律制定権に関して理解すべきことはつぎのものです。

 ① 41条後段にいう「立法」とは法規範一般のことではなく「実質的意味の法律」(国民の権利を制限したり国民に義務を課したりする法規範=法規)のことある。

 ② 41条後段が「唯一の立法機関」であるというのは、この実質的意味の法律を制定する権限(法規創造力)を国会が独占しているということである(国会中心立法の原則)。

 → この原則からすると、明治憲法下における天皇大権に基づく法規制定のようなこと、法律制定権を他の国家機関に丸ごと委任すること(白紙委任)は許されていないという法命題が導ける。

 ③ 通説的理解は、上の法規創造力だけでなく、形式的意味の法律を制定する手続も国会が独占しているとしている(国会単独立法の原則)。

 → 但し、わたしは、議院内閣制をとる日本国憲法が採用した権力分立は相互作用型であると思うので、法律制定手続を国会が独占しているとは理解できないのではないか、と疑問を呈しておきました。

 (4) こうした実質的意味の法律は、法の支配の要請をうけ、一般性(法律の受範者が特定されていないこと)・抽象性(法律が規律する事件が特定されていないこと)を備えたものでなければならないと考えられます。ところが、いわゆる措置法、個別法ではないか、といわれるような法律も制定されていることを、講義の最後でお話しました。ここでタイムアップ!

 次回は措置法・個別法に関するプリントP32のいくつかの【Q】をもう一度解説したあと、法律制定権の委任(立法の委任、委任立法)の問題を検討して、その他の国会権限についてお話しようと思います。

 ところで、受講生のみなさん、講義の予習として、青本の該当ページ、読んできていますか? わたしは、教科書を読まずして、講義に出たことはありません(講義に出なかったことはありますが。)。予習をせずにわかるような講義はしていませんし、予習をしていない受講者にもわかるように講義する力量もありませんので、是非、青本の該当ページを読んで講義にのぞんでください。

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