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2017年6月29日 (木)

憲法Ⅱ(第20回)。

 あめ、降りませんね。大丈夫でしょうかね。

 ということで、憲法Ⅱの第20回講義のレビューです。

 (0) SBSは、憲法83条(財政の基本原則)憲法89条(公金支出の制限)について、多くの質問をもらいました。それぞれ回答したものを読んでもらえばいいと思いますが、国民主権原理、そこでいう「国民」とは、あるいは、議院内閣制による統治プラクティクスなどを駆使して回答していますので、それぞれ復習してみてください。

 (1) 本編にはいり、まずは、租税の定義、概念についてお話しました。租税とは「報償性ないもの」をいう点、確認してください。

 それとの関係で、憲法84条の「法律又は法律で定める条件による」と財政法3条の「法律又は国会の議決に基づいて」の違いについても解説しました。前者は租税に関する規定、後者は租税には該当しない課徴金や国が独占する事業の使用料に関するものです。この規定によると、租税なら具体的な金額又は金額算出基準が直接法律で定められていなければならないことになりますが、金銭賦課が租税でないなら料金の根拠や金額決定の手続さえ法律又は国会の議決で定めておけば、料金改定はその手続に従って行政機関で実施することができることになります

 (2) つぎに、租税法律主義についてお話しました。租税法律主義とは、租税の賦課、聴衆は、必ず、国会の議決である法律という形式に基づくものでなければならないという法原則のことです。

 この租税法律主義は、一般的には、課税要件法定主義と課税要件明確主義を内容としているといわれています。

 ① 課税要件法定主義は、法治主義の要請に基づくものです。行政立法だけを根拠とする課税、不文の税法による課税を禁止しています。

 ② 課税要件法定主義は、法の支配の要請に基づくものです。法定された要件を明確にすることで、課税庁の裁量を統制し恣意的な課税を防止すると同時に、納税者に課税要件を告知することで課税に法的安定性・予測可能性をもたせる意義があります。

 (3) さらに、租税法律主義に関連する問題としては、つぎの3つをとりあげました。

 ① 条例で課税することができるか。憲法84条にいう「法律」が形式的意味の法律だとすると、地方公共団体の議会が制定する法令である条例では課税できないのでは、との疑問が浮かびます。

 これについては、地方公共団体も憲法上の統治権(地方自治権)をもつので、地方公共団体もそれに含まれる課税権の行使として憲法94条(条例制定権)に基づき条例で租税を課税できると考えればよいと思います。

 ② 条約で課税すること(関税を課すこと)はできるか

 これについては、条約の締結には国会の承認が必要(憲法73条3号但書)であることを理由に、関税も租税法律主義には反しないと考えられています。

 ③ 通達変更による課税。通達に基づく課税は許されていません(通達課税の禁止)。では、通達変更による課税は許されるか。

 これについてはパチンコ球遊器通達課税事件(百選Ⅱ202)を読んでください。本件で最高裁は「課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであっても、通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、本件課税処分は法の根拠に基づく処分と解するに妨げがな〔い〕」と判示しています。

 (4) つづいて、お話は予算制度へと続きました。予算については、予算の法的性格について、従来から議論があります。その議論を一通り紹介したあと、予算が法規範性をもつことについては、予算法形式説が有力な説明の仕方であるとお話しました。このあたりは、プリントP55、青本P234で是非復習をお願いします。

 (5) そして、最後に、国会による予算修正の可否について検討しました。

 なぜ、この問題が問われるのかというと、明治憲法下では帝国議会に予算発案権がないことを理由に、議会は原則として予算修正はできないと説かれていました。そして、やはり、国会には予算提案権がない(内閣権限)日本国憲法の下で、国会は予算修正ができるのか、が問題とされてきたのです。

 この点について、財政国会中心主義からすると日本国憲法の下では国会に予算修正権があると考えるべきであること、また国会法に予算の修正動議に関する規定があることで、実務的には国会による予算修正も可能であると解されています。

 但し、憲法上、内閣に予算提出権(予算編成権)があることを考えると、国会による予算修正には限界もある論じられてきています。では、限界はどこかというと、理論的には、国会の予算修正は内閣の予算提出権を損なわない範囲において可能ということができると思います(政府見解もこういいます)。また、実務上の限界については青本のP236に記載しておきましたので、もう一度、読んでみてください。

 (6) 予算と法律が不一致の場合(予算はあるけど法律なし、法律があるけど予算がない)の場合もすこしお話ししましたが、途中になりましたので、次回はここから講義します。

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