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2017年6月 5日 (月)

憲法Ⅱ(第14回)。

 sun 憲法Ⅱ、第14回目の講義のレビューです。

 (0)(1) 今回は、前回の講義、SBS、そして、今回の講義の冒頭のテーマに関係して、憲法41条の条文理解から講義しました。それは、

 ① 前段の「国権の最高機関」の解釈には、(ⅰ)政治的美称説(法的効果なし)と(ⅱ)最高地位責任説(法的効果あり)〔略・統括機関説〕があること。

 ② 後段の「唯一」という文言で国会に独占させている権限は「実質的意味の法律」を制定する権限であること。

 ③ 実質的意味の法律とは「法規」(権利命題)を創設する権限に関係していること。同権限は当初は君主権限であったが近代議会の発展を受けて代表機関の権限になっていること

 ④ 法規ではない法令は国会以外の国家機関でも制定できること(政令、議院規則、裁判所規則など)。

 ⑤ 但し、国会も法規性のない(あるいは薄い)法律を制定する権限をもつこと。その根拠は(ⅰ) 明文根拠があるもの、(ⅱ) 43条1項(政治的美称説)又は41条前段(最高地位責任説)と説明できること。

 ⑥ 国会の41条後段権限によって制定されている法律(実質的意味の法律=法規=権利命題)には法の支配原理により一般性・抽象性がつよく要請されるが、法規性のない(あるいはよわい)法律(組織法、特別措置法、給付に関する法律)は法の支配の要請もよわいと考えればよいこと。

 で、ここまでのことを青本P170~の【義務的法律事項、任意的法律事項】の項目をつかって確認しました。

 (2) つぎに、国会の法律制定権の委任(立法の委任)について検討しました。

 ① 立法の委任については、二院制による非効率性・非迅速性、また、行政官僚のもつ専門性に期待するため、これらを理由として、その必要性は肯定されている。

 ② 立法の委任の根拠は、判例的ではありませんが(判例は各自確認してください)、国会の法律制定権には、法律の実体的部分については国会で定めかければならないが、その細目については下位国家機関に委任することも含まれていると解すればよい。

 ③ 立法の委任の問題については、その必要性は認められるとしても、限界がある。「白紙委任」は許されない。

 ④ この問題については、国公法102条1項で禁止されている「政治的行為」の内容を人事院規則14-7に委任している枠組に関係して、国公法102条1項違反に対するものとして、2種類の制裁が規定されているが、

 (ⅰ) 行政組織内部の秩序維持を目的とする懲戒(国公法82条1項)は処分権者に一定の裁量が認められると考えればよいが、

 (ⅱ) 刑罰(国公法110条19号)については、法律で明確が基準を定めていないと罪刑法定主義に反するのではないか。したがって、国会法102条1項→人事院規則への委任は「白紙委任」ではないか。

 という見解があり得ることを講義しました(参照、最大判昭49・11・6刑集28巻9号393頁〔猿払事件上告審〕の大隅ほか反対意見)。

 (3) さいごに、国会の条約承認権について

 ① 憲法は、外交処理権の重要部分である条約締結に関して、その実体的権限を内閣に、内閣の締結行為に関する承認権を国会に、それぞれ配分していること。ここに外交処理権、条約締結権をめぐる権力分立構造を見ることができる。

 ② 国会の承認が必要な条約としては、

 (ⅰ) 条約が法規性(国民の権利を制限したり国民に義務を課したりする)をもつ場合(41条が国会に付与した法律制定権を防禦するため)。

 (ⅱ) 条約が財政上の措置を必要とする場合(86条が国会に付与した財政決定権を防禦するため)。

 (ⅲ) 政治的に重要な国際的約束である場合(内閣に対する国会の統制、外交処理に関する内閣の専断を許さないため)。

 これらの性質をもつ条約の締結には国会承認が必要とされるあろう、と講義しました。

 ③ 国会の承認を欠く条約の効力については、まず、条約の「国際法上の効力」/「国内法上の効力」をわけること、国会承認を欠く条約の国際法上の効力は「条約法に関するウィーン条約」46条1項によること、但し、その解釈には二説あることを講義しました。

 ④ 国会の条約修正権についても講義していますので、この点については、プリントP34で復習してください。

 ※ 国会の条約承認権に関する参考文献として、中内康夫「条約の国会承認に関する制度・運用と国会における議論 - 条約締結に対する民主的統制の在り方とは」立法と調査330号(2012年)3頁以下があります。Moodleにも掲載しました。

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