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2017年7月10日 (月)

憲法Ⅱ(第23回)。

 じめ~~っとした感じ。

 で、憲法Ⅱの第23回の講義レビューをします。

 (0) SBS

 ① まず、「都の区」(自治281条1項)と「指定都市の区」(同252条の20)の地位と権限との違い、是非、地方自治法で確認してください。

 ② また、地方自治制度について、二層制をとった方が民主制的にも権力分立原理的にも妥当であると思われる点についても【341】あたりで確認してください。

 ③ さらに、「都の区」も現行法上は「基礎的な地方公共団体」とされているのですが(参照、自治281条の2第2項)、これと憲法上の地方公共団体との関係についてどう考えるべきかについても、いい質問をもらいました。わたしとしては、基礎的地方公共団体は憲法上の地方公共団体であると解釈できると思いますが、地自法上は必ずしもそのあたりが整理できていないのでは、という疑問も提示しておきました。

 (1) 条例制定権については、まず、憲法94条(条例の所管事項について「法律の範囲内」としている)と地自法14条1項(条例の効力について「法令に反しない限り」としている)の規定振りについて確認したあと、法律留保事項について条例で制定できるかについて検討してください。

 わたしは、地方公共団体の憲法94条上の条例制定権は、所管事項の限定があるとはいえ、国の憲法41条上の法律制定権と同じ性質をもつと考えてます。したがって、国が41条権限により財産権を制限し、課税し、刑罰を科すことができるのと同様、地方公共団体も94上権限により、同じことができると考えればよいのではないか、と思っています。

 (2) さらに、島市公安条例事件(昭和50年最大判)の法律と条例に関するところの判旨を熟読してください。そのさい、国法先占論の意義、ナショナル・ミニマム論の意義、そして、上乗せ条例、横出し条例とは何かについて、確認してください。

 ① 国法先占論とは、法律と同一目的で同一事項を条例では規制できない。法律なき場合でも、それが当該事項を規制しないという国会の意思表示である場合でも同様、という法原則です。

 ② ナショナル・ミニマム論とは、国法が全国的に一律、同一内容の規制を施す趣旨でない限り、地方公共団体の地域性、自主性を尊重して、同一目的又は(及び)同一事項に関する条例による規制も許されるとする法理論のことです。

 ③ この法理論により、(ⅰ)上乗せ条例(法律と同一の対象を別目的でより重く規制する条例のこと)、(ⅱ)横出し条例(法律と同一目的で法律が対象としていない事項を規制する条例のこと)も許されると考えられています。

 ④ 但し、わたしは、法律と条例の関係については、条例が国法との関係で上のような形式的正当性を有するというだけではなく、条例により規制される行為の性質に応じて、真に地方の「固有の自治事務」の範囲といえるのか否かについて、実体的正当性についても検討されるべきである、と講義しました。徳島市公安条例事件でいうと、デモ行進の規制が表現行為に対する規制であることに鑑み、公安目的での表現規制は条例でなすべきものであるか否かについても検討されるべきだったのではないか、と思います。

 (3) そして、講義は、いよいよ最後の単元「法原理部門」にはいり、きょうは、憲法76条の文言理解をしました。それについては、

 ① 76条1項にいう「司法」を、41条にいう「立法」、65条にいう「行政」(執政)との関係で、実質的意味で理解すべきことを、まずお話ししました。このあたりは、プリントP66の上半分で確認してください。

 ② この司法の範囲については、民刑事の事件にくわえて、行政事件についても含まれることについて講義しました(明憲61条と比較してください)。そのさい、特別裁判所(通常裁判所の系列に属さない特別の裁判機関のこと)及び行政機関による終審裁判の禁止(したがって、前審としては許される)という76条2項の理解について注意してください。

 (4) さいごに、内閣総理大臣異議に関する東京地判昭44・9・26の概要についてお話ししました。この憲法上の問題については、青本P275で確認してください。

 次回は、司法権の範囲と限界の問題、そして、客観訴訟及び客観訴訟の憲法適合性についてお話しします。この2つ、この講義の最後のヤマ場ではないかと思いますので、心して聞いてください。

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