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2017年6月 1日 (木)

憲法Ⅱ(第13回)。

 cloud 蒸してました。講義室も前列は寒いけど後列は暑かったりで・・・

 憲法Ⅱの13回目の講義のレビューです。

 (0) まずSBSでは、衆議院が参議院よりも民主的正統性がつよい理由(任期が短く解散もある)や二院制だとどうして議会権限が抑制されるのかなどについて、解説しました。

 国会では「政治的ハプニング」続出中ですよね。重要法案を成立させたい為政者にとって一歩対応を誤ると足元すくわれるかもしれませんね。

 (1) 本論にはいって、会期の種類、各会期のおもな審議事項についてお話しました。また、会期不継続の原則は、その機能からすると野党有利に働きそうであることも。このあたりは、講義プリントで淡々と確認しておいてください。

 (2) 国会の活動原則については、国会の召集権者は内閣であると考えらるけれど、その憲法上の根拠は何かについてお話したあと、なぜ「他律的召集」が原則なのかについて国会の法律制定権との関係から解説しました。

 国会は、下にあるように、国民の権利を制限したり国民に義務を課したりする法規範を制定する権限を独占しているので、当該権限がいつでも発動できないようにすることが、会期制をとり、他律的召集が原則であるとされる理由であると思います。

 そのほか、定足数や議決方法のところでは、可否同数のときの議長の決裁権は消極的に行使されるべき(青本P163~P164)である理由も述べました。すく上のことと同じ理由です。ただ、実務上は、必ずしも消極的には行使されていないこともお話しました。

 こういうことを知っていて現在の政治状況をみると、統治のメカニズム、そのダイナミズムのようなものを感じ取ることができると思います。統治は法令によって規律されるべきですが、そう単純にはいかないのです。さまざまな政治取引をしつつ、政府は統治の舵取り(ガバメント)をしているのです。

 (3) 今回のメインは、国会の地位と権限(のうちの法律制定権)でした。まずは、国会の地位から。

 憲法41条前段は国会を「国権の最高機関」であるとしています。この意義について、通説は「政治的美称説」である旨、お話しました。当該学説によれば、「国権の最高機関」であったとしても、そのことによって何らかの国会権限が生まれるわけではないことになります(「最高機関」に法的意味なし)。ところで、法律制定権はもちろん41条後段によって、国会に与えられています。

 これに対して、「国権の最高機関」という文言に法的意味を見出す説として、「統括機関説」と「最高責任地位説」を紹介しました。とくに、後者は、憲法上、権限帰属が不明確であるとされている国家権限(例として、軍務)について、それを「最高機関」という文言を根拠として国会に帰属させる学説であり、有力説であるとされています。

 国民の代表機関である国会だから「最高責任地位説」などよろしそうですが、憲法上権限帰属が不明確な国家権限とは通常は緊急事態における権限であることが予想され、その権限行使者が常設国家機関でもない(会期中のみ存在)そして二院制ゆえの効率性・迅速性にも欠けている国会であるというのは、なんとも実務的ではないように思います。

 (4) つぎに、国会の権限のうち憲法改正の発議権についておさらいしたあと、法律制定権について検討しました。国会の法律制定権に関して理解すべきことはつぎのものです。

 ① 41条後段にいう「立法」とは法規範一般のことではなく「実質的意味の法律」(国民の権利を制限したり国民に義務を課したりする法規範=法規)のことある。

 ② 41条後段が「唯一の立法機関」であるというのは、この実質的意味の法律を制定する権限(法規創造力)を国会が独占しているということである(国会中心立法の原則)。

 → この原則からすると、明治憲法下における天皇大権に基づく法規制定のようなこと、法律制定権を他の国家機関に丸ごと委任すること(白紙委任)は許されていないという法命題が導ける。

 ③ 通説的理解は、上の法規創造力だけでなく、形式的意味の法律を制定する手続も国会が独占しているとしている(国会単独立法の原則)。

 → 但し、わたしは、議院内閣制をとる日本国憲法が採用した権力分立は相互作用型であると思うので、法律制定手続を国会が独占しているとは理解できないのではないか、と疑問を呈しておきました。

 (4) こうした実質的意味の法律は、法の支配の要請をうけ、一般性(法律の受範者が特定されていないこと)・抽象性(法律が規律する事件が特定されていないこと)を備えたものでなければならないと考えられます。ところが、いわゆる措置法、個別法ではないか、といわれるような法律も制定されていることを、講義の最後でお話しました。ここでタイムアップ!

 次回は措置法・個別法に関するプリントP32のいくつかの【Q】をもう一度解説したあと、法律制定権の委任(立法の委任、委任立法)の問題を検討して、その他の国会権限についてお話しようと思います。

 ところで、受講生のみなさん、講義の予習として、青本の該当ページ、読んできていますか? わたしは、教科書を読まずして、講義に出たことはありません(講義に出なかったことはありますが。)。予習をせずにわかるような講義はしていませんし、予習をしていない受講者にもわかるように講義する力量もありませんので、是非、青本の該当ページを読んで講義にのぞんでください。

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