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2017年7月 6日 (木)

憲法Ⅱ(第22回)。

 大雨rainrainrain。でも、講義あり。正直、大講義受講生全員に瞬時に連絡できるすべがあったら、休講にしたかもしれない(もっとも、1限はあったんだよね)。きのうのゼミはラインがあったので、月曜のうちに休講にできました。

 そんななか、憲法Ⅱの第22回講義にお越しいただき、ありがとうございます。ということで、レビューです。

 (0) まず、SBS。

 ① 国会開会中なら、財政統制の原理からして、予備費支出ではなく暫定予算等で対応するべきであること、理解できましたか。

 ② 幼児教室違憲訴訟からすると、宗教法人が設立母体である学校法人にも補助金支出が許されることも、理解できましたか。同判決は「公の利益」にかなうものなら「公の支配」は緩和されてもいいというものでした。この理屈からすると、「公の利益」にかなう事業をしているのに、宗教法人が設立母体であることを理由に同事業体に補助金を支出しないことの方が平等の要請にもとるとも考えられます。これに関しては、緑本のP133も参照してください。そこでは【宗教法人に対する非課税措置】について記述しています。

 ただし、このような解釈は憲法89条の規範力を弱める結果につながると思われます。このことも【336】の一連の質問及びその回答のところで確認してください。

 ③ 統治権を中央政府と地方政府に分割したとするなら、それは「垂直的権力分立」ではなく「水平的権力分立ではないか」という質問、そして、(地方レヴェル選挙は直接選挙と規定されているのに)なぜ国政レヴェルには直接選挙と規定されていないのかという質問、それぞれ興味深いものでした。いずれも「中央政府」と「地方政府」で憲法上の地位、想定が違うのだということを手掛かりにして回答を試みています。【333】と【338】はその意味で同類の質問だと感じました。

 (1) で、本編ですが、まずは、憲法95条の意義からお話しました。これ住民自治のひとつの要素である住民投票について規定されている条文です。「国会単独立法の原則」の例外であること、そして、真に95条の手続を経なければならない法律としては、① 特定の地方公共団体の地方統治権、組織編成権に関するもの、② 特定の地方公共団体の住民の権利・自由を制限するもの、このいずれかの場合であること。したがって、いままでの実施例には真に95条の手続を経ることを必要とした法律はなかったのではないか、ということについて講義しました。

 (2) つぎに、地方公共団体の種類について、お話しました。地自法は、普通地方公共団体として「基礎的な地方公共団体」である市町村と、それを「包括する広域の地方公共団体」である都道府県を、そして、特別地方公共団体として、東京都の特別区、地方公共団体の組合、財産区を規定していることを確認してください。

 (3) このうち、普通地方公共団体が憲法上の地方公共団体であることについては、一応の見解の一致があります。ただ、東京都の特別区が憲法93条2項にいう地方公共団体に該当するか否かには争いがあります。これについて、特別区間接選挙事件においては、憲法上の地方公共団体であるための要件として、① 事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み、共同体意識をもっているという社会的基盤が存在すること、② 沿革的にみても、また現実の行政の上においても、相当程度の地方自治の基本的権利を附与された地域団体であることを要するとして、当時の東京都の区はこれに該当しないと判示しています。

 (4) 上の判例のなかで跳躍上告という訴訟手続が出てきたので、すこし説明しました。是非、刑訴法406条、刑訴規則254条1項にあたっておいてください。なお、跳躍上告の有名な例として砂川事件をあげました。これは日米安保条約に基づく駐留米軍の合憲性について争われた事件です。東京地裁での第一審(伊達秋雄裁判官による伊達判決として有名)による駐留米軍は憲法9条2項で所持を禁止された戦力に該当するとした判決に対して、検察は跳躍上告しています。

 (5) で、憲法は地方公共団体として、市区町村と都道府県といういわゆる二層構造を要求しているのかについても、お話しました。結論的には青本の250頁を読んでください。そこでは「憲法が地方公共団体について、いわゆる二層構造を保障しているということについては、憲法慣習法的規範が成立しているといえるのではなかろうか」と記述しておきました。その前に理由がありますので、そのあたりも確認してください。ただ、これも講義中でお話したことですが二層構造でありさえすればいいと思われますので、法律を改正して道州制を導入することも憲法が禁止しているとはいえないと思います。

 (6) 地方公共団体の職務については、1999(平成11)年改正前地方自治法と改正後の現行法上のものについて、プリントP63~P64、青本P254~P256に記述がありますので、一読しておいてください。

 ということで、来週は、条例制定権についてお話したあと、法原理部門のお話へと進みたいと思います。

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