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2017年7月 3日 (月)

憲法Ⅱ(第21回)。

 土曜日の熱投疲れから、右手が上がりづらい感じ・・・(とぶつくさ言ってしましましたが)、気を取り直して、憲法Ⅱの21回目の講義のレビューをします。

 (0) まず、いつものようにSBSから

 ① 支払った金銭とサーヴィス提供が対価関係にないなら、なぜ、租税の納入義務があるのかという質問は、国家統治権の根源に迫る質問だと思います。で、わたしの回答は青本P13にあるのですが、ようするに、国家というものを構想する以上、国家統治権への一般的服従義務は当然のものとして前提されている、というものです。わかったようなわからないような回答かもしれませんが、あまり深入りせず、こういうものだという程度にとどめておいて大丈夫だと思います。

 ② 「通達課税」の問題については、パチンコ球遊器通達課税事件の判旨でコンパクトに論じられていますので、是非、それをよくよ読んでください。

 ③ なぜ、課税要件法定主義法治主義の要請であるのに対して、課税要件明確主義法の支配の要請であるという点についても質問がありました。で、回答としては、法治主義にいう「法」とは「法律」のこと。課税要件法定主義は行政立法(法律ではない)による課税及び慣習税法(制定法でないので法律でもない)で課税してはならないという法原則なので、法治主義の要請である。これに対して、課税要件明確主義の方は、課税要件を法律で定めていても(したがって、法治主義の要請は満たしていても)同要件が明確でなければ納税者の権利を保護できないことから要請された法原則です。法律は国会が制定、つまり、国会という国家機関をも統制する法原理からの要請ということで、法の支配の要請であると説明しました。この質問を通して、法治主義と法の支配の違い、もう一度確認してください。

 (1) 本編では、まず、予算と法律の不一致についてからお話しをはじめました。この問題については、法律に対する予算従属性の原則を是非、よく確認してください。それは、予算はあくまで法律の目的を実現するための財政措置なので、法律が制定されるまで予算のみではその執行ができるわけではない、という法原則です。この法原則を基に、① 予算は成立したのに法律が制定されない場合、② 法律は制定されたのに予算化されていない場合のそれぞれについて、検討してください。

 (2) つぎに、公金支出、公の財産の利用制限、すなわち、憲法89条の意義について検討しました。このテーマについては、下記の点を確認してください。

 ① 憲法89条前段は、特定の思想信条に対する国家の中立性を要請した法規範である。これに対し、同条後段は、公の財産の濫費防止を要請する法規範であること。

 ② 89条前段にいう「宗教上の組織若しくは団体」該当性については、かつては、当該団体が宗教上の教義教典を組織的背景にもつか否かによって判定されていた(したがって、遺族会は該当せず〔参照、箕面忠魂碑・慰霊祭訴訟〕)けれども、近時は当該団体が宗教的行為を行っているか否かで判定するようになっている(したがって、宗教上の教典を組織的背景にはもたない氏子集団が該当するとされた〔空知太神社事件〕)こと。

 ③ 89条後段にいう「公の支配に属する」(条文上は「属しない」)該当性については、事業の「公の性質」により「公の支配」の程度(たとえば、人事、予算に権力的な介入がある)が緩和されるとする説が実務上の回答であること(参照、幼児教室違憲訴訟)。

 ④ うえの裁判例に対するわたしの評価は青本P240の一番下からP250にかけてありますので、P250の【私学助成】についての見解とともに、読んでおいてください。

 (3) 決算は省略しまして、つぎは、新しい章「地方の統治制度」にはいり、地方自治の意義、とくに、地方自治の本旨(92条)について、お話ししました。このうち「地方自治の本旨」とは、通常は住民自治団体自治をその内容として説かれていることを確認し、

 ① 住民自治は、地方統治に対する住民参画の最低限の手続保障を定めていること(憲93条2項、95条)。

 ② 団体自治は、地方公共団体は中央政府から独立した統治主体であること、それにふさわしい実体的権限として94条の権限(財産管理権、事務処理権、行政執行権、条例制定権)が憲法上地方公共団体に与えられていること。

 次回は、住民自治の一部である憲法95条の地方特別法に関する理解をお話ししたあと、憲法上の地方公共団体とは何か、地方公共団体のおもな事務とは、そして、条例制定権の範囲と限界等についてお話しします。

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